仕事用とプライベート用、通話用とデータ通信用といったように、スマートフォンを2台使い分けているという人も多いのではないでしょうか。2台のスマートフォンを利用すると、片方の電池が切れたり、電波が悪かったりしても、もう一方のスマートフォンで代用できるといったメリットがあるのも事実です。
しかし、近年は1台のスマートフォンに2枚のSIMカードが挿入できる「デュアルSIM」という機能を持った端末が登場しているのをご存じでしょうか。では、このデュアルSIMとはどういった機能で、どのような使い方ができるのかを紹介していきましょう。もちろん、スマートフォンを2台利用していないという人でも、お得に利用できる部分があるので、ぜひご確認ください。
そもそもデュアルSIMってなに?
まずは、デュアルSIMとはいったい何なのかについて簡単に紹介していきましょう。大雑把にいえば、前述したとおり「1台のスマートフォンに2枚のSIMカードを挿入できる機能」なのですが、デュアルSIMとひと口にいっても、その種類は多岐にわたります。
デュアルSIMの種類を紹介
まずは、デュアルSIMの4つの種類について紹介していきます。
DSSS
1つ目は、「DSSS」と呼ばれる「デュアルSIMシングルスタンバイ」。スマートフォンに2枚のSIMカードを挿入することは可能ですが、使用できるSIMカードはどちらか一方となっていて、同時に待ち受けすることはできません。設定画面から、手動で使用するSIMカードを切り替える必要があります。
DSDS
2つ目は、「デュアルSIMデュアルスタンバイ」で、「DSDS」と呼ばれるものです。これは、2枚のSIMカードを手動で切り替える必要はなく、同時に待ち受け状態にすることが可能な機能で、どちらのSIMカードに着信があっても、電話を受信できます。しかし、片方のSIMカードが通話中の場合は、通話していないSIMでのデータ通信ができず、片方のSIMカードは必ず3G通信でなければならないという制約もあります。
DSDV
3つ目は、「DSDV」と呼ばれる「デュアルSIMデュアルVoLTE」です。これは、DSDSと同様に2枚のSIMカードを同時に利用することはできないものの、同時に待ち受け状態にでき、さらに音声通話・データ通信ともに2枚とも4Gでの通信が可能となっています。
DSDA
最後に紹介するのは、「DSDA」と呼ばれる「デュアルSIMデュアルアクティブ」。その名の通り、2枚のSIMカードで同時に待ち受け状態にできるのはもちろん、片方のSIMカードで通話を行いながら、もう片方のSIMカードでデータ通信を行うことができます。
カードじゃないSIM「eSIM」とは?
デュアルSIMの話をするためには、SIMカードの形状についても押さえておかなくてはなりません。SIMカードは、そのサイズによって原則「標準SIM」「micro SIM」「nano SIM」と分かれているのですが、新たに「eSIM」という種類も登場しています。
eSIMとは、従来通りのカードタイプではなく、スマートフォン本体と一体型のSIMで、機種変更の際にもSIMカードを差し替える必要はなく、インターネットで簡単に契約変更ができます。もちろん、端末がeSIMに対応していることが前提で、スマートフォンによっては、デュアルSIMを利用する際は、通常のSIMカードと、eSIMを組み合わせなければならないものもあるので、注意が必要です。
デュアルSIMの運用方法を紹介
デュアルSIMは、2つの通信事業者と契約をすることになるので、当然2つの会社に料金を支払わなければなりません。しかし、自分のスマートフォンの使い方に合わせながら、総額をより安く抑えられる可能性があるのがデュアルSIMの特徴です。ここからは、おすすめの契約パターンをいくつか紹介していきましょう。
【デュアルSIMのおすすめ運用法】仕事用とプライベート用
デュアルSIMの運用法として一般的なのが、片方を仕事用、もう一方をプライベート用で契約する方法です。格安SIMと呼ばれるMVNO各社は、格安でデータ通信の利用ができるものの、通話の定額サービスがある会社は限られています。そこで、ドコモなどのキャリアで、データ通信量は少なめのプランに定額通話サービスを追加し、データ通信は格安SIMで契約する、といった運用が可能です。
【デュアルSIMのおすすめ運用法】国外での利用
日本で契約したスマートフォンを海外にそのまま持って行った際、思わぬ高額請求をされてしまったという経験はないでしょうか。日本の携帯会社で契約した回線は、海外で利用すると高額になってしまう場合が多々あります。
そこで、頻繁に出張や旅行で海外に行くという人は、海外旅行用のプリペイドSIMを、デュアルSIMの2枚目として追加すると、今使っているスマートフォンのまま、海外でも割安で利用できるようになります。海外用のSIMは、家電量販店などで購入できるので、確認してみてください。しかし、スマートフォンを海外に持ち出す際には、日本で使っているSIMの「海外ローミング」という設定をオフにしなければならないので注意が必要です。これをしないと、高額の請求が来てしまう可能性があるので、忘れずに行いましょう。
【デュアルSIMのおすすめ運用法】今使っているSIMに格安SIMを追加
現在、大手通信キャリアで契約したスマートフォン、SIMカードを使用しているという人におすすめなのがこの方法です。キャリアのプランを見直し、データ通信は新しく契約する格安SIMをメインにすれば、今まで利用していた電話番号やキャリアメールをそのまま利用できます。格安SIMのデメリットとしてよくあげられる「回線混雑時の通信速度の低下」も、混雑する時間は一時的に大手通信キャリアの回線に切り替えれば、快適な速度でデータ通信が行えるでしょう。
※データは2020年7月下旬時点での編集部調べ。
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文/佐藤 文彦