子どもに読書習慣を身に付けさせたい親は少なくないでしょう。読書で得られる効果や読書に適した時間帯、自分に適した本の探し方を紹介します。また、読書の効果をアップさせるコツや長続きしないときの対策についても紹介するので参考にしてみましょう。
読書によって得られる効果5選
読書には多くのメリットがあるといわれています。読書をすることで、具体的にはどのような効果が得られるのでしょうか?
文章力や表現力が向上
自分の気持ちや考えを、的確に言葉や文章で表現できないと感じることは珍しくありません。
読書をすることで、さまざまな言葉や言い回しを目にする機会に恵まれるため、自然と語彙が豊富になります。そのため、自分の気持ちや考えを的確に伝えられる文章力や表現力が身に付くのです。
また、豊富な語彙は、相手の言葉を正しく理解することにもつながるでしょう。読書には、人とのコミュニケーション能力を向上させるというメリットもあるのです。
思考力が鍛えられる
本を読むには文章を理解し、作者の意図や奥深くに隠された真意をくみ取ることが必要です。そのため、読書をすればするほど、思考力や洞察力が鍛えられます。
会社では、メールや報告書などの文章から情報を得ることが少なくありません。日常生活でも、銀行や役所などから重要な通知が送られてくることがあります。
思考力は学校の勉強だけでなく、社会に出てからも必要不可欠な能力です。読書で思考力を鍛えることは、社会の中で生き抜く力を養うことにつながるといえるでしょう。
記憶力が高まる
記憶力は、得た情報を頭の中に保存しておく能力です。
例えば、一夜漬けのように丸暗記した情報は、時間の経過とともに忘れてしまいます。それは、思考を伴っていないためです。情報は、いつ・誰が・どこでなど『5W1H』を意識して頭の中で映像化すると、記憶に残りやすくなります。
読書では、目から得られる文字だけで、想像したり思考したりします。5W1Hを想像しながら読書することが、記憶力を刺激し向上させる訓練になるのです。
ストレスを解消できる
好きな映画やドラマを見ると、ストレス解消になると感じている人は少なくないでしょう。本を読むことでも同じような効果が得られるとされています。
興味のある本を読んでいると、登場人物や情景に感情移入し、自分の心が揺さぶられることが珍しくなく、それがストレス発散になるのです。また、読書に集中することで現実のストレスが忘れられ、読み終わるころには気分がスッキリするリフレッシュ効果があるとされています。
年収アップも期待できる
ある新聞調査によると、読書と年収は深い関係にあることが分かっています。年収が1800万円以上の人は、年収が600万円台の人よりも約2倍の時間を読書に費やしていることが分かったのです。
読書によって、コミュニケーション能力や思考力が鍛えられることが、仕事でも活かされているといえるでしょう。
さらに、年収が高い人は低い人に比べて、1日の勉強量も多いことが分かっています。年収が多い人は低い人に比べて30分前後長く勉強していたのです。
科目や分野にかかわらず、勉強には『読む』作業が欠かせません。読書量が勉強量の多さにつながっているといえるでしょう。
読書に適した時間帯は?
読書は、時間帯により得られる効果が異なるのでしょうか?朝と夜でどのような違いやメリットがあるのか紹介します。
効果が高いのは朝
朝に本を読むことで、読書によるメリットがより多く得られるとされています。朝は脳や体が活発になり、記憶力がアップし情報をインプットしやすくなるためです。特に朝食前の空腹時は、集中力が増すといわれています。
また、1日の始まりである朝は、活力にあふれ前向きな気持ちになりやすいとされています。そのため、知識や思考力を高める読書に適しているといえるでしょう。朝に読書の時間を設けている学校や、朝活を推奨している会社もあるほどです。
ただし、本の内容が興味深いと、時間を忘れて読みふけってしまうこともあります。朝に読書をする場合は、その後の予定に支障をきたさない程度にとどめるようにしましょう。
夜読書もメリットがある
脳に新しくインプットされた情報は、睡眠によって定着するとされます。情報や知識を記憶したい場合は、夜に読書をするのがよいでしょう。
記憶力が最も高まるのは、就寝の30分前といわれています。読書した後は、脳にインプットされた情報を忘れてしまわないように、すぐに就寝するとよいそうです。
夜は朝に比べて時間的にゆとりがあるため、ゆっくりと読書を楽しめるのもメリットです。空いた時間に細切れで読むよりも、じっくり内容に浸れます。
読書はストレスを軽減するといわれているので、夜に読書をしてストレスを発散し、リラックスした状態で眠りにつけるのもメリットでしょう。
読みたいけど時間がない…忙しいビジネスパーソンが効率よく読書の時間を確保する方法|@DIME アットダイム
読書の効果をアップするコツ
読書だけでもさまざまな効果が期待できますが、より効果をアップさせる方法があります。どのような方法があるのか紹介しましょう。
線やコメントを書き込む
読書中に線やコメントを書き込むと、脳の広範囲な領域が刺激され、脳の活性化につながるとされています。
線やコメントを書き込むには、まず本の内容を理解する必要があります。そして、どこに線を引くか、何を書き込むかを考えるのです。最後に、実際に蛍光マーカーなどで大切な部分に線を引き、ペンで考えや疑問などのコメントを書き込むという工程をたどります。
それぞれの工程は異なる領域の脳を刺激するため、広い範囲が活性化されるのです。脳が活性化されることで、記憶の残りやすいというメリットもあるでしょう。
読書ノートを作成する
読書の最中や読み終えてから『読書ノート』を作成するのもおすすめの方法です。読書ノートといっても手書きにこだわる必要はなく、スマホやパソコンを利用しても構いません。
読書ノートは自分のためのものなので、記載する内容も形式も自由です。一般的には、本のタイトルや著者・出版社、内容(要約)、心に残った文章、感想・意見などを記載します。自分の中での気付きや疑問点、もっと深く知りたいことなど、次に読む本選びに役立つ内容を記載するのもおすすめです。
感想や意見を書くには、思考し的確な言葉に置き換える作業が欠かせません。その作業を繰り返すことで、自然と思考力や表現力も鍛えられるでしょう。
読書が続かない場合どうすればよい?
「読書する時間がない」「読書が苦手で長続きしない」といった悩みを持っている人もいるのではないでしょうか?読書が続かない場合の対策を紹介します。
隙間時間に読める電子書籍を活用
学業や仕事などで忙しく、まとまった読書時間を確保するのが難しい人もいるでしょう。しかし、通学・通勤時間など隙間時間を有効活用することでも、読書は可能です。
本によっては、重たい物やかさばる物もあります。そのような場合は、軽くてコンパクトな電子書籍リーダーでの読書がおすすめです。普段スマホに慣れている人は、スマホを利用するのもよいでしょう。
大切なポイントは、「通学時の電車の中では読書する」というように明確なルールを決めて習慣化させることです。「電車に乗ると、ついスマホを手にしてしまう」という人は、スマホの電源を切るなど、習慣化の支障となる行動を防ぐように心掛けましょう。
オーディオブックを利用
読書が長続きしない人の中には、活字を読むこと自体が苦手という人も少なくありません。そのような場合は、オーディオブックを利用するのもよいでしょう。オーディオブックであれば活字を読む必要がないため、無理なく読書を楽しめます。
また、本は読める状況が限られていますが、オーディオブックなら通学・通勤時間などの隙間時間だけでなく、料理や買い物、掃除など何か別なことをしながらでも聴けます。そのため、1冊の本を早く読み終えられ、より多くの本に触れられるのもメリットでしょう。
自分に合った本の探し方
「購入した本が面白くなかった」という経験は、珍しくありません。毎日数多くの本が販売されていますが、どれを選べばよいのか分からない人もいるでしょう。自分に合った本の探し方を紹介します。
レビューサイトを参考にする
ネット上の本の『レビューサイト』を参考にするのは一つの方法です。
レビューサイトは、一般人のレビューが読めるサイトから有識者や書評家のレビューが読めるサイトまで各種あります。かなり詳しい内容が読めるサイトもあるため、購入前にどのような本か分かり、購入する際の参考になるでしょう。
どのレビューサイトを参考にするかは、人それぞれです。同じ本でも「名作だ」という人もいれば、「面白くない」という人もいます。自分が共感できる有識者や書評家を見つけて、その人が勧める本をチェックしてみるのもよいでしょう。
ランキング上位の作品から選ぶ
いくつかの書店では、売れている本や話題の本をランキングで紹介しています。複数のランキングを見比べて、どのランキングでも上位にランクインしている本は、人気が高いといえるでしょう。
ランキング上位の本は、それだけ多くの人に読まれているということです。個人差はありますが、興味深い内容である可能性が高いでしょう。
有名作家の新作など話題の本は、学校や職場で話題になることもあります。そのため、読んでおくと話題についていけるというメリットもあります。
好きな作家や有名人のおすすめをチェック
ほとんどの人は、好きな作家や有名人が1人くらいはいるのではないでしょうか?好きな作家や有名人が勧めている本をチェックしてみるのもよいでしょう。
好きな作家が勧める本は、あなたが好む内容やテイストである可能性が高くなります。実際に読んで気に入れば同じ作家の別な作品を読んでみるというように、自分の興味の幅を広げていくことも可能です。
また、好きな人が勧めている本は、それだけでどのような内容なのか興味を持てるものです。それは「読んでみたい」という動機につながります。
その他、同じ作家が好きな友人や知人を見つけるのもよい方法です。あなたと好みのテイストが似ている可能性が高いため、おすすめを聞いてみると参考になるでしょう。
構成/編集部