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ニュースでよく聞く自社株買い、公募増資とは?株価に与える影響を解説!

2020.08.04

経済ニュースで発表される自社株買い、公募増資ですが、株価に大きな影響を与える企業の活動です。どんな影響があるのか解説します。

「自社株買い」「公募増資」とは

自社株買いは株主への利益還元策として行われます。株主への利益還元として一番に思い浮かべるのが、配当金や株主優待だと思いますが、この自社株買いも株主に大きく利益をもたらします。

自社株買いとは、会社の自己資金で、市場に出回っている株を買い戻すことをいいます。市場に出回っている株式を買い戻すことで、市場に出回る株数が減り1株あたりの価値が上がります。

1株あたりの価値が上がることは、自社株買い前と自社株買い後で会社利益が同じだとすると、株価の割安度を見る指標PERが下がることで分かります。PERは数字が低いほど割安であることを示し、利益に対して株価がどれだけ買われているかを表します。

例えば、株価が同じ2,000円、会社の利益が1億円で株式数が100万株で、50万株の自社株買いで株式数が500万株に減ったとします。

【自社株買い前】1株利益(EPS)=1億円÷100万株=10円 
PER=株価2,000円÷1株利益100円=20倍 

→【自社株買い後】1株利益(EPS)=1億円÷50万株=200円 
PER=株価2,000円÷1株利益200円=10倍

このように自社株買い後大きく割安になり、この場合同水準の20倍まで株式が買われるとすると理論上株価は2倍になるといえます。

また、株主が出す資本金を効率的に使っているかを表すROE(株主資本利益率)も上がります。

ROEとは、株主による資金(自己資本)に対して、企業はどれだけ収益を挙げられたのかを示す指標です。

ROE(%)=【当期純利益÷自己資本】または【EPS(1株利益)÷BPS(1株あたり純資産)】×100で計算できます。数字が高いほど、収益率が高いことを表します。

自己資金(株主資本)は、資本金、資本準備金、その他資本剰余金などですが、自社株買いで買われた分は△自己株式として自己資本から差し引かれます。その結果、自社株買いの分は自己資金から差し引かれ、自己資金が減るため、ROEを出す分母が減るためROEが上がります。

例えば、【自社株買い前】当期純利益80、自己資本が1,000でROE=80÷1,000=8%
→【自社株買い後】自己資本が800に減ると、ROE=80÷800=10%と上がります。

逆に、公募増資は株式を新たに発行し(既に発行している会社が保有する自己株式であるときもある)、市場で販売することをいいます。市場に株式が新たに出回り、市場に出回る株数が増えることで1株あたりの価値が下がります。

両者の株価に与える影響は?

自社株買いは1株あたりの価値を上げるため、株価は上昇する傾向にあります。自社株買いを企業が発表するだけで大きく株価が値上がりすることもあります。

似たような言葉で自己株式の消却というのがありますが、これは市場に出回っている株式と関係なく、会社が保有している自己株式をなくして発行済株式数を減らすことをいいます。会社側としてはその分その他資本剰余金を減らすことになりますが、市場に出回る株式数には影響がないため直接株価に影響はありません。ただ、消却することで、その分の株数が将来市場に出回る可能性がなくなるため、株価が上がることもあります。

一方、公募増資は1株あたりの価値を下げるため、株価は下がります。こちらも発表するだけで大きく下がることが多いです。この公募増資は一般の方も参加することができます。

公募増資は、発表から株主が購入するまでに募集期間があり、募集期間中に申し込み、抽選があれば当選すると購入でき、購入価格は買付手数料なしで市場価格の数%割引で購入できます。

公募増資後一定期間下がり数%割引で購入できることから、新しく公募株式を購入する方にとっては割安に購入できる機会となります。
一方で、既得株主にとっては1株当たりの価値が下がり株価が下がることで、デメリットが大きいです。

もう一つ発行株式数が増えてしまい、1株あたりの価値が下がる例として株式交換を使った企業買収です。最近では武田薬品工業によるシャイアーの買収が有名ですが、買収時に現金だけでなく、武田薬品が新たに発行した株式をシャイアーの株式と交換しました。この新たに発行した株式数は既存株式数と同程度であるため、武田薬品の株価は下がりました。

自社株買いが増えている?

日本の企業は利益を内部留保し、株主に還元しないという批判から、最近では株主還元策として配当性向を上げたり、自社株買いを増やしたりしている企業が目立ちます。

一方、株主還元策で先行していたアメリカ企業は、株主還元に偏り、その分人員削減を行ったり、手元資金がなくなってしまい借入れが増えたり、従業員への還元がないなど問題視され、無理な株主還元は減少傾向にあります。

日本企業は減益でも自社株買いを行う企業もあり、株価が上がることで株主に目先利益となりますが、その分の手元資金を将来の先行投資に使えなかったり、手元資金がなくなることで健全性が下がったりします。

長期で株式を保有するなら、自社株買いで目先の株価上昇よりも将来の成長投資に資金を向け、従業員を大切にして、環境にも資金を向けている社会的責任を果たすESG企業が今求められているかもしれません。

文/大堀貴子
フリーライターとしてマネージャンルの記事を得意とする。おおほりFP事務所代表、CFP認定者、第Ⅰ種証券外務員。

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