油断をすると陥る、コロナ太り。テレワークで自炊が増えるなか、食べるものを吟味するとき「これとこれ、どっちが太りにくい?」など、自問自答することもあるのではないだろうか。
そこで、よくあるダイエットの疑問を専門家に聞くこのシリーズ、今回は「パスタと米はどちらが太りやすいか」について、ダイエット専門医と栄養の専門家に聞いた。
【取材協力】
林博之さん
渋谷DSクリニック院長
医学的根拠のないダイエットに危機感を感じ、健康を損なわないダイエットを提唱。「リバウンドなく体型を維持してこそ、ダイエットは成功」を基本理念とし、老若男女問わず一人ひとりに合った効果的かつ効率的なダイエットの指導を行っている。著書に「ダイエットの真髄」がある。
https://dsclinic.jp
日高秀さん
オンライン食事指導サービス「Tabegram®︎」開発者、二ツ星栄養コンシェルジュ、Crasti Inc, CEO
Tabegram®︎というオンライン完結の食事指導プロダクトを開発して、主にダイエットしたい方をサポートしている。
https://tabegram.net/
パスタと米はどちらがダイエット向き?
ダイエット中の主食に炭水化物を選ぶ際、米やパスタが候補に挙がる。そばやうどんという選択肢もあるが、毎日の主食といえば、米やパン、パスタが定番。
特にInstagramで「#テレワーク飯」を見てみると、パスタが多いことに気づく。パスタはゆでてソースをかけるだけの簡単時短調理でテレワーク民には重宝しているのかもしれない。
ここではあえてパンは除外し、米とパスタと比べたときに、どちらがダイエット向きなのかを探る。
オンライン食事指導サービス「Tabegram」で主にダイエットしたい人をサポートする栄養コンシェルジュの日高秀さんは、2つの理由からパスタのほうが太りやすいという。
1つ目の理由は、「カロリーの差」。米の1食分150gは240kcalだが、パスタ(乾燥)の1食分1束100gは380kcal(食品データベース参照)。1食分で比べるとパスタのほうが高カロリーとなる。「GI値(※)はパスタのほうが低いため一見、ダイエットに向いているように見えますが、カロリーを米と同じ水準にすることがむずかしいです」(日高さん)
※GI値…グリセミック・インデックス(glycemic index)の値のこと。糖質(炭水化物)などを消化吸収した後の血糖値上昇の度合いを表す。
2つ目の理由は、「追加される脂質の量」。パスタは調理もしくはレトルトのソースをかけて食べるため、上記のカロリーに具材や調理油などが加わる。米も食べるときは主菜(おかず)を考慮する必要があるが、それぞれ単体で考えると米のほうが脂質量が少なくなる。
またダイエット専門医で渋谷DSクリニック院長の林博之先生も、ダイエットにおいては米(のほうが良いと話す。その理由として「パスタは単独で食べることはなく、麺にオイルやソースなどを絡めて食べるので、油分や塩分の摂取が多くなりがち」だからだという。
一方、「ご飯は単独でも食べることができ、食べ応えもあり腹持ちが良いという点もメリットとなります」と林先生。
また、「パスタは食べるまでに手間がかかる」こともダイエットには不向きだと日高さんは話す。
「ダイエットは手間が少ないことも成功するポイントですので、パスタを主食にしてダイエットをするのは大変だと思います」(日高さん)
パスタの太りにくい食べ方
2人の専門家によれば、パスタと米とを比べると、米に軍配が挙がった。では、あえてパスタを食べるなら、どんなことに気を付ければいいか。
「まずは総カロリーに気をつけること。自炊であればパスタの量を減らして野菜などでカサ増ししたり、ゆでるときの塩を省略したり、油の使用をできるだけ控えたりと工夫できるでしょう」(林先生)
「麺の量と調理方法を選ぶと、太りにくくなります。麺の量は60g(3/5束)を目安にすると良いでしょう」(日高さん)
また日高さんも、野菜を具材として増やすことも勧める。「サラダを一緒もしくは最初に食べることで、消化吸収のスピードを緩やかにして脂肪蓄積を抑える働きもあります」(日高さん)
具体的にはどんなソースが良いだろうか。
「乳製品を使うクリーム系のパスタや具材としてよく使われるベーコンなどは脂質が多いため、避けるのがおすすめです」(日高さん)
林先生は、外食や会食時のパスタの選び方について次のように述べる。
「外食の際はサラダなどを先に食べて血糖値の急上昇を予防し、クリーム系やオイルをたっぷり使ったパスタは避けるなど、なるべく低カロリーのものを選びましょう。会食などで避けられないのであれば、前後の食事でカロリー調整を」(林先生)
ダイエット中は、できるだけ米を主食に選ぶこと。そしてパスタは、総カロリーを意識して減らし、クリームやオイル系は避けて、野菜に助けてもらう食べ方が良いようだ。
取材・文/石原亜香利