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健康維持や免疫力アップの効果が期待される「オートファジー」って何?

2020.09.07

最近、ちらほら耳にするようになった「オートファジー」。免疫や健康に寄与する可能性が見出されている。知ったからには、自らのオートファジーを活性化してみたいと思うかもしれない。

そこで今回は、オートファジー研究を行い、多くの企業ともコラボレーションしてオートファジー製品を開発する大学発ベンチャー、株式会社AutoPhagyGO(以下、APGO)が先日イベントで発表していた内容から、オートファジーとは何か、活性化のためのポイントを紹介する。

オートファジーとは?

オートファジーとは、「細胞内で不要になったタンパク質などを分解し、栄養源として再利用する仕組み」のことを指す。

人間の身体は約37兆個の細胞からできている。細胞一つ一つはとても小さく顕微鏡を使わないと見えないが、その中にはまるで人間の社会のような複雑な営みがあるという。

例えば、ミトコンドリアという細胞小器官は発電所の役割を果たしエネルギーを作っているし、細胞の中には物質を運搬する交通網まである。

オートファジーとは、そのような細胞内社会において、「細胞の新陳代謝」と「有害物除去」の2つの作用を通して細胞の健康を守っている。

●オートファジーの役割その1「細胞の新陳代謝」

清掃車のような細胞小器官オートファゴソームを使ってものを回収し、ゴミ処理工場のような小器官リソソームに運び、そこで分解とリサイクルを行う仕組みを持つ。

オートファゴソームが集めるのは実はゴミではなく、細胞の中にあるものを何でも少しずつ無作為に取り込んで分解し、その分解されたのと同じものが、すぐに製造工場で作られる。つまり、細胞の新陳代謝が起こる。これが一つ目のオートファジーの役割だ。

●オートファジーの役割その2「有害物の排除」

オートファゴソームは無作為な回収だけではなく、有害なものが細胞内に現れるとそれを察知して取り込みに行く。例えば病原性細菌やウイルスが細胞に感染すると、それらを取り込んで隔離しリソソームに運び分解する。こうして病気を防ぐ。これが二つ目のオートファジーの役割だ。

オートファジーが低下すれば、病気が引き起こされるというわけだ。

オートファジーは免疫力も高める

ところで、オートファジーは昨今の感染症予防のために皆がこぞって取り組む免疫力向上にも関係しているという。APGOの担当者は、オートファジーが免疫力を高める理由について次のように答える。

「病原体などの異物が体内に入ったとき、その異物と特異的に反応する物質として体内に生ずる『抗体』を作る細胞があります。そうした“免疫に働く細胞”が育って機能を果たすようになるためには、オートファジーが必要です。

次にオートファジーは、細胞に感染した細菌やウイルスなどの病原体を殺す働きも持っています。つまり、オートファジーそのものが細胞一つ一つに備わった免疫なのです。

オートファジーは、免疫細胞が敵を認識する仕組みにも関わります。さらにオートファジーには免疫の過剰反応である炎症を抑えたり、免疫の異常で起こる病気を防いだりする働きもあります」

オートファジーは、免疫力を向上したい今の時期にも重要な仕組みであるようだ。

オートファジーを自ら活性化させる方法

免疫力向上、健康維持のために、ぜひ活性化しておきたいオートファジー。そしてオートファジーは、5歳を取ると低下するといわれるから、なおさらだ。

オートファジーを自ら活性化させるにはどうすればいいか。

「加齢による問題と共に、不規則な生活、多忙な生活に追われている世代がオートファジーを生活習慣によって活性化する方法として、次の方法が考えられます」

・有酸素運動
・高脂肪食や過食を避けた適度な食事(和食など)
・食事時間を空けて、空腹時間を設けること
・適度な睡眠を含む規則正しい生活

オートファジーは、基本の健康的な生活を送ることで、活性化させられるようだ。

空腹時間を設けるというのもぜひ意識してみよう。

オートファジーに関わる食品

研究・開発により、オートファジーに関係する食品が見出されている。合わせてチェックしておこう。

●「納豆」にオートファジーを活性化する成分が含有

納豆には「ポリミアン」という物質の一種である「スペルミジン」の含有量が多いという。スペルミジンはオートファジーを活性化することが分かっている。

スペルミジンはヨーグルトや味噌などの発酵食品に含まれるものだが、納豆に特に含有量が多いという。

●サプリメントも登場

最近では、オートファジーに関するサプリメントも登場した。

UHA味覚糖「オートファジー習慣」

オートファジーを活性化することが知られている、ポリアミンを含有した米胚芽エキス末に、UHA味覚糖がAPGOとの共同研究により、細胞でのオートファジー活性を確認した2成分「トランスレスベラトロール」と「アスタキサンチン」を配合。

米胚芽エキスにふくまれる「ポリアミン」は若々しさサポート成分として知られており、加齢に伴い体内で作られにくくなるといわれる。「トランスレスベラトロール」はぶどうや赤ワインに含まれる健康成分として知られるポリフェノールの一種。若々しさサポート成分としても知られている。「アスタキサンチン」は老化や病気を引き起こす一因となるサビと戦う働きが注目の成分だという。

オートファジーは、誰しも加齢と共に低下するもの。忙しい中でも健康維持が必須のビジネスパーソンは、免疫力向上のためにも、生活にオートファジーも意識してみてはいかがだろうか。

【取材協力】
株式会社AutoPhagyGO

【参考】
「オートファジーって何?」
群馬大学医学部保健学科「納豆成熟過程でのポリアミンの変動」
日本ポリアミン学会「ポリミアン Vol.4 No.2 Nov.2017」

取材・文/石原亜香利

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