就活で「面接官の心をつかみたい」と思っている人は、『座右の銘』の選び方に注意しましょう。座右の銘の起源や由来と、選び方のポイントについても紹介します。面接で好印象を残せるように、しっかりと準備しましょう。
座右の銘の基礎知識
面接時の質問としてよく聞かれる座右の銘ですが、その読み方や意味があやふやな人もいるのではないでしょうか?元々の意味や語源とともに、使う言葉の決まりについても解説します。
読み方と意味
『身の回りや身近な所』という意味の座右と、『刻み付けた文字や言葉』という意味の銘を組み合わせて、『ざゆうのめい』と読みます。
『いつも胸に刻んでおきたい教訓や、心の支えとする言葉』という意味です。どう生きたいかという人生観や理念、日ごろの心得、独自の思想や価値観など、対象は多岐に渡ります。
語源や由来
『右に座る』が、なぜ身の回りや身近な所を意味するのでしょうか。これは古来中国の皇帝が、重要な側近を自分の右側に座らせていたことが始まりとされています。
また、『銘』の刻み付けた文字や言葉というのは、教訓などを器物や金石に掘り刻んでいたことが語源です。
座右の銘は、古代中国の詩人であった崔瑗(さいえん)が記した、『座右銘』という文章が由来であるとされています。自分の短所を責めない、自慢話をしないなど、有名な空海も感銘を受けた言葉が書かれています。
使う言葉に決まりはない
ことわざや四字熟語を座右の銘として挙げる人は少なくありません。誰もが知っている歴史上の偉大な人物や活躍しているスポーツ選手、世界的に有名な企業の創立者の言葉などを選ぶ人も多いでしょう。
何かを世に残した人の言葉は重みがあり、人生の役に立つことも多いです。しかし、必ずしも手の届かないような有名人の言葉でないと、使えないというわけではありません。
あくまでも自分が胸に刻んでおきたい言葉や、心を動かされる言葉であることに意味があります。そのため、自分が生活する上で決めているルールや心掛けでもよいのです。
面接で聞かれるのはなぜ?
就職活動の面接に座右の銘を準備していくのは、常識になっているといっても過言ではありません。面接で聞かれる理由や目的を知り、対策をしましょう。
人柄や価値観を知るため
どんなに経験豊富な面接官でも、限られた面接時間内で一人ひとりの価値観や人柄を把握するのは難しいのが現状です。座右の銘(胸に刻んでおきたい言葉)には、その人の人生観や価値観、人柄といった多くの要素が詰まっているため、そこから人物像を把握する狙いがあります。
ことわざでも有名人の言葉でも、聞き手によってその印象は異なります。ポジティブと感じることもあれば、真面目と感じることもあるなど、千差万別のはずです。つまり、選ぶ言葉によって、あなたが相手に与える印象も異なるということです。
面接官は、どの言葉を選んだかということだけでなく、なぜその言葉を選んだのかという点も見ています。有名な言葉であるほど、他の人とかぶることも多くなりますが、選んだ理由によっても価値観の違いが分かるためです。
仕事に対する考え方を確認するため
胸に刻んでいる大切な言葉は、人柄や価値観を知るものさしです。その選び方で、仕事に対する考え方や進め方も見えてきます。
仕事中は物事が順風満帆に進むとは限らず、困難に直面することも珍しくありません。そこでどのような行動をとるのか、解決のためにアクションを起こせるのかなど、『その人の行動指針』を知るために座右の銘を尋ねるのです。
危機的状況の乗り越え方は、会社にとって役立つ人物かを見分ける重要なポイントになります。
選び方と伝え方のポイント
言葉の持つイメージで自分の印象が変わるということは、自分のセールスポイントをアピールできることでもあります。プラスに利用できるように心掛けましょう。
企業の方針に合ったものを選ぶ
普段、心に留めている言葉が企業の方針に合わない場合は、面接用に別の言葉を用意しましょう。採用してもらうには、企業にとって有益な人材であると認めてもらう必要があります。そのため、企業の方針や理念、仕事内容に合った言葉を選ぶことが対策になります。
例えば、最先端のテクノロジーを提供し続けている企業であれば、チャレンジ精神や失敗を恐れない前向きさ、チームワークや協調性をアピールする言葉などが合っているといえるでしょう。
企業のキャッチコピーは、各社の方針や理念を考慮して作られているため、キャッチコピーからイメージを膨らませて、関連する言葉を選ぶのもおすすめです。
漫画や映画の台詞は避ける
時代の流れとともに、独自性や個性を重視する企業が増えています。人と同じでは目立ちにくいため、個性をアピールしたいと考える人もいるかもしれません。
しかし、漫画や映画の台詞は、たとえ胸を打つ言葉だとしても避けた方が無難でしょう。漫画や映画は架空の世界であるため、言葉の重みや説得力に欠け、あまりよい印象を与えない可能性が高いです。
特に伝統を重んじている企業や年配の面接官の場合は、ふざけていると不真面目な印象を与えてしまうことにもなり兼ねません。実在の人物の言葉やことわざなどから選ぶようにしましょう。
エピソードを交えて伝える
企業方針や理念にぴったりな言葉でも、なぜその言葉を選んだのかという理由があやふやだと説得力に欠けます。面接用に立派な言葉を選んだだけで、実際に教訓としているわけではないと思われてもしまうこともあるでしょう。
より明確に伝えてインパクトを与えるには、自分の体験談などエピソードを交えることが大切です。エピソードといっても何でもよいわけではなく、ポジティブなストーリーが好印象になります。
例えば、何度も諦めずに挑戦するというチャレンジ精神を表す言葉であれば、「泳げなかったが、練習を重ねて25m泳げるようになった」というようなハッピーエンドがおすすめです。
ジャンル別、面接で使える座右の銘
面接で好印象を残せる言葉を厳選して、ジャンル別に紹介します。「大切にしている名言は?」というように限定されることも考えて、ジャンル別に一つずつ準備しておくと安心でしょう。
ことわざ
一つの仕事をコツコツと諦めずに取り組める真面目さをアピールするなら、『石の上にも三年』が使えます。責任感の強さや我慢強さも強調できるため、一から教えて育てていきたい人材と思われるかもしれません。
似たようなニュアンスに、『持続は力なり』や『塵も積もれば山となる』もあります。
社会生活では人との関わりが欠かせないため、『情けは人のためならず』もおすすめです。良好な人間関係を築ける、チームワークを大切にできるといったことをアピールできるでしょう。『人を思うは身を思う』も同じ意味で使えます。
四字熟語
常に努力を惜しまず、仕事に真面目に取り組む姿勢をアピールするなら、『歳月不待(さいげつふたい)』が使えます。元々の意味は『時は待ってくれない』で、今という一瞬一瞬を無駄にしないという教訓です。
任された仕事は途中で諦めず、最後まで粘り強くやり遂げる忍耐強さをアピールしたいときは、『初志貫徹(しょしかんてつ)』がおすすめです。決めたことを最後までやり抜き通すという意味があります。仕事で困難に直面したときに、くじけずに前に進んでいける強さがあるという印象を与えられるでしょう。
どのような状況でも負けない心の強さや、チャレンジ精神をアピールするなら、『七転八起(しちてんはっき)』も使えます。七転び八起きが指す通り、転んでも必ず起き上がるという意味です。
偉人の名言
商品開発や技術開発などに関わる仕事であれば、『アイデアの秘訣は執念である』が使えます。日本を代表する物理学者で、ノーベル物理学賞も受賞した湯川秀樹の有名な言葉です。努力を惜しまず、成し遂げる強い意志をアピールできるでしょう。
アインシュタインの言葉で似たような意味の『天才とは努力する凡才のことである』もおすすめです。
営業やマーケティングに関わる仕事には、『考えてばかりいないで、とにかくやるべきことをやれ』が使えます。思想家エマーソンの名言です。仕事に不可欠な決断力・行動力・実行力をアピールできるでしょう。リーダーとして人の上に立つ人材になり得ると思われるかもしれません。
構成/編集部