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クラフトビール人気で注目度急上昇、IPAに欠かせないといわれるホップ「カスケード」って何?

2020.09.01

クラフトビール界で存在感を高めているホップについて、もっと知りたい。日本の大手メーカーのラガービールに使われているホップは? 世界のトレンドは? 

季節は秋。日本でもホップの収穫が終わり、新ホップを使ったビールが待たれる季節だ。日本のホップにも注目してみよう! 

MURAKAMI SEVENの毱花。

いつものラガーにホップのこだわりを見る

日本の大手ビールメーカーの主要銘柄がどんなホップを使用しているのかご存知だろうか? キリンビールとサッポロビールに聞いてみた。

まず、キリンビールのラガービールについて、ホップ開発を担当する杉村哲さん(キリンホールディングス株式会社飲料未来研究所)に聞いた。

「ベーシックなラガータイプの中でも、香りでホップの使い分けを始めたのが90年代に入ってからです。主にチェコのザーツ、ドイツのハラタウ産のビターホップとアロマホップなどを使用しています。

また、「ラガー」にはドイツ産のヘルスブルッカーという品種を長らく愛用しています。ドイツ土着の品種で大変古くからあるようで、ウッディでスパイシーな香りが特徴です。弊社では「ラガー」のほか「本麒麟」にも使用しています。キリンらしさを表すホップと言ってもいいでしょう」

杉村哲さん:キリンのホップスペシャリスト、杉村哲さん。新ホップの開発や加工法の研究、ホップの買付も担当する。ドイツ・ミュンヘン工科大学の醸造飲料技術研究室でホップ由来の成分を研究。「クラフト事業、ひいては日本のビール文化に貢献していきたい」と語る。

次に、サッポロビールの主要ブランドについて、新商品開発にあたる新井健司さん(新価値開発部)に聞いた。

「130年前、ドイツビールの製法を基本に生まれたエビスビールの原料は、麦芽とホップと酵母だけです。ドイツ産原料にこだわり、バイエルン産のアロマホップをふんだんに使用しています」と話す。

歴史の長さ、ブランドイメージの変わらなさ。その骨格を成すホップはバイエルン産のアロマホップだった。

「青いラベルのプレミアムエールは香りづけにアメリカ産のカスケードを使っています。カスケードはクラフトビールの中では、特にIPAではたいへんメジャーな品種です」

さらに限定販売される「エビス<ザ・ホップ>」について聞いた。2007年発売のこのビールは、ラガータイプであるが、その名の通りホップの風味が存分に楽しめるホップ好きに好評のビールだ。

「金エビスと同じくバイエルン産アロマホップのほか、チェコのザーツというファインアロマホップも使用しています。苦味、香りともに大変質のいいホップです」

通年商品ではなく、期間限定である。だいたいお中元前に出ることが多い。記者も目にするたびに購入しているが、風味はシーズンによって微妙に異なるような気がする。その点、率直に聞いてみると、

「そうですね、ホップの香りをあれだけホップの香りを高めたビールだと、たとえ同じ原材料を使っても、やはり農作物ですし、完全に同じ風味に仕上げるのは、なかなか難しいのです。SNSなどで消費者の感想を見ると、今年のエビス・ザ・ホップは素晴らしいとか、私は去年の方が好きとか、評価が分かれていますね。そうした違いも含めてホップの香りを楽しんでいただければと思っています」

ホップの香りを前面に立てたビールは、大手メーカーをもってしても再現性が難しいものなのだと知る。その点、「黒ラベル」は違いを感じない。

「黒ラベルはホップの品種を規定していないのです。先ほども申しましたが、毎年微妙に苦味の強さ香りが変わりますので、常に黒ラベルの風味を出すためにはいろいろブレンドする必要があるのです。これはエビスも同じですし、麦芽も同じ。各工場で調整しながら、いつもの黒ラベル、いつものエビスに仕上げているのです

ここがいわゆる大手ビールと、いわゆるクラフトビールの大きな違いではないだろうか。大手の主要銘柄の味が飲むたびに違ったら、「あれ?」と思われるだろう。だが、クラフトビールなら、「味がこの前と違うね」と文句を言う人はいないだろう。

新井健司さん:新価値開発部でビールテイストの新商品を開発中。ドイツのミュンヘン工科大学の醸造学科留学中に「ソラチエース」を知る。現在はSORACHI1984のブリューイングデザイナー。

鯉江弘一朗さん:北海道原料開発研究所でホップの研究開発中。国産ソラチエースの苗づくりを担当した。写真は今年6月、ソラチエース植え替え中の鯉江さん。

時代は「フルーティ」なのか?

クラフトビールの世界に目を向ければ、2000年代に到来したIPA時代が今も続く。フレーバーの強いホップ、ユニークなフレーバーをもつホップが次々と登場している。中でも、IPAに欠かせないと言われるカスケードの人気は絶大だ。カスケードとはどんなホップなのだろう?

サッポロビールの北海道の原料開発研究所でホップの開発にあたる鯉江弘一朗さんによると、もともと1960年代にアメリカで育種された品種だそう。

「その当時は、アメリカでもスッキリ飲みやすいピルスナータイプが好まれていたので、カスケードのような独特な香りは求められていなかったのです。それが2000年代に入って潮目が大きく変わりました。クラフトビール人気の高まりとともにカスケードが脚光を浴びるようになったのです。グレープフルーツのような柑橘系のフルーティな香りがきれいにつく品種です」と説明してくれた。大器晩成型のようだ。

しかし近年、このカスケード王国アメリカに変化の兆しが見られるという。キリンの杉村さんによると、

「長らくカスケードがアメリカの生産量トップでしたが、2018年にシトラという品種がトップになりました。シトラとは、その名のとおりシトラス系の香りが特徴です」

シトラのほか、アマリロ、シムコー、モザイクといったホップの作付面積も増えているという。いずれもアメリカ産で、柑橘系やトロピカルフルーツのようなフレーバーを特徴とするホップだ。別にカスケードの人気が落ちたということではなく、この系統のホップがアメリカで次々と登場しているというわけだ。

「アメリカのホップ卸業者に会うと、まだ名前も付いていないようなホップをどんどん紹介されます。ホップの育成には通常10年かかると言われるのですが、アメリカではクラフトビール人気が本格化した10年以上前から、いろいろなホップを育ててきたからです。IPA人気が先かホップの多様性が先かは鶏と卵の関係のところもありますが、相乗効果を生んだのは間違いないでしょう」

ちなみに、「グランドキリンIPA」にはアメリカ産のカリプソというホップが使われている。柑橘類や桃、梨の香りを思わせるフルーティな香りをもったホップだ。キリンビールがカスケードを採用しているビールは、少し意外なことに「淡麗グリーンラベル」だ。フルーティで飲みやすい、カスケードの魅力はエールに留まらないようだ。

これから注目されるホップとして、杉村さんは「オセアニアのホップ」を挙げる。

「育種の歴史はそれほど長くありませんが、独自のおもしろさがあります。特に、私はオーストラリアのギャラクシー、ニュージーランドのネルソン・ソーヴィンに注目しています」

ギャラクシーはパッションフルーツのような香りが特徴だ。ネルソン・ソーヴィンは白ぶどうのソーヴィニヨン・ブランのような繊細で華やかな香りを特徴とする。キリンビール系ではスプリングバレーブルワリーの「on the cloud」に使用されている。

→その2「日本産ホップ100%のビールが飲める日」につづく

取材・文/佐藤恵菜

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