全席にコンセント設置。充電の不安を解消
13年ぶりにフルモデルチェンジした東海道新幹線の「N700S」。Sは最高を意味する「Supreme」の頭文字で、日本の大動脈である東京と大阪を結ぶ新幹線にふさわしい車両だ。7月1日から運転を開始したが、まさに出張を快適にしてくれる新幹線なのである。
これまでの東海道新幹線「N700」では、グリーン車に乗れば全席にコンセントが設置されていたが、普通車の場合は窓側席と最前列の全席のみだったことから窓側席以外ではほとんどコンセントが使えなかった。しかし「N700S」では全席にコンセントが設置されており、どの席を選んでも充電ができるようになった。肘掛け部分にあるコンセントを確認してみたが、とても画期的であり、車内で使える無料のWi-Fiも含め、新幹線の車内で仕事ができる環境がこれまで以上に整った。
また、駅に停車する直前に荷物置きの照明が明るくなり、荷物の置き忘れや乗り過ごし防止になる工夫も施されている。実際に乗車した時は、駅に着く直前に急に明るくなる感じがあった。
リクライニング時にさらなる快適さを実感
また、普通車・グリーン車ともにシートもグレードアップ。筆者はリクライニングした時に特に違いを感じることができた。普通車では、新たにシートと背もたれが連動する構造になったことで、従来と大きく角度は変わっていないが、深くなっているように感じた。一方、グリーン車ではリクライニングするとお尻の部分がより深く入り込むことでシートに体全体がフィットするようになり、疲れてゆっくり睡眠をとりたい時にベストな状態に仕上がっていた。
加えて、普通車・グリーン車ともに窓の横にペットボトルを置いてもカーテンを全て閉められるなど、細かい部分の改良もあり、快適度の高い空間となった。
どの列車が「N700S」になるのかについては、東海道新幹線公式ツイッターで前日に投入予定の列車が発表される。出張の際、時間に余裕があれば、投入列車が発表されてから狙ってみるのもいいだろう。
横浜・崎陽軒のお弁当など、食品会社3社とコラボレーションした企画商品も見逃せない。
7月1日にデビューした東海道新幹線「N700S」。車内セキュリティーも向上し1両に最大6台の防犯カメラを設置。
普通車もシートと背もたれが連動してリクライニングする構造。
テーブルも大きく(上)、コンセントも完備(下)で車内でのパソコン仕事も捗る。
長時間座ってもより疲れにくいシートになったグリーン車。足元のスペースも約15%拡大したことでより快適に。
グリーン車も各座席にコンセントを完備。隣が空席ならノートPCとスマートフォンの両方を充電することも。
押さえておきたい3つのポイント
【Point 1】全席コンセントで充電の不安なし
【Point 2】リクライニング時の快適度アップ
【Point 3】グリーン車はより落ち着いた空間
鳥海高太朗/航空・旅行アナリスト、帝京大学経済学部地域経済学科非常勤講師。