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「御用達」の意味は?語源は?実は正式な制度ではなかった!?

2020.09.05

皇室御用達や芸能人御用達といった宣伝広告を目にすることがありますが、『御用達』の本来の意味や由来を知らない人もいるのではないでしょうか?御用達の読み方や語源、皇室御用達という言葉が定着した歴史的背景などを紹介します。

御用達の読み方と意味

読み方が複数ある日本語は少なくありません。『御用達』もその一つのため、どの読み方が正しいのか迷う人もいるのではないでしょうか?御用達の読み方や意味について紹介します。

複数あるが「ごようたし」が主流

御用達を『ごようたし』と読む人もいれば、『ごようたつ』や『ごようだち』と読む人もいます。どの読み方が正しいのかについては意見が分かれますが、実際にはどれも間違ってはいません。

広辞苑をはじめ多くの辞典にも、前述の三つの読み方が記載されています。ただし、『ごようたし』と読むのが主流で、『ごようたつ』や『ごようだち』とも読むと記載されているのが一般的です。

誰かがよく使うことを意味する

御用達の意味や使われ方は、時代の流れとともに変化してきました。現代は御用達本来の意味が薄れ、『誰かがよく使うこと』という意味合いが強くなっています。

従来通りに『皇室御用達』や『宮内庁御用達』と使われることもありますが、最近では『芸能人御用達』や『セレブ御用達』という使われ方が増えています。芸能人やセレブなど、有名人や影響力のある人が愛用している物や利用している店舗を『御用達』とする傾向にあるのです。

御用達と付けることで特別感が増し、「〇〇さんが使っているなら良品に違いない」「△△さんが食べているならおいしいに決まってる」というイメージを与える効果を期待して、キャッチフレーズとして使用されています。

御用達の語源は江戸時代の御用商人

御用達の語源は、江戸時代に活躍していた『御用商人』にあります。御用商人は、どのような立場だったのでしょうか?御用商人や御用達がどのように定着していったのかを紹介します。

御用商人とは幕府や藩、宮中へ納入した業者

御用達の語源である『御用商人』は、江戸時代に幕府や藩・宮中への納入が許可されていた商人や業者のことです。御用商人は、幕府に集められた物資を管理する『蔵屋敷』で物品を管理していた『蔵元(くらもと)』やお金を管理していた『掛屋(かけや)』などで、重要な任務を任されていました。

また、江戸時代に貨幣が浸透し始めたことにより、給料である米を貨幣に換える換金業務を任されていた『札差(ふださし)』も御用商人に当たります。

御用商人は限定されており特権があるということで、一般の商人よりも格上とされていました。そのため、名字を付けることや帯刀も許されていたのです。しかし、特権による利益を得ているため、上納を課せられることもあったようです。

御用達の始まり

江戸時代には幕府や藩のさまざまな需要に応えるために、多くの御用商人が活躍していました。

徳川家の呉服の調達を任されていた茶屋四郎次郎や、木材商人の紀伊国屋文左衛門も江戸時代に活躍した御用商人です。高い社会的地位を築き、莫大な財産を得たとされています。

江戸時代に御用商人が幕府や藩に納める商品は、幕府や藩のお墨付きの特別な物として、高品質の証しにもなっていました。

中には、現在にも伝わる御用達の品もあります。例えば、約400年もの歴史がある和菓子屋『森八』の干菓子『長生殿』は、加賀藩の御用達銘菓として有名です。

箔を付けるため皇室御用達を名乗る店が増加

明治時代に制定された『宮内省御用達制度』は、どのような制度だったのでしょうか?また、制度の制定から廃止されるまでの歴史的背景を紹介します。

明治時代に「宮内省御用達制度」が誕生

1891(明治24)年に、『宮内省御用達制度』は誕生しました。これは、現在の宮内庁に当たる宮内省が定めた制度です。

皇室がお墨付きを与えることで産業の発展を支援する産業奨励政策の一環として始められ、当初は宮内庁から指名されるだけで御用達業者になることができました。

宮内省御用達は、正式に納入を認められた業者にのみ与えられた呼び方です。宮内省御用達として認可されるための条件は次第に厳しくなり、宮内省に5年以上継続して納入をしている業者であること、経営者の家庭環境や思想などがチェックされるようになりました。

御用達には2種類の意味があった

御用達と一口にいっても実際には、『献上』と『納入』の2種類に分かれます。献上は、業者が宮内省に無料で商品を贈ることです。納入は、業者が宮内省に商品を購入してもらう売買取引や契約になります。

宮内省の祝賀行事などではさまざまな商品が献上されますが、誰でも献上できるわけではありませんでした。高品質であるかなど、厳格な審査を通過した物のみ献上が許可されていたのです。

また、献上されたほとんどの物は返品されていましたが、納入された物の多くは実際に使用されていたそうです。

制度は昭和29年に廃止

明治時代に制定された宮内省御用達制度は、最盛期の1951(昭和26)年頃は約85の御用達業者があったとされています。しかし、戦後に宮内省から宮内庁に変わり、御用達制度は54(昭和29)年に廃止されました。

廃止になった具体的な理由は公表されていませんが、宮内庁の権威にあやかりたい業者からの売り込みが激しくなったためとされています。さらに、献上には厳格な審査があったものの、宮内庁に無償で商品を贈ることで『宮内庁御用達』と名乗る業者も存在し、弊害を招いたことも理由でしょう。

イギリスでは認定制度が継続

イギリスでは、現在も長い歴史を誇る英国王室御用達制度が継続しています。その英国王室御用達であることを認定する証明書が、『ロイヤルワラント』です。

ロイヤルワラントに認定されるには、まずエリザベス女王2世やチャールズ皇太子など王室の中でロイヤルワラントを授与する資格がある者から推薦を受けなければなりません。

最低納入期間や納入数など申請条件を満たした後に、王室からの最終承認を受け、正式にロイヤルワラントとして認定されるのです。また、5年ごとに厳しい再審査があり、認可が取り消しになることもあります。

現在、ロイヤルワラントを持つ企業は約850あり、日用品から重要な儀式用の衣装まで1000を超える多種多様な商品が認定されています。

皇室御用達の表示は信頼できる?

宮内庁御用達制度が存在しない現在でも、『皇室御用達』と表示されている商品を見かけます。それらは、実際に皇室御用達の商品なのでしょうか?

過去に御用達だった場合は使える

明治時代に制定された宮内省御用達制度によって認可された業者には、『宮内省(宮内庁)御用達』の商標が与えられていました。制度が廃止される以前から御用達だったという実績がある業者は、現在でも『皇室御用達』もしくは『宮内庁御用達』と表示してもよいとされています。

実際には、宮内庁御用達ということをアピールしている業者は少ないのが現実です。ホームページの片隅に、控えめに記載していることが多いように見受けられます。

名乗る業者にはモラルが必要

過去に御用達だった業者に限り『皇室御用達』と名乗るのが筋なのですが、モラルに欠ける業者も存在します。宮内庁と取引が一切にないのにもかかわらず、『皇室御用達』と商品に表示している業者も存在するのです。

しかし、法的に裁かれることはありません。

『景品表示法』では、偽った表示や誤解を招く表示を禁じていますが、それは『品質』に関することのみになります。皇室御用達という表示は宮内庁との取引があるということも示すもので、品質とは全く関係がないため、違法にはならないのです。

消費者の立場からすると事実と違うことを宣伝しているように思えますが、各業者のモラルに任せるしかないのが現状です。

出典:景品表示法 | 消費者庁

構成/編集部

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