ホテルの開業ラッシュが続く京都
インバウンドやオリンピックの影響で、京都ではホテルの開業ラッシュが続いている。
例えば、クリエイターが集い、カルチャーの生まれる場所を目指して1999年にアメリカ・シアトルで創業した「エースホテル」
ホテルロビーにはアメリカ・ポートランド発祥の人気コーヒーショップ「スタンプタウン・コーヒー・ロースターズ」が日本初出店しており、アメリカのライフスタイル&カルチャーを満喫することができる。
あるいは、下着ブランド「ワコール」が京町家をリノベーションした宿泊施設「京の温所 西陣別邸」
https://www.kyo-ondokoro.kyoto/facility/nishijin-villa.html
女性に人気の化粧ブランド「THREE」のアメニティが用意されていたり、「睡眠の日」限定でワコールのナイトアップブラが付くなど、美を追求する女子旅にピッタリの宿となっている。
このようにホテルの開業ラッシュが続く京都だが、一度は訪れて欲しいホテルが「ザ・ホテル青龍 京都清水」である。
小学校をリノベーションしたホテル「ザ・ホテル青龍 京都清水」
世界文化遺産「清水寺」から10分ほど歩いた、京都東山の高台に位置する「ザ・ホテル青龍 京都清水」。
昭和初期に建築された、京都市立清水小学校跡地をリノベーションしたホテルである。
館内のいたるところに小学校時代の面影を残しており、館内を歩いていると、子供たちの笑い声が聞こえてきそうである。
昔は校庭として使用されていた、東山のシンボルである「八坂の塔」を間近に望める青々とした芝生が広がるガーデン。
生徒達を見守ってきたであろう郵便ポストもそのままの形で残されている。
クラシカルな窓や梁を残したインテリアで統一された館内。昔通っていた小学校を思い出させるような階段。
図書館として使用されていた場所につくられたレストランは、高さのある本棚に囲まれたアカデミックな空間へと変化を遂げた。
アラン・デュカス監修のレストランも併設
敷地内には、1912年にフランス・パリにオープンして以来、パリの人々から愛されるフランス料理店「ブノワ」が併設されている。2005年からアラン・デュカスが監修をスタートし、伝統に新風が吹き込まれた。
東京に続き、国内2号店となったブノワ京都。
「日仏文化の出会い」というコンセプトのもと、和風建築ながら、バーカウンターやダイニングには、フランスの蚤の市で選んだという家具が使用されている。
大きな窓からは、東山のシンボル「八坂の塔」を間近に見ることができる。
ランチタイムには、京野菜など地元の食材を使ってアレンジしたフランス料理をカジュアルに楽しむことができる。
アラン・デュカスと言えば「クックポット」
アラン・デュカスが考案した器「クックポット」に季節野菜を重ね、蒸し焼きにする料理は、世界のアラン・デュカスのレストランで出される共通のメニューである。
各店で、それぞれのシェフがその土地の野菜を組み合わせて、オリジナルの一皿を作っている。
今回頂いたのは「トウモロコシのクックポット」
コリアンダーがアクセントの夏を感じる料理である。
記憶を刻み、未来へつなぐ
ザ・ホテル青龍 京都清水のコンセプトは「記憶を刻み、未来へつなぐ」
長年地域に愛されてきた小学校の歴史・文化を継承しながら、新しいスタイルを融合し、国内はもちろん、海外からの来客にも、歴史を繋いでいく。
コロナ禍で京都の観光客は激減し、ホテルを訪れた際も客の姿はまばらであった。
しかし、この記憶も含め、京都の歴史と今を感じられるスポットとして、多くの人々に愛され、未来まで続くホテルになって欲しいと願う。
文/小松佐保(Foody Style代表)