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意外と使えるApple Watchの手洗い時間のカウントや就寝サポート機能!最新の「watchOS 7」β版を徹底検証

2020.09.05

■連載/石野純也のガチレビュー

 ひと足先に登場していたiOSやiPad OSに続き、Apple Watch用のwatchOS 7のパブリックベータ版が公開された。現時点では、あくまでベータ版のため、自動でアップデートされるわけではないが、Apple IDなどの登録を済ませるだけで、開発者以外の一般ユーザーも、先行してwatchOS 7を体験することができる。対応しているApple Watchは、Series 3以降のモデル。利用には、ペアリング済みのiPhoneを、パブリックベータ版のiOS 14にアップデートしておく必要がある。

 iOSのホーム画面刷新、iPad OSのApple Pencil強化に並ぶwatchOS 7の売りが、睡眠アプリだ。これまでのApple Watchは、就寝中には特に何も役に立たなかったため、充電しておくのが定番だったが、watchOS 7では、睡眠時間や傾向を取得できる。入眠に行う作業を、まとめて実行することも可能。バッテリー残量が30%以下の時には、短時間だけ充電を促す仕組みも用意されている。

watchOS 7のパブリックベータ版をインストールしたApple Watch Series 5

 手洗い機能や、ウォッチフェイスのシェアも、watchOS 7からの新機能。新型コロナウイルス対策のため、外出後に手洗いを徹底する人が増えているなか、きちんと20秒間手洗いできるよう、Apple Watchがサポートしてくれる。他人と共有できるようになり、ウォッチフェイスの編集も、活発になりそうだ。そんなwatchOS 7のパブリックベータ版を、実際に使ってみた。正式アップデートの前に、その実力一端をお伝えしていきたい。なお、パブリックベータ版の画面は規約上、ユーザーがネットに公開することはできないが、本稿では取材に基づく特別な許可を得て掲載している。

睡眠アプリで就寝パターンをチェック、記録は正確だが分析がほしい

 watchOS 7の目玉といえるのは、睡眠アプリだろう。睡眠を計測できるスマートウォッチやアクティビティートラッカーはすでに存在しているため、機能自体が目新しいというわけではない。意義があるのは、スマートウォッチとしてのシェアが圧倒的に高いApple Watchがこの機能に対応したことだ。パブリックベータ版を使ってみるとわかるが、Apple Watchの睡眠アプリは、どちらかというと、スムーズな入眠や、十分な睡眠時間を取ることのサポートに重きが置かれている。

筆者自ら、睡眠のパターンを測定してみた

 就寝、起床の時間や、目標とする睡眠時間は、Apple WatchやペアリングしたiPhoneであらかじめ設定しておくことができる。その時間になると、Apple Watch側で自動的に睡眠が検知され、寝ている時間と起きている時間がグラフにまとめられる。ユーザーが眠っているかどうかの判定は、人間が呼吸する際のごくわずかな手の動きを検知して行っているという。ただし、機能は非常にシンプルで、レム睡眠かノンレム睡眠かの差や、眠りの深さなどのデータは取ることができない。

就寝、起床の判定は自動でできるが、時間を設定しておくことも可能だ

 この判定は、非常に正確だった。以下に掲載したのが、筆者の8月25日から26日にかけて取った睡眠ログ。薄いブルーで表示されているのが、就寝していても睡眠に至っていない状態で、濃いブルーが睡眠を表している。8月25日から26日は、23時ごろから睡眠開始の2時59分までずっと薄いブルーになっているが、これは23時から1時半まで、寝転びながら映画を見ていたため。その後、スマホでネットをしながら入眠したが、時刻は大体3時ごろで、記憶とデータが一致している。

映画やスマホを見ていた時間は、きちんと薄いブルーで表示されている

 ところどころ、睡眠中に短く薄いブルーが混ざっているが、これも実際、一時的に起床したものだ。眠りが浅いためか、筆者はよほど疲れている時でないと、短時間だけ目を覚ますことがある。あまり健康的とはいえないが、その時間を使って喫煙するケースもある。それはさておき、睡眠のログを見ると、そのような一時的な起床もしっかり記録されていることがわかる。就寝が遅かったため、26日の朝は設定した起床時間を過ぎて目が覚めたが、それもきちんとログとして残されている。

細かな記録を見ると、睡眠中に短い時間、覚醒していることがわかる

 iPhone側では、手動で睡眠データを追加することも可能だが、これらが自動で記録されるのは便利だ。昨日と一昨日を比較したり、平均睡眠時間を表示したりと、基本的なデータもすべて表示される。睡眠中には、心拍数も取られているようだ。一方で、このデータから、どのように睡眠を改善すればいいのかということがイマイチわかりづらい。例えば、就寝から入眠までが長すぎるので、もっとリラックスするように音楽を聞きましょうといったアドバイスは表示されない。少々シンプルすぎるのでは……とも思うため、今後の機能進化には期待したいところだ。

就寝準備のタイミングを教えてくれるApple Watch、ショートカットの実行も可能

 睡眠アプリには、眠りにつくまでサポートする機能もある。「就寝準備」と呼ばれる機能がそれだ。標準では就寝の30分前に起動するようになっているが、設定で長くしたり、短くしたりできる。設定した時間になると、就寝時刻のリマインダーが表示される。同時にバッテリー残量が表示されるが、この時に残量が30%を下回っていると、充電を促される。睡眠の記録は、おおよそ20%前後のバッテリーを消費するからだと思われる。

就寝前にリマインダーを表示し、準備を始めるタイミングを知ることが可能。何分前に表示するかは、設定で変更できる。標準は30分

 実際に、就寝前と就寝後にバッテリー残量をそれぞれ記録してみたが、約8時間の睡眠で、Apple Watchのバッテリーは85%から69%に減っていた。差分は16%。睡眠中は、眠りの邪魔にならないよう、ディスプレイが点灯しなくなり、デジタルクラウンを回さなければApple Watchの操作もできないため、通常時ほどは、バッテリーを消費しないようだ。

就寝前と起床後のバッテリー残量。16%ぶん、減っていることがわかる

睡眠時には画面が暗くなり、タッチでの操作を受け付けなくなる

 就寝準備が始まるのと同時に、音楽をかけたり、リラックスするための本を開いたりといったショートカットも実行できる。就寝前の時間を有効に使って、睡眠の質を上げていくこともできるというわけだ。

就寝準備のためのショートカットを登録しておくことも可能だ

 睡眠中は、iPhone側も睡眠アプリと連動。自動的に「おやすみモード」になるだけでなく、ロック画面に表示される情報が最小限になり、ディスプレイが睡眠の妨げになるのを防げる。起床時には、Apple Watchで目覚ましを鳴らすことが可能。目覚ましを止めると、時刻やバッテリー残量、天気などといった、1日の始まりに必要な情報が表示される。

起床時にはアラームが鳴り、1日の始まりに必要な情報が表示される

 使っていて気になったのは、やはりバッテリーだ。消費量を最小限に抑えているとはいえ、20%前後のバッテリーがなくなるため、睡眠前後での充電はマストになる。Apple Watchはヘビーに使うと、就寝前にほとんどバッテリーが残っていないため、充電の手間が増えてしまうことは覚えておきたい。バッテリー残量を気にしたくない人は、2本のApple Watchを使い、1つの睡眠アプリ専用にしてしまう手もある。iPhoneには複数のApple Watchを紐づけることができ、装着した方と自動的にペアリングされるため、睡眠アプリのために価格の安い旧モデルを購入しておくのも手だ。

 Apple Watchのバンドには様々な種類があるが、金属のものやレザーのものは、睡眠の妨げにもなりかねない。オススメはスポーツバンドだが、普段別のバンドを使っている人が、睡眠アプリのためだけに、付け替えるのは面倒だ。このような問題も、2本のApple Watchがあれば解決する。睡眠アプリ専用の方を、常時スポーツバンドにしておけばいいからだ。

睡眠の妨げにならないよう、バンドはなるべく肌触りのいいものにしておきたい

ウォッチフェイスの共有や手洗い検知機能も便利

 ウォッチフェイスの共有ができるようになるのも、watchOS 7の特徴だ。色を変えたり、コンプリケーションを配置したりしたユーザー自身の文字盤を、メールやSNSで公開、共有できる。方法はシンプルで、ウォッチフェイスを長押しして、共有ボタンをタップするだけ。元々あった「カスタマイズ」のボタンの表記が「編集」に代わっており、その横に共有ボタンが表示される。

ウォッチフェイスを共有することが可能になった

 ただし、どちらかというと、この機能はディベロッパーのためのものと見ていいだろう。というのも、watchOS 7では、1つのアプリから複数のコンプリケーションを配置できるようになる。watchOS 6までは、アプリ1つにつきコンプリケーションも1つまでで、タップすると単にアプリが起動するだけと、サードパーティ製アプリの活躍の余地が少なかった。

 現時点ではパブリックベータ版のため、サードパーティ製アプリまでは試せていないが、上記の仕様が実現すると、サードパーティが自身で開発したコンプリケーションだけを配置したウォッチフェイスを作成できる。

 例えば、ポータルサイトを運営する会社が、自身で配信する天気予報やニュース、決済アプリの残高情報などを散りばめたウォッチフェイスを作成し、時計の色をコーポレートカラーに合わせて一括で配信する——実際にそんなアプリが出るかどうかは未知数だが、仕様的には実現が可能になる。ウォッチフェイスに多様性が生まれる、カスタマイズの幅が広がるのと同時に、Apple Watchがさらに便利な存在になりそうだ。

 さらに、新型コロナウイルス感染対策として、手洗いの時間を計測する機能が搭載された。優秀だと思ったのが、ユーザーが手動でこの機能を開始しなくてもいいこと。手の動きや水の音をApple Watchが検知し、20秒のカウントダウンが表示される。手をこするようにして洗うと、秒数が減っていき、手洗いが完了する。途中で手の動きを止めると、カウントダウンもストップする。もちろん、手洗いはApple Watchがなくてもできるが、適切な時間の目安がわかりづらい。この機能があれば、Apple Watchに従っているだけでいいので、きちんとした手洗いが楽にできる。

手洗いを検知すると、自動でカウントダウンが始まる

 睡眠アプリやウォッチフェイスの共有、手洗い機能など、watchOS 7には、目玉となる追加機能が多い。正式版が登場すれば、サードパーティが作成したウォッチフェイスも増えていくはずだ。その一端を体験するために、パブリックベータ版を試してみてもいいだろう。このwatchOS 7をフルに生かせる、次のApple Watchが登場するのも、今から楽しみだ。

【石野’s ジャッジメント】
カスタマイズ  ★★★★
健康管理機能  ★★★★★
バッテリーもち ★★★
*採点は各項目5点満点で判定

取材・文/石野純也

慶應義塾大学卒業後、宝島社に入社。独立後はケータイジャーナリスト/ライターとして幅広い媒体で活躍。『ケータイチルドレン』(ソフトバンク新書)、『1時間でわかるらくらくホン』(毎日新聞社)など著書多数。

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