■連載/大森弘恵のアウトドアへGO!
2020年1月にフルモデルチェンジしたハスラーが発売され、6月にはタフトも登場。軽クロスオーバーが大人気だ。ひと昔前の狭くて非力な印象とは違い、軽自動車であっても積載力があり、狭い道でも運転しやすく気軽に遊びに行けるクルマであれば、食指が動かないわけがない。
新型ハスラー、タフトなど最新モデルには夜間の歩行者検知ブレーキを搭載しており、コストを抑えつつ高度な安全運転支援機能を装備。心置きなく休日を楽しめるクルマになっていることも人気の理由だろう。
キャンプシーンで言えば、ファミリーキャンプが主流ではあるが、グループ、ソロ、オシャレな映え系、イベント参加型などスタイルが多様化。中でも静かに自分の思うままに過ごせるソロキャンプが流行しており、必ずしもキャンプ=大きなミニバンである必要はなくなった。
今さらではあるが、そんな軽クロスオーバー人気の火付け役であるハスラーの最新モデルで、キャンプに行ってその使い勝手を体験してきた。
キャンプ&車内泊向きの簡単フルフラット
新型ハスラーは前モデルに比べるといっそう角張ったギア感のある見た目となり、室内長も2160mmから2215mmへアップ。よりソロ〜デュオキャンプに使いやすいクルマになった。
リアシートは分割可倒式で、Xターボはそれぞれが前後にスライドできる。
リアシートを倒して荷室を広げるには、まずリアシートを後ろにスライドさせておく必要がある。リアシートのスライドは、背もたれ裏側にあるストラップを引っ張って、ラゲッジスペース側からも操作できる。
あとはリアシートの肩部分にあるボタンを持ち上げてロックを外し、前に倒すだけ。
わずかな操作でフルフラットになり、荷室が広がった。リアゲートは大きく跳ね上がるので、大型の荷物の出し入れが楽だし、雨の日も荷物が濡れにくい。
室内高1270mm、室内幅1330mm。角張ったデザインで室内にも無駄な出っ張りが少なく、フルフラットとなるためテント、マット、調理器具、寝袋、食材などソロキャンプの道具をきれいに積める。デュオの場合でも、寝袋や椅子が増えるくらいなので2名乗車であってもよほど荷物が多いキャンパーでない限りまず問題はないだろう。
さらに助手席を倒せば室内長2215mmをフル活用できる。
スキー板やスノーボードはもちろん、自転車、サーフボードやSUPボードもショートであれば載せることができそう。リアシートは分割可倒式なので、少々寂しいけれども前後2人乗車で遊びに出かけることも可能だ。
それに、フラットになるので、ソロなら片側に荷物を寄せて厚手のマットを敷くだけで仮眠スペースが生まれる。助手席とリアシートの間に少しの段差が生まれるだけでほぼ段差はないし、幅もサーマレストのマット(Zライトソル)を敷ける約55cmを確保し、寝返りをうてる。
今回、キャンプ場でテントを張っているがあえて車内で寝てみたところ、フルフラットのおかげでとても寝やすいのだが、テントとは違った床面やドアの堅さを感じて何度か起きてしまった。5cm以上のエアマットと、ドア面もカバーする薄手のマットを併用すれば無理なく車中泊ができるだろう。
濡れたモノの収納に便利
床下、シート下に収納を用意。雨の日キャンプ、ウォーターアクティビティーで濡れた小物をいれておけば、ほかの荷物を汚さずにすむ。
助手席を後ろにスライドさせ、座面をストラップで持ち上げて背もたれを前に倒すとリアシートとの段差・隙間がほぼなくなる。そして、助手席座面下には収納ケースが備えられているので、雨の日の撤収で、泥汚れと水分を拭き取ったウエスのような「どこにいれて持ち帰ろう?」と悩む小物をいれられる。
助手席下の収納は厚みのあるものをいれられないが、ラゲッジにも似たような収納スペース(ラゲッジアンダーボックス)があり、こちらはそこそこ高さがあるので丸められる長靴、ビーサンの収納も可能。ソロ用の小さなタープも入るので、雨キャンプの後は泥だらけのペグや張り綱とともにこちらに収納してもいいだろう。
ラゲッジアンダーボックスは取り外し可能で、泥で汚れたら水で丸洗いOK。前モデルよりもがっちりした樹脂製で、気軽に使えるのがいい。
安心して運転できる大画面ナビとACC
新型ハスラーのナビは大画面になり、見た目も楽しい。また、オプションのカメラを選ぶことで、障害物の多いキャンプサイトだって自信を持って駐車できる。
ナビは大型の9インチで、スズキ初のスマホ連携メモリーナビを搭載し、いつもの地図アプリも使える。事前に行きたいところを地図アプリで調べ、登録しておけば、現地でナビの操作をする必要がないし、「ナビに行きたい場所が登録されていない!」と焦ることもない。
オプションで全方位モニターカメラを用意。林間のフリーサイトでは木や石、そして他のキャンパーの道具がいつの間にか近くに置かれることがあるし、子どもやペットがすぐそばにやってきて慌てることがある。出発前に周囲を確認した上で、さらに車内からも確認できるのは頼もしい機能だ。
また、ハイブリッドXターボには、全車速追従機能付きの追従クルーズコントロール(ACC)のほかに、見づらい夜間の歩行者を検知し、警告や自動ブレーキが作動するデュアルカメラブレーキサポートを搭載。最近は夕暮れ時の山道であってもランナーと出会うことが増えた。買い出しや温泉からキャンプ場に戻るような暗い里山、山道で歩行者やランナーを知らせてくれるのはありがたい。
一般的なミニバンやセダンの最低地上高は150mm程度で、ハスラーは大径タイヤを装備し最低地上高180mm。
スズキが誇る本格クロカン四駆、ジムニーには及ばないが、オートキャンプ場に向かう山道、雨上がりで荒れた場内くらいであれば、運転に慣れていない人でも悩むことなく走らせることができる。
今はまだ遠出ができる状況ではないが、夏のソロキャンプからスノードライブ&キャンプまで、落ち着いたらあちこちに出かけたい、そう思わせる魅力があるクルマだ。
取材・文/大森弘恵