24mmからの標準ズームはスナップに最適だった
レンズキット用に開発された「NIKKOR Z 24-50mm f/4-6.3」はフルサイズミラーレス用交換レンズとして最薄、最軽量を実現した標準ズームで重さ約195g、厚みは約51mmの沈胴式レンズである。最短撮影距離は約35cmとなる。このレンズを小型軽量化できた理由は望遠側を欲張らずに50mmまでにしたこと。広角側を28mmでなく24mmにした判断もクールである。
我々が普段、撮影に使っているスマホのカメラの焦点距離は28mmなので、これが標準レンズと考えると50mmは望遠、24mmはやや広角という感覚で使える。1本のレンズで全てをカバーしたい人には、レンズロードマップに記載のある24mm-105mmの登場を待てばいい。さらに広角側を補うなら「NIKKOR Z 14-30mm f/4 S」を狙いたい。
Z5に取り付けた24-50mmはボディと一体化されたように軽くバランスも良好だ。ズームリングとコントロールリングの動きも重すぎず、軽すぎず、回しやすいのだが、24mm側のロックが軽すぎて、もっと広角にしようと思いリングを回しすぎて警告画面が出ることが時々あった。それから専用フードが別売なので、これはぜひ同時に購入しておきたい。フィルター径52mmの社外品フードを使う方法もあるが、24mm撮影時に四隅がケラれる可能性が高いのでオススメできない。
50mmの開放絞り値はF6.3と暗めだがフルサイズなので寄って撮影すれば背景はこれだけボケる
Nikon Z5 NIKKOR Z 24-50mm f/4-6.3 1/80sec、F6.3、ISO100 50mm使用
チルト液晶モニターを使えば素早くローアングルで撮影できる
Nikon Z5 NIKKOR Z 24-50mm f/4-6.3 1/500sec、F6.3、ISO100 50mm使用
ラメーン屋をヨコから見たら予想外の奥行きでツタに覆われている。暗部の階調性がいい
Nikon Z5 NIKKOR Z 24-50mm f/4-6.3 1/320sec、F6.3、ISO100 26mm使用
古道具屋の店先、AFが素早く歩きながらスナップしてもしっかりピントが合う
Nikon Z5 NIKKOR Z 24-50mm f/4-6.3 1/60sec、F6.3、ISO100 24mm使用
坂の途中にある古い建物。24mmで撮るとパースがついて高さ強調される
Nikon Z5 NIKKOR Z 24-50mm f/4-6.3 1/200sec、F6.3、ISO100 24mm使用
境内に不意に現れた自転車。1/320secでブレずに止めることが出来た
Nikon Z5 NIKKOR Z 24-50mm f/4-6.3 1/320sec、F10、ISO100 24mm使用
不忍池のスワン。レンズの解像度が高く高層ビルの窓の描写がシャープ
Nikon Z5 NIKKOR Z 24-50mm f/4-6.3 1/80sec、F10、ISO100 33mm使用
オールドニッコールレンズを活かすマウントアダプター「FTZ」
手持ちのレンズ資産を活かすのが純正マウントアダプターの「FTZ」である。NIKKOR Fマウントのレンズが装着可能で、モーター内蔵レンズであればAF/AE撮影にも対応する。MFでも絞りリングのあるレンズなら、絞り優先AEが使える。フルサイズなのでオリジナルレンズの焦点距離が変わらず撮影できる点も見逃せない。使えるレンズについては同社のWebサイトで詳細を確認できる。大雑把に言えばAI改造していないカニ爪レンズは装着不可で、装着可能なレンズであれば、撮影モードの絞り優先AEまたはマニュアルが使える。
今回はU1万円で入手可能な「Ai NIKKOR 50mm f/1.4」を使用した。小型軽量の明るいレンズで、AF化され現行レンズとして販売が続けられているロングセラーモデルだ。コンパクトサイズで、単焦点レンズならではの美しいボケ味が楽しめ、フォーカスも合わせやすいのでスナップにも使える万能レンズである。高額なZマウントレンズを入手する前に、FTZを手に入れてオールドニッコールの世界を堪能してみてはいかがだろう。FTZで使えるレンズは約360本もあるのだ。
Fマウントアダプター「FTZ」を使って「Z5」に50mmF1.4を装着した
上野アメ横を散策、ジーンズのヒップが目にとまり、絞り開放で撮影
Nikon Z5 Ai NIKKOR 50mm f/1.4 1/8000sec、F1.4、ISO100
撮影距離が近くなると背景は大幅にボケて主役が強調される
Nikon Z5 Ai NIKKOR 50mm f/1.4 1/8000sec、F1.4、ISO100
懐かしの中田商会。さすがフルサイズと思わせる解像度の高さ、値札の数字まで読めた
Nikon Z5 Ai NIKKOR 50mm f/1.4 1/200sec、F8、ISO100
コントラストのある被写体も暗部がつぶれず描写された。背景のボケ味もいい
Nikon Z5 Ai NIKKOR 50mm f/1.4 1/2500sec、F2.8、ISO100
上野駅構内のハードロックカフェ。昭和な雰囲気が漂う。暗くてもピントは合わせやすかった
Nikon Z5 Ai NIKKOR 50mm f/1.4 1/800sec、F1.4、ISO100
写真・文/ゴン川野