もし「ペット不可物件」で犬猫を飼ってしまうと
先日ドライブ中にある団地沿いを走っていると、「犬や猫などの飼育はできません。ルールなので」という大きな看板を目にした。
書き方的にもおそらく、以前にその団地で勝手にペットを飼っていた入居者がいたのだろう。
筆者が子供のころは貧しい団地の子だったが、やっぱり団地なのに犬を飼っている世帯はあった。ただし古い時代の話なので、そこまで問題視はされていなかったような記憶もある。
しかし、団地にせよアパートにせよ、ペット不可物件というのは基本的にペットと暮らすに適していない。だから素直にそのルールにはしたがっておくことが、建物や他の入居者のためでもあるし、何より動物たちのためだ。
内緒で飼育してもバレるよ!
これはある男性の実体験だ。
彼はあるとき、捨てられている子猫を見過ごせずに拾ってしまった。ところが彼が住んでいるのはペット不可のアパートだった。
そこで彼はわざわざ壁に吸音材を貼り、窓ガラスにも猫が登れないように囲いをし、さらにわざと猫嫌いを演出するため、玄関口に水の入ったペットボトルを並べた。
「これで完璧だ」
と思ったのも束の間、順調に成長した猫を育てる以上、定期的に動物病院で検査をしたり、避妊手術をさせたり、マイクロチップを埋め込むなどの必要性が出てくる。
そのたびに猫を外に連れ出すのだから、いずれ誰かに怪しまれるのは当然のこと。
しかも猫は鳴くし駆け回る。隠し通すことなど無理だった。
あるとき管理会社から「お宅、猫飼ってるよね」という電話が入り、彼は退去することになった。
幸いにもその管理会社が紹介したペット可物件に引っ越すことができたが、それでも退去時には猫が傷つけた壁紙を修復するための費用を出す羽目になったそうだ。
無断でペットを飼うと、退去時の請求が怖いよ!
前述の男性の実体験みたいな話は、日本中に山ほどあるのかもしれない。
今この瞬間も、ペット不可物件でこっそり犬猫を飼う人が残念ながらいるだろう。が、そもそもいずれバレるので、部屋がこれ以上状態を悪くする前に、ちゃんとした物件に早急に引っ越すのが一番だ。
それすらせずに黙って飼育しても、近隣からのクレームや立ち退きの際の余計な金銭的負担という形で必ず報いを上乗せされるもの。それに、バレなければいいという話でもない。
もしペットを看取るまで誰にも見つからなかったとしても、結局最後まで肩身が狭い思いをするだけだ。押し込められたまま、内緒で飼育されていたペットも可哀想だし。
犬の場合は散歩にも出れないし、猫の場合は窓際から外を見渡すこともできない。
これはもう、虐待の範疇に入っていると考えてもいいだろう。
そしてやっぱり、繰り返しになってしまうが退去時の修繕費の請求額が怖いじゃないか!
真っ当に入居していれば多少請求額が高くても文句を言えるが、ペットを飼っていたという負い目がある以上は反論もできない。下手すると数十万単位の請求を飲まなくちゃならないことも考えられる。
そういうことにならないためには、ペット不可物件でペットを飼わないという当たり前のルールを守ることが大事になる。
おわりに
まあでも、昔は団地にも普通に犬や猫を飼っている問題のある入居者ってちらほらいたものだが、今はかなり減っているんじゃないだろうか。
それは飼い主側のモラルが向上した結果か。はたまたペット可物件が徐々に増えてきたお陰か。
どのみちペットたちにしてみれば、自分たちの存在を秘匿されることなく大事にしてもらうことこそ幸福であることには間違いないはずだ。
文/松本ミゾレ(PETomorrow編集部)
構成/inox.
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