近年、増えている自然災害。ペットを飼っている人は、家族の一員としてペットの防災準備も行っておきたいものだ。そこで今回は、ペット災害危機管理士に、ペットの防災準備について聞いた。前編ではペット向けの防災用品リスト、後編ではペットの防災準備としてのしつけや避難について紹介する。
【取材協力】
鈴木清隆さん
神奈川県箱根町在住 合同会社スプラウト代表。全日本動物専門教育協会認定 ペット災害危機管理士R1級講師/防災士/箱根町消防団所属
箱根町にてペットと泊まる宿を経営していた経験により、ペットと災害についての啓蒙活動を行っている。
一般社団法人 全日本動物専門教育協会
環境省「人とペットの災害対策ガイドライン」
犬や猫を飼う家庭で準備しておくべき物品とは?
犬や猫を飼っている家庭は、災害時に備えてどんなものを準備しておくべきか。
一般社団法人 全日本動物専門教育協会認定 ペット災害危機管理士R1級講師の鈴木清隆さんに聞いた。
鈴木さんによれば、基本的に、ペットの災害対策は環境省の「人とペットの災害対策ガイドライン」に沿って行うという。今回も、このガイドラインに沿って解説してもらった。
「在宅(自宅)避難ではもちろんのこと避難先においても、ペットの飼養に必要なものは飼い主が用意しておく必要があります。ペットと一緒に安全を確保し避難場所まで移動し、避難生活に備え、準備した避難用品を携行します。ペット用の救援物資が届くまでには時間がかかることがあるため、少なくとも5日分、できれば7日分以上は用意しておくとよいとしています。特に、療法食などの特別食はさらに長期間分の用意が必要です。
ペットが好き嫌いなく救援物資食料を利用できるように日頃からしつけておくことも大事です。優先順位1位のペットの健康や命にかかわるものは、人の避難用品とともに保管しましょう」
ペットの防災用品リスト
ここで、ペットのための防災用品のリストを優先順位の高い順から見ていこう。
<優先順位1「動物の健康や命に係わるもの」>
●療法食、薬
●ペットフード、水
「療法食や薬はできるだけ多く、ペットフードと水は少なくとも5日分、できれば7日分以上は用意しておきます。水はペットボトル数本に『ペット用』とボトルにマジックで書いておくと避難所でも有効です。水は被災時には貴重品です」
●キャリーバッグやケージ
「猫や小動物には避難時に欠かせないアイテムです」
●予備の首輪、リード
「伸びないものがいいです。また樹や椅子などに係留できる機能があると便利です」
●ペットシーツ
●排泄物の処理用具
●トイレ用品
「猫の場合は使い慣れた猫砂、または使用済猫砂の一部を準備しましょう」
●食器
「食器は使い慣らしたものが良いです」
<優先順位2「情報」>
「以下の情報を一枚の紙に記入し、避難バッグに入れておくと良いです」
●飼い主の連絡先と、ペットに関した飼い主以外の緊急連絡先・預け先などの情報
●ペットの写真
●ワクチン接種状況、既往症、投薬中の薬情報、検査結果、健康状態、かかりつけの動物病院などの情報
「ペットの写真は、印刷しておくとともに携帯電話などに画像を保存しておくことも有効です。また警視庁警備部災害対策課推奨のペットのプロフィールカードもおすすめです」
<優先順位3「ペット用品」>
●タオル、ブラシ
●ウェットタオルや清浄綿
「ウェットタオルは大小あると便利で、清浄綿は目や耳の掃除など多用途に利用可能です」
●ビニール袋
「ビニール袋は、多用途に利用可能です。排泄物の処理用は黒を用意しておきましょう」
●お気に入りのおもちゃなど匂いがついた用品
●洗濯ネットなど
「猫の場合は屋外診療・保護の際に有用です」
●ガムテープやマジック
「ケージの補修、段ボールを用いたハウス作り、動物情報の掲示、など多用途に使用可能です」
●古新聞
「汚物処理に利用したり、タオルの代替になったりします」
●ドライシャンプー、ティッシュペーパー、爪切り
<優先順位4「緊急品」>
●ラバーシューズ
「危険物が散乱した地面の上を移動する際に役立ちます」
●ゴム手袋
「出血したペットの移動を手伝ってもらう場合に使えます」
●包帯・口輪
「緊急治療が必要な際に、被災した病院で必要となります」
●レスキューレメディ=(精神安定香料)
「ストレス軽減とペットの精神安定に使用できます」
●笛、鈴、反射材
「負傷したときの救助要請に使用します」
ペットの災害対策として、これらの防災用品は最低限用意しておきたいものだ。詳細は環境省「人とペットの災害対策ガイドライン」を参照し、正しく準備をしたい。
後編では、防災準備としてのペットのしつけや、被災時の避難について解説してもらう。
取材・文/石原亜香利