コロナ太りが気になり、ダイエットを意識して生活している人は多いのではないだろうか。そんなときは、食べたいものを我慢して、食べたくないけれどカロリーが低い、糖質量の少ないものを選ぶ、といったシーンもあるかもしれない。
そこで今回は、ダイエット中に我慢して食べたくないものを食べると逆に太る説が本当かを専門家に聞いた。
【取材協力】
林博之さん
渋谷DSクリニック院長
医学的根拠のないダイエットに危機感を感じ、健康を損なわないダイエットを提唱。「リバウンドなく体型を維持してこそ、ダイエットは成功」を基本理念とし、老若男女問わず一人ひとりに合った効果的かつ効率的なダイエットの指導を行っている。著書に「ダイエットの真髄」がある。
https://dsclinic.jp
日高秀さん
オンライン食事指導サービス「Tabegram」開発者、二ツ星栄養コンシェルジュ、Crasti Inc, CEO
Tabegramというオンライン完結の食事指導プロダクトを開発して、主にダイエットしたい方をサポートしている。
https://tabegram.net/
食べたくないものを無理して食べるのはダイエットに悪影響
食べたいものを我慢して、食べたくないものを食べるということを繰り返していると逆に太るというのは本当なのか。
ダイエット専門医で渋谷DSクリニック院長の林博之先生は、次のように話す。
「食べたくないものを食べる=太るということに直結はしないでしょう。ただ、強いストレスがかかった場合、ストレスにより太る、ということは言えます。ストレス状態になるとコルチゾールというホルモンが分泌され、これによって食欲が増したり、脂肪が燃焼しにくくなる傾向があります」(林先生)
オンライン食事指導サービス「Tabegram」で主にダイエットしたい人をサポートする栄養コンシェルジュの日高秀さんは次のように話す。
「まずダイエットにおいても食べたくないものを食べる必要はまったくありません。例えば、鉄分のためにレバー、カルシウムのために牛乳などはよくいわれている食材ですが、どちらも干しえびで摂取することができます。このように、よほど特殊な栄養素でない限り、別の食材で補うことが可能ですので、食べられるものから必要な栄養を摂取しましょう。
逆に食べたいモノを我慢することはストレスになります。特にコロナ禍の環境では、感情的なストレスや不安により、脳を介して肥満につながる身体の反応が起きるという報告も最近されていますので、どんな状況であれ、過度なストレスは身体にとって良くないと思います(Christoffer C et.al, Nat .Rev.Endocrinol.2020)」(日高さん)
ダイエット成功の秘訣は?
では、食べたくないもの無理して食べるようなダイエットを避け、どのようなことに気を付ければダイエットに成功するだろうか。
まずは林先生の見解から。
「野菜が苦手ということであれば、果物・きのこ・海藻類をとるようにしたり、食べ過ぎてしまったらその分、運動をしたり、前後の食事でカロリー調整したりと、『調整』することもダイエットのポイントです。会食が多い、好き嫌いが多い、忙しくて運動の時間が取れないなど、ダイエットは思い通りに行かないことも多いものですが、自分のペースで継続できる方法や、食べ過ぎた場合に調整する術を身につけ、長期的に計画することが、リバウンドしないことも含めた、ダイエット成功の秘訣です」(林先生)
日高さんは次のように述べる。
「すべての人が100%減量できる食事法はありません。しかし、さまざまな研究結果などからダイエットの成功率を上げる方法はたくさんあります。その中から自分の好き嫌いや生活習慣、減量目標に合う方法を選択することが1番大切です。これを個人で判断するのはハードルが高いので、専門家に一度相談すると良いでしょう。
また、ダイエットは減量する期間よりも減量した体重を維持する期間のほうが、はるかに長く重要なので、短期間しか続けられないような過酷なダイエットはリバウンドして失敗に終わります。
食事はそもそも楽しいものですので、甘いものや好きなものを食べる日があってまったく問題ありません。太る食事が習慣的になっていなければ良いので、ダイエットを長距離走のように考えて自分に合う方法を見つけてください」(日高さん)
コロナ禍で、多くの人にとってダイエットが身近になった今、ダイエットの基本を見直してみると良さそうだ。
取材・文/石原亜香利