猫に絶対与えてはいけない劇薬とは…?
食前食後にすぐ飲めるよう、食卓などの近くに置きっぱなしにしている人も多いかもしれませんね。でも風邪薬やサプリメントに含まれている成分は、猫にとっては劇薬となるものもあります。
くれぐれも猫がおもちゃにして誤飲しないよう、置き場所に注意しましょう。
命に関わる!猫に絶対与えてはいけない劇薬
◎頭痛薬に含まれるアセトアミノフェン
頭痛薬や風邪薬の多くには、「アセトアミノフェン」という成分が含まれています。これ自体に毒性は無いのですが、肝臓で代謝されると毒性の強い成に変化するため、猫が誤飲すると赤血球が溶けだし、貧血を起こしてしまいます。
この場合、血管の中の赤血球が尿の中に出てくるので、ワイン色の尿を排泄することも。貧血が進むと呼吸困難が起こり、命にかかわります。
猫と暮らしている場合は、薬箱は絶対に猫の手の届かないところに保管し、念のため薬のパッケージでこの成分が配合されていないものを選びましょう。
また(そんな飼い主はめったにいないと思いますが)、猫が熱を出しているからと言って、人用の風邪薬は絶対に飲ませないこと!
◎サプリメントにもご注意を
α-リポ酸サプリメントはダイエットサプリメントとして人気ですが、猫にとっては非常に毒性が強く、場合によっては1粒食べただけで死に至ることもあるという、怖い成分。またα-リポ酸は猫の好む臭いがあるため、容器から出して置いておくと、自ら食べてしまう可能性もあります。
また、一般的な栄養素であるビタミンA、ビタミンDのサプリメントも、猫が誤飲し体内に蓄積されると過剰症になり健康を害する恐れがあります。ビタミンA過剰症として考えられるのは骨の変形・起立不能など。ビタミンD過剰症としては、軟組織へのミネラル沈着・高カルシウム血症・沈うつ・嘔吐・骨異常などがあります。
◎エチレングリコール
寒い地方では、車のエンジンの不凍液として「エチレングリコール」が使用されています。猫によってはこのエチレングリコールの味を好み、地面や床にこぼした液を喜んでなめてしまう場合があります。でもこの成分は猫にとって毒性があり、少量でもなめると腎臓病になってしまうのです。猫と暮らしているご家庭では、くれぐれも取り扱いにご注意を。
また生ものを持ち帰るのに使った保冷剤、最近は水を凍らせたタイプが増えていますが、一部ではエチレングリコールが使用されているものもあります。ゴミ箱をあさる食いしん坊の猫がいるご家庭では、要注意です!
◎タバコ
最近は減っている愛煙家ですが、中にはやはり、タバコが手放せない愛煙家もいます。猫は落ちているものをかじってオモチャにする性質があるので、置きっぱなしのタバコで遊んでいるうちに、誤飲して急性ニコチン中毒を引き起こしてしまう危険性も。
誤飲しなくても、猫は副流煙を吸い込むだけでなく、毛についたタバコの煙を毛づくろいの時に飲みこんでしまうため、煙の粒子が体内にとりこまれやすくなり、その結果悪性腫瘍のリンパ腫にかかる可能性が高くなります。
2002年にアメリカの「American Journal of EPIFEMIOKOGY」という学術誌に発表された論文ではん、タバコを吸う人がいる家庭の猫は、リンパ腫になってしまう確率が2.4倍も高かったという報告があります(条件によってはさらに高確率)。
禁煙が理想ですが、せめて猫がいる部屋では絶対にタバコを吸わないようにしましょう。
参考文献:「猫の寿命をあと2年のばすために~獣医師が教える、愛猫と長くいっしょにいる方法」(東京猫医療センター院長 服部幸著/トランスワールドジャパン)
文/桑原恵美子(PETomorrow編集部)
構成/inox.
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