猫から人に感染する可能性のある7つの病気とは?
「猫ファースト」のわが家では、「帰宅して猫にさわる前には必ず、入念な手洗いをすること」がルールになっています。それは、例えば「猫パルボウイルス感染症」のような感染力が強い病気の場合、その病気の猫に触っていなくても、その猫に触った人との偶然の接触でうっかり感染菌を持ち帰り、猫に感染させてしまう可能性がゼロではない、と聞いたからです。
では逆に、猫から人に感染する病気はあるのでしょうか? 調べてみたところ、インフルエンザウィルスのように、人にも動物にも感染する感染症(人獣共通感染症)は日本だけで約100種類あるそうです。この中で、犬、猫、小鳥、カメなどの「ペット」から感染する「ペット感染症」が約25種類、そのうち猫から人間に感染する可能性のある感染症は以下の約7種類です。
無症状でも、多くの猫が病原体を保有している感染症
ネコひっかき病…。猫に寄生したノミの糞便中に排泄された菌が、グルーミングにより歯や爪に付着して感染。保菌している猫に噛まれたり、引っかかれたり、また手などにできた傷を猫がなめたりすることで感染します。飼育猫を対象とした調査では、その7.2%が感染しているというデータも。感染した人は約2週間で、傷が赤紫色に腫れたり、リンパ線が腫れて傷んだりすることもあります。かすり傷だと甘く見ないで、病院で受診してください。
パスツレラ症…猫とのキスなどによる接触感染。猫は無症状ですが、人間は抵抗力が弱まっている状態だと、風邪症状から肺炎までさまざまな症状が起こります。特に糖尿病や肝臓障害などの基礎疾患のある人、高齢者の場合は重症化する可能性がありますので注意を。
パスツレラ菌の猫の保有率は、口腔内で100%、爪で20~25%といわれていますので、上記のような健康状態の人は猫といっしょに寝ないように注意しましょう。
病気に感染した猫からうつる感染症
Q熱…感染動物の尿や糞便などから感染する病気で、感染した人は発疹が起こります。感染した猫には軽度の発熱が起こることが多いようです。
真菌症…感染した猫(円形上の脱毛やかさぶたが特徴)との接触感染。人間には風邪に似た症状が起こります。
疥癬(かいせん)…感染した猫(耳のふち、かかとなどにかさぶた、脱毛、かゆみがある)からの接触感染。感染した人は、手、腕、腹などに赤い斑点ができ、夜間にかゆみが起こります。
イヌ・ネコ回虫症…子犬、または感染した猫の、下痢を起こしている糞便の中の寄生虫から感染。感染した人はまれに網膜や肝臓に障害が起こります。
トキソプラズマ症…感染した猫はほとんどの場合無症状ですが、その糞便の中の寄生虫から人間に感染します。感染経験のない人が妊娠初期に感染した場合、胎児に影響が出ることも。ただし治療法があります。
猫からの病気感染を防ぐには
猫からの病気感染は、以下のことで防ぐことができます。
*新たに猫を迎える場合、ノミやダニ、寄生虫がいないかを病院で調べてもらい、駆虫を。
*猫のトイレはこまめに掃除をし、掃除の後は必ず手洗いを。
*口移しで食べ物を与えたり、食事をしている箸で与えたりするのも厳禁。
*うがいを習慣づけるのもいい方法。
*体を鍛え、抵抗力を高める。
7種類の感染症のうち3種類は猫に症状があらわれませんが、4種類は皮膚の異常や下痢、腹痛などの症状が起こります。猫の健康状態をこまめにチェックし、少しでも異常があったらすぐに病院で受診することも、大事な予防法といえます。
文/桑原恵美子(PETomorrow編集部)
参考資料/「猫好きが気になる50の疑問」(加藤由子著・サイエンス・アイ編集部編・ソフトバンク クリエイティブ刊)
構成/inox.
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