まだまだテレワークが続くが、そのような中、運動量が減ったことで太ったという声はよく耳にするようになった。しかし、なかなか痩せられないというのが実状ではないだろうか?
もしかしたら、ストレスにより痩せにくくなっている可能性があると、ダイエットエキスパートの和田清香さんは話す。脳内ホルモンのセロトニン分泌に関係しているという。
そこで和田さんに、セロトニンの観点からテレワーク太り解消のポイントを聞いた。
【取材協力】
ダイエットエキスパート 和田 清香さん
アメリカ・NYの美容学校にてボディケア等の学びを重ね、認定栄養学&健康促進コンサルに関する米国資格、AFPA Nutrition & Wellness Consultant Certificationを取得。現在は、各メディアにてダイエット&美容の監修・執筆を行う他、企業及び個人向けのダイエット&美容のコンサルを行う。AFPA Nutrition & Wellness Consultant/FTPマットピラティスベーシックインストラクター/NY&NJ State Esthetics License所持。
『パーフェクト・サクセスダイエット徹底ガイド』(講談社)、『ハワイ ワンプレートダイエット 』(メディアファクトリー)、『30秒でスッキリ「壁トレ」』(ナツメ社)、『着圧ハイウエストレギンス入浴で脚・おなか・ヒップやせ』(主婦の友社)、『忙しいひとほどうまくいく!週1回×5分「FAT5」ダイエット』(宝島社)等 著書多数。
ダイエットの成果が出ないのはセロトニンのせい?
和田さんによると、テレワークやコロナ自粛でダイエットをしても、思うように痩せられないという場合に、「幸せホルモン」や「ダイエットホルモン」とも呼ばれているセロトニン分泌が抑制されている可能性があると話す。
感染症への不安や外出のなかなかできない環境によってかかる過剰なストレスにより、自分自身のコントロールがうまく行えなくなるという傾向が出ているなら、その可能性もある。
集中力や意欲は、脳内伝達物質が適切に分泌されることで維持されているという(有田秀穂著「脳からストレスをスッキリ消す事典」より)。ところが、ストレス過剰な状況においては交感神経活性が過剰になり、自分自身のコントロールを担う脳内分泌物質のセロトニンの分泌も抑制されてしまう。外出自粛生活では、太陽の光を浴びる機会も減るが、それもセロトニン分泌を妨げるといわれる。
セロトニンの働きが不十分だと、疲労やストレスも感じやすくなり、意欲も減退。さらに腸内細菌のバランスを乱し、食物の消化・吸収もスムーズにいかず、代謝のアップに欠かせない栄養素の吸収も妨げることで、より痩せにくくなるという負のスパイラルに陥るのだそうだ。
セロトニンの分泌が盛んになる生活習慣
ストレスや疲れ、意欲減退を感じているなら、セロトニンに原因があるかもしれない。
セロトニンは、規則正しい生活(睡眠・覚醒リズムの維持)、栄養バランス、適度な運動によって分泌が盛んになるという(有田秀穂著「脳からストレスをスッキリ消す事典」より)。
1.規則正しい生活
脳にストレスを与えない規則正しい生活が重要になる。睡眠・覚醒のリズムを整えるよう毎日同じ時間に起き、活動し、就寝するといいそうだ。
2.適度な運動
適度な運動も大切だ。近所を20~30分歩く程度でよいそうだ。散歩がてら、テレワークの昼休みに歩いてみよう。
3.食事の栄養バランス
食生活も重要。特に、セロトニン分泌を促す栄養素を積極的に摂ることがポイントになるという。
セロトニンを分泌しながらダイエットするためのフードとは?
和田さんによると、セロトニンを分泌しながらダイエットをするためには、「糖質」「タンパク質(特にアミノ酸のトリプトファン)」「ビタミンB6」が必須だという。それぞれ和田さんおすすめのフードを教えてもらった。
1.糖質
●「もち麦」
「もち麦は、βグルカンという成分が糖質の吸収をゆるやかにしてくれます。特に不溶性食物繊維が豊富で(100gあたり12.9g)、腸内環境改善が期待できます。白米の代わりに食べたり、スープやサラダに加えたりすると美味しくいただけます」
●「オートミール」
「ダイエットを意識しながら糖質を摂るならオートミールがおすすめです。オートミールとは、オーツ麦やえん麦を脱穀し、小さくカットしたり、平たく押しつぶしたりしたシリアルの一種です。ビタミンB群をはじめ、カルシウム、鉄分、亜鉛、タンパク質、食物繊維など、様々な栄養素が豊富で、鉄分や食物繊維にいたっては、同量の玄米に比べて2~3倍程度含まれているといわれています。血糖値上昇をゆるやかにし、肥満につながる可能性のあるインシュリンの分泌を安定させるといわれる低GI食品でもあります。私は極力オーガニックのものを選ぶようにしています」
2.タンパク質(特にアミノ酸のトリプトファン)
●「納豆」
「アミノ酸のトリプトファンは、納豆のほか卵、牛乳、チーズなどのたんぱく質に多く含まれます。毎日取り入れやすいのが納豆。アレンジを工夫して飽きないように取り入れましょう」
●「豆腐」
「豆腐は腹持ちもよく、植物性タンパク質なのでヘルシーな食生活に最適です。豆腐ステーキ、豆腐入りキーマカレー、豆腐とヨーグルトでつくるケーキなどアレンジして取り入れましょう」
3.ビタミンB6
●「バナナ」
「ビタミンB6はバナナのほか、かつお、まぐろなどの魚類、鶏むね肉やささみなどの脂身の少ない肉類のほか、酒粕やごま、にんにくなどに含まれます。バナナは手軽に取り入れやすい食品です」
●「抹茶」
「抹茶にもビタミンB6が含まれています。リラックス効果の他、体脂肪対策やアンチエイジング対策にも期待できます。お湯や牛乳、豆乳に溶かして飲む、ヨーグルトに混ぜるなどして取り入れましょう」
●「ユーグレナ」
「ユーグレナは、ワカメや昆布、クロレラと同じ藻の一種。ビタミンB6だけでなく、トリプトファンも含むほか、ビタミン、ミネラル、アミノ酸、不飽和脂肪酸など、59種類の栄養素をバランスよく含んでいます。ドリンクタイプ、粉末タイプ、サプリメントなどで市販されているので取り入れやすい形を見つけてみてください」
ダイエット中の食事のセロトニン分泌のコツ
ダイエット中、セロトニンを意識したときにどんな食事の摂取方法がいいか。和田さんは次のようにアドバイスする。
「今回紹介した食材を、バランスよく主食・主菜・副菜をそろえて食べるように心がけましょう。またセロトニンはほぼ腸で作られているので、腸内環境を良い状態でキープするようにするといいですね。
一定のリズムで同じ動きを繰り返す『リズム運動』がセロトニン分泌に役立つので、歯ごたえのある食材を選び、しっかり咀嚼することを意識しながら食べるのもポイントです。嫌々やったり、やり過ぎてしまったりするのは逆効果なので、ムリなく続けられることを実践しましょう」
セロトニンフードの例
そこで和田さんのアドバイスをヒントに、セロトニンを出す食生活に使えそうなフードを集めてみた。
1. 吉村和菓子店「キラリもち麦」
京菓子の老舗・亀屋良長の女将が店主を務める吉村和菓子店から、変わったもち麦が発売された。従来のもち麦品種は、食感や茶色くなる見た目、雑穀特有の匂いに抵抗感がある人もいるというが、この大麦のもち麦品種「キラリモチ」を加工したキラリもち麦は炊飯後も白さを保つので美味しく続けられる。
2.ファミリーマート「国産鶏サラダチキン(てりやき味)」
このサラダチキンは、国産鶏むね肉を使用している。味は醤油と本みりんのきいた甘辛いてりやき味。“今までのサラダチキンの味で一番美味しい”という口コミも実際に見られた。これならダイエットも美味しく続けられそうだ。
3.ユーグレナ「からだにユーグレナ」シリーズ
ビタミン・ミネラル・アミノ酸・DHAなど、人間に必要な59種の豊富な栄養素を持つ石垣島ユーグレナのスムージータイプとパウダータイプ。スムージータイプは野菜とフルーツをブレンドしているため、飲みやすい。パウダータイプは、有機⼤⻨若葉と明⽇葉をブレンドしている。ほのかに⽢く苦味がない⾵味で、飲みやすい。手軽に料理などにも加えて摂取できる。
イエナカ時間が増えるいま、ダイエットしたいというニーズも多いはず。ストレスでセロトニン抑制がされているなら、ぜひ増やす方向で対策をとってみよう。
取材・文/石原亜香利