7月も終わり、季節は8月へ。夏本番を前に気を付けたいのが、夏バテと熱中症だ。予防対策としては、水分と塩分摂取が知られているが、近年の研究から“鉄分”も重要だということがわかっている。
最新の研究では、不足している“鉄分”を1か月継続して摂取することで、発汗による疲れを改善し、さらに不安や無気力といったネガティブな感情を改善することが明らかになった。
ビジネスパーソンにとって、うだるような暑さに負けず、仕事で安定したパフォーマンスをし続けるためには、“鉄分摂取”がこれから重要な対策の一つになってくるかも知れない。
オフ時間:夏の運動は「アスリート貧血」に注意!
■汗で流れるのは、水分・塩分・鉄分!
在宅勤務が増えたなか、運動不足解消のためスポーツで汗をかくビジネスマンも多いようだ。
しかしアスリートはもちろん、日常的に運動を行っている人は、貧血に陥りやすい条件が揃っている。毎日ランニングやトレーニングで汗をかいているビジネスマンは要注意だ。
貧血はその原因によってさまざまな種類に分けられるが、中でも一番多いのが、鉄が不足することで起こる鉄欠乏性貧血だ。マラソンなどアスリートが運動中に貧血を起こすシーンがあるが、この貧血も鉄欠乏によるもので、血液中のヘモグロビン濃度が低いことで起こる。
日ごろから運動している人は、大量の汗をかき、また足底などの衝撃によって毛細血管で赤血球が壊れることでも鉄を損失しやすく、「アスリート貧血」が起こりやすいといわれている。運動中に発汗することで、水分・塩分が流れてしまうことはよく知られているが、実は鉄分も失っているのだ。
■鉄摂取で疲労軽減、目覚めもスッキリ!
スポーツの国際競技力向上に関する支援活動に携わる日本体育大学 体育学部の杉田正明教授は、このほど夏場を想定した疲労において、鉄分の継続摂取に改善効果があることを明らかにした。
ホットヨガを週1回以上実施する女性42名(平均年齢42歳の健常者)を無作為に鉄摂取群と非摂取群に均等割付。鉄摂取群は、1日3.6mgの鉄製剤を1か月摂取した。すると鉄分摂取により疲労スコアが改善し、疲労感が軽減。さらに、快適な目覚め(寝起きの良さ)を得られることもわかった。
■アスリートのカラダづくりのスペシャリスト、日本体育大学体育学部・杉田正明教授プロフィール
1966年三重県生まれ。三重大学大学院修了後、東京大学助手、三重大学教育学部助教授、教授を経て2017年から現職、博士(学術)。日本オリンピック委員会 情報・医・科学専門部会 情報・科学サポート部門長、日本スポーツ振興センター(JSC)ハイパフォーマンスセンターアドバイザー、日本陸上競技連盟 科学委員長などを務めている。
2010FIFAワールドカップでは、40日間日本代表チームに帯同し、高地対策やコンディション管理を支援し、ロンドン、リオデジャネイロオリンピックや世界陸上ではマラソン・競歩代表選手をはじめ多くの選手の科学的支援を行ってきている。
オン時間:在宅勤務中のコーヒー過剰摂取で、逆にあたまがぼんやりしてしまう!?
■寝ても眠いのは鉄分不足?
夜きちんと寝ていても、日中眠くなる…それは鉄分不足が原因かもしれない。
鉄分は、血液中のヘモグロビンという色素タンパク質の中に含まれ、肺から取り入れた酸素を全身に運ぶ役割をしている。血液中の鉄分が不足すると、十分に酸素を届けることができなくなり、貧血を起こしてしまうことがある。鉄分不足が原因で起こる『鉄欠乏性貧血』の症状として、疲労感、倦怠(けんたい)感、めまいやだるさを感じることがある。
また、酸素が十分に運ばれないことで、息切れや動悸(どうき)がする場合もある。脳への酸素供給が減少し、新陳代謝が下がることで睡眠障害を起こし、『昼間に気だるい』『集中力が上がらない』『眠い』と感じることもある。
「寝ても寝ても眠い」原因の一つに鉄分不足があるらしい。食欲の減退しやすい夏は栄養が不足しやすく、なおさら要注意とのこと。因みにコーヒーには鉄分の吸収を妨げる成分が入っているから、「鉄分不足で頭がぼんやりするからコーヒーを飲む」は一番ダメなパターンらしい。知らずにかなりやってた……
— ふね (@Yukifunese) July 7, 2020
■あたまがぼんやりするからコーヒー、要注意?
新型コロナウイルスの感染拡大の影響でテレワークを導入企業が激増した。在宅勤務中、なかには眠くなったり、あたまがぼんやりしたりして、コーヒーを過剰に飲んでしまうビジネスマンもちらほら……
しかし、カフェインを含むコーヒー・紅茶・緑茶などは、鉄の吸収を阻害する作用がある。せっかく食事で補った鉄分が吸収されにくい状況となり、あたまをスッキリさせるために、飲んでいたコーヒーでも、飲み過ぎるとかえって鉄不足を促し、集中力の低下や疲れといった貧血の症状が現れることがある。
コーヒー・紅茶・緑茶などは、食事や鉄剤を飲む前後30分は、取らないように心がけよう。
在宅勤務中で、コーヒーの摂取量もいつもより多くなりがちなときは、鉄分を余計に意識しよう。
■生活習慣病予防のスペシャリスト、久野銀座クリニック・岡村信良院長(医学博士)プロフィール
小田原市生まれ。平成18年北里大学大学院卒、平塚共済病院内科医長を経て小田原銀座クリニックに平成20年に入職、その後院長に就任。平成25年12月には当院久野銀座クリニックを開業。消化器疾患や生活習慣病、血液疾患の診療も得意とする。医療法人小田原博信会の理事長。
オススメ!簡単に買える鉄分補給アイテム
■コンビニで買えるオススメ鉄分補給品
〈1〉GREEN DA・KA・RA
〈2〉サントリー天然水 うめソルティ(サントリー食品インターナショナル)
「熱中症対策飲料」として、食塩のほか、新たに鉄分を加えて、それぞれ4月にリニューアル発売。ゴクゴク飲める、すっきりとした味わいが特徴(GREEN DA・KA・RAは、600ml入り130円、2リットル入り350円=いずれも税別。サントリー天然水 うめソルティは、540ml入り131円=税別)。
〈3〉きょうの鉄分葉酸のむヨーグルト(オハヨー乳業)
一日分の鉄分のほか、赤血球の生産を助けるとされる葉酸、ビタミンB12を摂取することができる。毎日飲み続けやすいよう、プレーン味に仕上げている(190グラム入り、105円=税別)。
■お菓子でも鉄分を摂れるものが
〈4〉1日不足分の鉄分が補えるちいさなオールレーズン(ファミリーマート)
ファミリーマートで人気の「ファミコレ健康菓子シリーズ」の一つ。鉄分を含み、芳醇な味わいのレーズンを詰め込んだ、しっとり食感のクッキー(56グラム入り、110円=税別)。
〈5〉グミ×サプリ 鉄分&葉酸(養命酒製造)
鉄分に加え、ビタミンB12とともに赤血球(ヘモグロビン)の生産を助ける葉酸も摂れるグミ。1日に5粒を目安に(40グラム入り、183円=税別)。
出典元:株式会社電通パブリックリレーションズ
構成/こじへい