緊急事態宣言中はまさに生命線だったインターネット。家族が一斉につないだことで、速度などに不満を感じた人も少なくなかったようだ。あらゆるものがつながるIoT時代を前に、自宅のネットワークを見直すなら今がチャンスだ!
テレワークを経験して、自宅のネットワーク環境に不満を感じた人も少なくないはず。実際にテレワークを実践した企業が社員に実施している調査でも、通信状況の悪さからコミュニケーションに不都合を感じたという声が多く寄せられている。そこで、この機会に、光回線やプロバイダーとともに見直したいのが、宅内のWi-Fiだ。
最新のWi-Fi規格は「Wi-Fi6」と呼ばれるIEEE 802.11ax。規格の理論値では最大9608Mbpsで、すでに発売中のルーターも、4804Mbpsを実現するなど超高速。ただし「Wi-Fi6対応機器がすべて、この速度をサポートしているわけではない」とテクニカルライターの山口真弘さんは話す。「手持ちのスマホやPCが対応していなければ、コスト高になるだけ。Wi-Fiルーターは同じ規格に対応する製品でも、世代を重ねればそれだけ性能が上がって筐体は小さくなり、価格が下がることもよくあります。まずは設置場所の見直したり中継器などで状況を改善できるか試してみましょう。買い替える際もまずは手持ちの機器の対応状況を確認することをおすすめします」
■ 通信環境の不備がコミュニケーションを阻む!
テレワークを推奨する企業が社員に実施したアンケート調査では「コミュニケーションに不都合を感じた理由」の筆頭に「通信状況の悪さ」が挙げられている。
【POINT1】今のルーターの使い方を見直す!
高いところに設置しつつ、周波数帯域を使い分けよう
見通しのいいところ=つまり高いところに置くのがWi-Fiルーター設置の基本。またWi-Fiには2.4GHz帯と5GHz帯の2つの周波数帯があり、2.4GHz帯はBluetoothなどのほかの規格で使われていることもあって混雑しがちだ。そのため「5GHz帯を中心にし、なるべく2.4GHz帯は使わないようにするのが鉄則」と山口さん。ただし1階から2階に電波を飛ばす場合などは「設置方法で電波が改善するケースはまれ」とのこと。中継器やメッシュWi-Fiを導入したり、Wi-Fiルーター自体をなるべく新しい製品、または新しい規格の製品に買い替えたりすることも検討したい。
STEP!
[手順1]見通しのいい高い位置に置く
[手順2]電波干渉を考慮して帯域を使い分ける
[手順3]中継器の買い増しもしくはメッシュWi-Fi対応機器への買い替えを考える
2.4GHz帯が使われている主な家電
● 電子レンジ
● Bluetoothスピーカー
● コードレス電話機
● 携帯ゲーム機
● 一部のリモコン
同じ2.4GHz帯を使うBluetooth機器や電子レンジが近くにあると電波が混雑し、通信が切れてしまうことも。手持ちの機器が対応している場合は5GHz帯を利用するのがおすすめだ。
電波の届きやすさを考慮し、ルーターは高い場所に設置する。家中に行き渡らせるには、できるだけ住まいの中心に置くのもポイント。鉄の扉があると電波が届きにくくなるので要注意。
【POINT2】中継器やルーターを買い足す場合
まず試してみるのは中継器ダメならメッシュWi-Fiを!
中継器はWi-Fiルーターの電波をより遠くに届けるためのもの。ルーターと同一メーカーのものでなくても利用できる。どこに置けば電波が最も届きやすいのか、位置調整が必要だ。「中継器はコンセント直結タイプが多く、延長コードを使うなどの工夫を」と山口さん。また、機種によってはルーターの買い替え後「古い機種を中継器として使える場合もある」という。一定の広さがある、もしくは3階以上の戸建て住宅では、宅内に複数のアクセスポイントを設置することで通信範囲をメッシュ状に広げられる、メッシュWi-Fi対応製品も検討したい。
STEP!
[手順1]中継器を置く場所をシミュレーションする
[手順2]置きたい場所に合わせて中継器を選ぶ
[手順3]中継器の設置で問題が解消しない場合はメッシュWi-Fiに
中継器の置き場所に注意
Wi-Fiルーターから見通しのいい場所で、かつ電波が届きにくい(Wi-Fiの弱い)エリアに近い場所に設置する。
中継器とメッシュWi-Fiの違いは?
電波を遠くに届ける中継器(上)とは異なり、メッシュWi-Fi(下)は最適な通信経路を導き出し、高速な通信を実現する。