複数銘柄の株式や債券などをパックにして銘柄や資産を分散しながら少額から投資できる投資信託。どのように組成されているのかその仕組みをご紹介します。
投資信託とは
投資信託とは小口で集めた資金を大きなまとまった資金にして、株式や債券などに投資し、その損益を投資した口数に応じて配分する仕組みの金融商品をいいます。
通常の株式投資であればあるA銘柄に投資するとき、単元株制度があるためA銘柄が2,000円であれば100株の20万円からしか投資できません。株価2,000円程度の複数銘柄に投資しようと考えると、5銘柄で100万円必要になるわけです。
A銘柄が値下がりすると当然保有するA銘柄は評価損となりますが、複数銘柄に投資していればA銘柄が大きく値下がりしても他の銘柄がそんなに下がっていないまたは上がっていれば損失は抑えられます。
そのため、リスクを抑えて投資しようと考えるとき複数銘柄に分散して投資するのが有効ですが、1銘柄の金額が大きいため複数銘柄に投資すると大きな資金が必要になってしまいます。
そんなときに投資信託に投資すれば、投資家1人あたりは100円から少額で投資できるので、大きな資産を持っていなくても資産分散してリスクを抑えながら投資をすることができます。
投資信託の形式
投資信託の仕組みの基本は、小口で投資家から資金を集めてまとまった資金でプロの運用投資家が運用します。運用をしてくれる代わりに運用期間中に信託報酬という手数料が日々運用資産から差し引かれます。基本の仕組みは投資信託から直接投資することをいいますが、投資信託が直接投資していない形式もあります。
どんな形式をとっているかは、購入前に必ず確認が必要な投資信託の目論見書の投資形態で確認できます。投資信託のほとんどがファミリーファンド方式、ファンドオブファンズ方式をとっています。
ファミリーファンド方式とは、投資家が投資する投資信託をさらに1つにまとめて、その投資信託が株式などに投資することをいいます。
同じ運用会社で株式や債券、REIT、海外資産など様々な資産に投資しており、複数の投資信託毎に個別投資するよりも大きなまとまりにして投資することで運用効率を高めることができます。これをファミリーファンド方式といいます。マザーファンドはベビーファンドの一部運用方針が同じになっているので、マザーファンドの運用損益をベビーファンドの運用方針に基づく投資比率で配分します。
コストが下がることで、信託報酬が低くなり、長期運用に最適です。
一方、ファンド・オブ・ファンズは、投資家が投資した投資信託がさらに別の投資信託に投資することをいいます。投資信託は運用期間中に信託報酬がかかるため、投資家は投資信託から投資信託へ投資することで二重に手数料を支払うことになります。
ファンド・オブ・ファンズの形式がとられるのは海外上場のETFなどで、コストを下げて運用するなら現地上場のETFを直接買付する方が手数料は安く済みます。
海外上場のETFとして市場が大きいのが米国上場のETFですが、直接買付する場合為替手数料を支払い円をドルに替えて、直接米国市場に注文を出します。売却時も米国市場で売却し、ドルのまま運用するか円に交換します。
初心者の方は、米国市場に精通しておらず価格もドル表示となるため、ファンド・オブ・ファンズ形式で海外のETFに気軽に投資することができます。ただ、米国市場への注文、ドル建での運用に抵抗がないならば、直接米国ETFで運用した方がコストは安く済みます。
仕組みについて理解して納得の上投資しよう
投資信託の目論見書の確認は購入前に必ず必要です。ただ、確認はしているものの読み込む方は少ないでしょう。投資信託は長期での運用に適した金融商品です。長いお付き合いになる商品についてできるだけ理解し、納得の上運用しましょう。
文/大堀貴子
フリーライターとしてマネージャンルの記事を得意とする。おおほりFP事務所代表、CFP認定者、第Ⅰ種証券外務員。