新型コロナの感染拡大に伴い、ニューノーマルなライフスタイルが志向されている。そんな中で、洗濯機・⾷器洗い機の“⾼温” での「お湯洗い」が以下のように注目を集めている。
■TREND:星野リゾート「最⾼⽔準のコロナ対策宣⾔」⾷器類は⾼温洗浄
⽇本の伝統や⽂化を活かしたおもてなしを追求し、国内外に42施設を運営する星野リゾートは「最⾼⽔準のコロナ対策宣⾔」を合⾔葉に、徹底した衛⽣管理と「3密」回避を⾏う。器類(お⽫、グラス)やカトラリーの⾼温洗浄(80℃以上)、⾷事⽤トレイの除菌洗浄も徹底している。(星野リゾート公式HPより参照)
■TREND:80℃の熱湯に⾐類などを10分浸けてから洗濯すれば、より殺菌効果は⾼まる
『新型コロナウイルス感染症-市⺠向け感染予防ハンドブック-』作成メンバーで、東北⼤学⼤学院助教の吉⽥眞紀⼦さんは「80℃の熱湯が⼊ったバケツに⾐類などを10分浸けて洗濯すれば、より殺菌効果は⾼まります。」と指摘。厚労省も「病院で使⽤する寝具は80℃で10分間殺菌すべき」としている。(NEWSポストセブンより参照)
⽇本ではまだなじみが薄い「お湯洗い」だが、実は毎⽇の家事にはとても効果的。お湯で洗浄することで、⾐類がきれいに洗い上がり、清潔に保つことができる。
今回は、“洗濯王子”の愛称で知られる洗濯家・中村祐⼀さんが提案する「お湯洗い」による洗濯のメリットやポイントなどについて紹介していきたい。
洗濯家・中村祐⼀さんが説く「お湯洗い」の有効性
洗濯家 中村祐⼀さん
1984年3⽉1⽇⽣まれ。⻑野県伊那市のクリーニング会社「芳洗舎」3代⽬。「洗濯から、セカイを変える」という信念のもと、2006年から「洗濯アドバイス」という分野を切り開いてきたパイオニア。
洗濯から考える、よりよい暮らし⽅の提案を⾏い、「⾐・⾷・住」における「⾐⽂化」の⾰新に洗濯の側⾯から取り組む。「洗濯王⼦」の愛称で、テレビ・雑誌など各種メディアにも
多数出演。
現在、YouTubeやLINEにて、洗濯の悩みにお答えする、洗濯相談動画を配信中。またリモート洗濯教室も開催。
■汚れをしっかり落とすには、実は洗剤よりも「お湯洗い」が有効
⽇本の多くの地域は軟⽔のため、⽔で洗うことが主流で、「お湯洗い」を実施したことがある⽅は、おおよそ4割程度にとどまります。毎回お湯で洗うという⼈の割合は更に下がるのではないかなと思います。
ですが、⽇常着に多く付着する“⽪脂”は、⽔では⾮常に落ちにくく、洗ったはずなのにニオう、しまっておくと⻩ばむといったトラブルの原因となります。
⽔を使った洗濯で⼀番問題や悩みを引き起こすのは、⽪脂を始めとするアブラ汚れです。これを洗濯で落とすときに、⼀番⾝近かつ安全なのが「お湯」という存在で、実は、洗剤をいろいろ変えてみるよりも⽔の温度が重要、というのが僕の結論です。
■気をつけるポイントは「素材に合わせた温度調節」「環境への負荷」
「お湯洗い」の際、汚れを落とすことだけを考えるとお湯の温度は⾼いほどいいのですが、同時に素材を痛めたり⾊落ちしたり、タンパク質汚れは固まって落ちにくくなったりするので、アイテムや汚れに応じて温度を調整することが必要です。
またお湯で洗うことで、洗剤をたくさん使う必要がなくなる⼀⽅で、お湯にする際に使⽤するエネルギーの環境負荷も同時に考えていかなければいけませんね。
■ニューノーマル時代の“洗濯”は「きちんとキレイに洗濯する」ことで、よりサステナブルへ
今までは、どちらかというと仕事やアクティビティなど外での活動が重視され、また労働や⽣産も過剰に⾏われていた時代だったと思います。それがコロナの経験を経て、本当に⼤事なものやことが⾒えた⽅も多いのではないでしょうか。
社会・経済が停まっていた中でも、家事など家の中での活動や家族や⼤切な⼈とのコミュニケーションは、本当に必要なことだったのだと思います。
不要な汚れのみを引き算し、今あるものを繰り返し使うという「洗濯」は過剰な⽣産を⾏わずに価値を作り出すことができる⾏為で、これほどサステナブルな⾏為はないと思っています。
ニューノーマル時代は、 「きちんとキレイに洗濯する」ということの重要性はますます⾼まるのではないでしょうか。
出典元:ミーレ・ジャパン株式会社
構成/こじへい