証券口座をインターネット完結で口座開設する中、iDeCoは現在書面手続きが必須となっています。
iDeCoとは?
iDeCoは確定拠出年金のうちの1つです。
確定拠出年金は60歳から受給できる年金で、国民年金や厚生年金等の公的年金だけでは足りない収入を補うことができます。また、現役世代が年金受給者世代を支える国民年金と厚生年金の賦課方式と異なり、自分で支払った掛金は自分の年金額にのみ反映されるのが特長です。
iDeCoの掛金は、投資信託や定期預金等の金融商品から選んで毎月積立、掛金の拠出金額全額(拠出金額は限度額あり)が所得控除となり、所得税・住民税を軽減することができます。そして、運用で得られた利益は全て非課税になり、受取時には一括なら退職所得控除、年金形式なら公的年金等控除の対象となります。
iDeCoの書面手続きの煩雑さ
最近では証券口座もインターネットのみで完結できるのですが、iDeCoの加入時にはまず書類手続きが必要になります。
加入前に、「個人型年金加入書」「加入者月別掛金額登録」が必要で、厚生年金加入者は「事業所登録申請書兼第2号加入者に係る事業主の証明書」を勤務先に作成依頼する必要があります。
また、企業型確定拠出年金に加入していた方、iDeCoに既に他社で加入している方は「個人別管理資産移管依頼書」が必要になります。
上記のように最大3種類手書き書類の提出が必要になります。
さらに加入後においても、住所変更や掛金引落し金融機関の変更、掛金の金額変更に手書きでの変更書類が必要になります。
なお、運用中の資産のスイッチング(ある資産を売却して、他の資産に預けること)、毎月の掛金の運用先などの変更はインターネット上でできることがほとんどです。
このような書類手続きがあり加入資格があるかどうかの確認もあるため、加入手続きに1ヶ月程度かかってしまいます。
2021年までにiDeCoの電子化
加入時に書類に記入して郵送し、さらに記入ミスがあれば返送され訂正をしなければならないなど、加入前に煩雑な手続きがあるため、この時点で面倒に感じて加入をやめてしまった方もいるかもしれません。
また、やっと加入でき、最初は最低金額の5,000円の掛金から始めて、慣れてきたので掛金を増やそうと考え掛金の金額を変更しようとしたらまた書類手続きが必要と、通常の証券取引に比べると非常に煩雑になっています。
そこで厚生労働省は、手始めに2021年1月から加入手続きの電子化、2021年後半までに拠出金額変更、住所変更において電子化する検討に入りました。
iDeCoの加入の中心となる20~40代の方は、スマホやインターネットの操作に慣れているため、手軽に手続きできるようになれば、iDeCo加入がさらに拡大するでしょう。
(参考)
日経新聞2020年7月25日「iDeCo手続き、21年後半までに電子化 拠出額変更など」
文/大堀貴子
フリーライターとしてマネージャンルの記事を得意とする。おおほりFP事務所代表、CFP認定者、第Ⅰ種証券外務員。