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所有者が期待する賃料より、運用者が実際に得ている賃料のほうが高い「空き家」の活用術

2020.08.16

世の中に意外と多く存在する「空き家」。その所有者と運用者は、どんな思いで空っぽの居住スペースと向き合っているのだろうか?

そこで今回、アキサポ空き家総研では、空き家の所有者と運用者それぞれの意識・実態の調査を実施。調査の結果、空き家運用に関する「所有者」の“イメージ”と「運用者」の“実態”にギャップがあることなどが明らかになった。

以下に調査の詳細を紹介していく。

【1】 空き家に関するイメージの比較

■空き家運用は“ハイコスト、ローリターン”というイメージが先行

「所有者」は、「売却したくてもできない(31.3%)」、「リフォームやリノベーションにお金が掛かる(29.7%)」といった、「お金」に関連するネガティブなイメージが先行していることがわかった。

一方、「住居の賃貸にして家賃収入が得られる(14.0%)」、「店舗の賃貸にしてテナント料が得られる(3.3%)」といった、空き家運用によって収入が得られるというイメージは、実際に空き家を運用している「運用者」(順に 28.3%、9.0%)と比べると倍近い開きが生じており、「所有者」にとって、空き家運用は“ハイコスト、ローリターン”というイメージが強いことがうかがえる。

また、空き家を運用することで収入が得られると「運用者」が考えている(「住居の賃貸にして家賃収入が得られる(28.3%)」、「店舗の賃貸にしてテナント料が得られる(9.0%)」)一方で、「所有者」の一部は、「家具や荷物の置き場に困らない(14.3%)」、「将来住宅に困らない(11.3%)」など、自身が所有する空き家に対して積極的な運用を検討していないことが読み取れる。特にその傾向は、年配層(50代~60代)で強く表れている。

【2】リフォーム/リノベーション費用に関する比較

■「所有者」が想定する空き家のリフォーム/リノベーション費用は、「1,000万円以上」がトップ

「所有者」が想定する空き家のリフォーム/リノベーション費用は、「1,000万円以上」と回答した人が約2割(18.2%)で最も多く、一方で、「運用者」が実際にかけている費用は、「100万円~200万円未満」と回答した人が16.4%でトップ、次いで「200万円~300万円未満(15.5%)」となった。「所有者」の回答で最も多かった「1,000万円以上」と回答した「運用者」は、1割程度にとどまった。

リフォーム/リノベーション費用については、フルリノベーションを想定している「所有者」が多いことがうかがえる。しかし実際は、「所有者」が想定しているよりも、「運用者」は費用をかけずに空き家を運用しており、一部改修(クロス張替え、フローリング、一部設備入れ替えなど)のみを行っている「運用者」が多いようだ。

■リフォーム/リノベーション費用の平均金額を比較すると……

「所有者」が想定する空き家のリフォーム/リノベーション費用の平均金額は約426万円(4,263,538 円)、「運用者」が実際に空き家のリフォーム/リノベーションにかけている費用の平均金額は約344万円(3,443,695円)となり、実際にかけている費用の方が約82万円(819,843円)低いことが明らかになった。

【3】運用益に関する比較

■「所有者」が期待する賃料よりも、「運用者」が実際に得ている賃料の方が高いことが明らかに

空き家を運用する場合、期待する毎月の賃料について、「所有者」のおよそ3人に1人(33.2%)が「5万円~10万円未満」と回答した。一方で、「運用者」が実際に得ている毎月の賃料をみると、最も多い回答は「10万円~15万円未満(18.6%)」、「5万円 ~10万円未満(15.9%)」、「20万円~50万円未満(11.5%)」が続いた。「所有者」の最も多くが期待している賃料以上に、「運用者」は高い賃料を得ていることがわかった。

■月額賃料の平均金額を比較すると、「所有者」が期待する賃料よりも「運用者」が実際に得ている賃料が約6万円高い結果に

「所有者」が空き家を運用する場合、期待する毎月の賃料の平均金額は158,743円、「運用者」が実際に得ている賃料の平均金額は 218,464円となった。「所有者」が期待する毎月の賃料以上に、「運用者」が得ている賃料の平均金額は高く、約6万円(59,721円)の差が開いた。

■実際に賃料を得ている「運用者」の空き家運用に対する満足度は、6割以上と高い

実際に得ている毎月の賃料で、最も多かった「10万円~15万円未満(18.6%)」と回答した「運用者」の3分の2(66.6%)が、空き家運用の満足度について「満足している」(「満足している」+「やや満足している」)と回答した。

実際に賃料を得ている「運用者」全体でも、6割以上(63.4%)が「満足している」(「満足している」+「やや満足している」)と回答し、賃料を得ることが空き家運用の満足度を左右する一つの要素となっていることがわかった。

【4】 賃料と地域貢献に関する意識の比較

■「所有者」「運用者」とも、地域貢献より賃料優先の意識が強い

「運用者」は、空き家の運用について「賃料を優先」が9割以上(91.9%)となり、「所有者」と比べても、「地域貢献を優先」の割合が少なく、1割にも満たない結果となった。これは、「運用者」の多くが、空き家運用によって賃料を既に得ているため、「お金」に対してより優先意識が強いと考えられる。

一方「所有者」は、約8割(77.7%)が「賃料を優先」、約2割(22.3%)が「地域貢献を優先」と回答した。「運用者」と同様に賃料優先の意識が強いものの、地域貢献を意識している「所有者」が一定数いる
ことがわかる。「所有者」が、実際に空き家運用に踏み出すためには、単に「お金」が得られるだけでなく、地域貢献もできるような運用方法が、重要な要素の一つであるといえるだろう。

また、「所有者」「運用者」とも、地域貢献に対する意識が低い要因の一つには、各自治体によって空き家活用についての取り組みが異なる点も挙げられるかもしれない。とくに、空き家対策にそれほど力を入れていない地域では、地域貢献に向けられる意識が薄い可能性が考えられる。

【5】まとめ ~調査結果の比較からの考察~

空き家「所有者」は、空き家の運用には「お金」がかかるというネガティブなイメージが先行しており、リフォーム/リノベーション費用についても、空き家「運用者」が実際にかけた費用よりも想定額が高く、空き家の運用に対してハードルが高いと感じていることがうかがえる。

また、空き家の運用によって「賃料を得られる」というイメージを持っている「所有者」は少なく、「運用者」が実際に得ている賃料よりも期待している賃料の想定額は低い結果となった。「所有者」は、空き家運用は実際よりもリスクが高い割に「お金」が得られない=リターンが少ないと考えており、それが空き家運用に踏み出せない要因の一つになっているのではないだろうか。

一方で、空き家運用の実態をみてみると、「所有者」の想定額よりも実際には多くの賃料を得ている「運用者」が多く、月額賃料で平均約 6 万円も高いことがわかった。また、空き家運用に対する満足度についても、賃料を得ている「運用者」の6割以上が満足していることが判明した。

空き家運用に関しては、修繕費などの費用を最低限に抑えながら、ある程度の安定した賃料収入が得られる空き家運用法の訴求が、「所有者」の行動を促すために重要であるといえるだろう。

<調査概要>
調査対象:
「所有者」… 一都三県に空き家を所有しているが、運用はしていない 30代~60代の男女300名
「運用者」… 一都三県に空き家を所有し、住居や店舗として貸し出すなど、何らかのかたちでその空き家を運用している30代〜60代の男女300名
調査方法:インターネットリサーチ (調査地域:東京都、千葉県、埼玉県、神奈川県)
調査時期:2020年1月27日(月)~1月30日(木)
※空き家=戸建て、区分マンション、1棟マンション・アパート、1 棟ビル、セカンドハウス(別荘)、店舗

※本調査における「空き家」とは、戸建て、区分マンション、1棟マンション・アパート、1棟ビル、セカンドハウス(別荘)、店舗を対象とし、所有者が「空き家」と認識している物件のことを指す。

※n=30 未満は参考値

出典元:アキサポ空き家総研(運営:株式会社ジェクトワン)

構成/こじへい

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