
世界に数えきれないほどの種類がある「楽器」。金管楽器と木管楽器の違いや、西洋楽器と和楽器それぞれの特徴、小学校の授業で使う楽器の傾向など、意外と知らないこともあるのではないでしょうか。今回は、楽器について少し詳しくなれるマメ知識をご紹介します。
日本の伝統的な楽器「和楽器」の種類は?
日本の伝統的な楽器である「和楽器」。日本固有のものや、大陸文化から伝来し発展したものなど、その種類は様々。例えば「太鼓」だけでも何種類もあり、挙げればキリがありません。
大まかな分類を紹介! 和楽器の種類一覧
和楽器は、「弾きもの(弦楽器)」「吹きもの(管楽器)」「打ちもの(打楽器)」の3種類に大別できます。また、木魚や梵鐘は「宗教用具」として分けて考えられることもあります。
続いて、各種どのよう楽器があるのか紹介しましょう。
【和楽器の種類】弾きもの(弦楽器)に分類される楽器は?
弾きもの(弦楽器)には、箏(そう/写真)・琴(こと)、三味線、三線(さんしん)、胡弓、琵琶などがあります。
見た目は似ていますが、本来「箏」と「琴」は別モノで、柱(じ)というブリッジがあるほうが「箏」です。「箏」という漢字が常用漢字ではなかったため、「琴」と同じ字が当てられるようになりました。また、「三味線」「三線」も一見似ていますが、素材や演奏方法は異なります。「三味線」ではイチョウ型のバチを用いて、沖縄の楽器である「三線」は指に爪のようなものをはめて弦をはじきます。
【和楽器の種類】縦笛? 横笛? ほら貝!? 吹きもの(管楽器)に当てはまる楽器
吹きもの(管楽器)とは、尺八、笙(しょう)、篠笛(しのぶえ/写真)、篳篥(ひちりき)、竜笛(りゅうてき)、能管(のうかん)、ほら貝など、吹いて音を鳴らす楽器の総称。
「笙」は雅楽で使われる楽器で、17本の竹が束ねられたその見た目が鳳凰に見えることから「鳳笙」とも呼ばれます。「尺八」は縦型の笛で「篠笛」は横型の笛ですが、どちらも演奏方法はフルートに近く、口の形が重要になります。音の自由度が高い分、難易度も高いです。
【和楽器の種類】太鼓や鐘など打ちもの(打楽器)に分類される楽器
打ちもの(打楽器)には、太鼓、鼓、鉦鼓(しょうこ)、摺鉦(すりがね)、銅鑼、拍子木、木魚、鳴子、ささら、鈴、鐘などが分類されます。「拍子木」は2つの長方形の木を打って音を鳴らす楽器で、火の用心でお馴染みです。
和楽器と西洋の楽器の大きな違いは?
和楽器は独特の音色、“間”や揺らぎを活かした演奏が魅力。例えば吹きものの場合、音の強弱やかすれなどが個性的な音を生み出しています。こういった特性から高度な技術を求められる楽器が多く、西洋楽器に比べて扱いが難しい傾向にあります。一方で、西洋楽器は大人数で合奏するために作られたものが多いため、和楽器と比べると操作しやすい点が魅力です。
近年では西洋楽器と和楽器の魅力を取り入れた「和楽器バンド」や、EDMやジャズなど洋楽の要素を積極的に取り入れた津軽三味線プレイヤーの「上妻宏光」氏が活躍し、和楽器の可能性を広げています。
管楽器にはどんな種類がある? 金管楽器と木管楽器の違いを解説
管楽器とはその名の通り管で作られている楽器で、管の中の空気を振るわせて音を出します。様々なジャンルで用いられる管楽器ですが、大きく分けると「金管楽器」「木管楽器」の2種類があります。
「大きい/小さい」? それとも「材質」? 管楽器の種類の分け方
金管楽器と木管楽器の違いは「音を出す仕組み」にあります。材質の違いだと思われがちですが、木管楽器の中にも金属でできているものがあります。続いて、各種類の特徴について解説します。
金管楽器の種類・一覧
金管楽器とは、唇の振動によって音を出す楽器。いわゆるラッパのような形状の楽器が多く、マウスピースと呼ばれるパーツを使用します。
トランペット、ホルン、トロンボーン、ユーフォニアム、チューバ、コルネット、フリューゲルホルン、メロフォン、アルトホルン、バリトンなどが金管楽器として挙げられます。実は、ほら貝やブブゼラも唇の振動で音を出すため金管楽器の仲間とされているのです。
木管楽器/リード楽器の種類
サクソフォン(サックス)、クラリネット、ファゴット、オーボエ、フルート、ピッコロなど、木管楽器は唇を振動させずに音を出す楽器。リード(写真下)などの振動体を使うものは「リード楽器」とも呼ばれます。
「サックス(写真上)」など金属でできている楽器は金管楽器と間違われやすいですが、こちらもリードを使うため木管楽器です。また「フルート」や「ピッコロ」はリードを使用しませんが、息を吹き込むことで空気を振るわせるため、エアリードと呼ばれることもあります。
小学生の定番楽器「リコーダー(たてぶえ)」も木管楽器の一種
小学校の音楽の授業の定番楽器である「リコーダー(たてぶえ)も、木管楽器の1つ。細めのソプラノリコーダーと大きく太いアルトリコーダーの2種類を思い浮かべる方が多いと思いますが、実は多くの種類が存在しています。
大きく分けると、ソプラノ系(ソプラノ、テナーなど)とアルト系(ソプラニーノ、アルト、バスなど)があり、音域が低くなるにつれてサイズが大きくなります。
小学生が学校で使う楽器の特徴とは?
小学校で使う楽器は、「教育楽器」「学校用楽器」などと呼ばれています。リコーダー、鍵盤楽器(鍵盤ハーモニカやピアノ、アコーディオンなど)、トライアングル、カスタネット、タンバリン、鉄琴・木琴など、種類は様々。カリキュラムや授業で演奏する曲によって異なります。
これらの楽器に共通しているのは、小学生でも安心して扱えること。演奏しやすく、メンテナンスしやすい傾向にあります。クラスみんなで合奏できるというのもポイントです。
オーケストラで使用される楽器一覧
全てのジャンルにいえることですが、オーケストラでも楽曲/編成ごとに用いる楽器は異なります。それらを大きく分けると、以下の4分類に。こちらでは代表的な楽器を紹介しています。
■弦楽器……ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、コントラバスなど
■木管楽器……フルート、ピッコロ、クラリネット、オーボエ、ファゴットなど
■金管楽器……ホルン、トランペット、トロンボーン、チューバなど
■打楽器(パーカッション)……ティンパニ、太鼓、シンバル、カスタネット、トライアングル、マリンバ、ウインドチャイム、グロッケンシュピール、シロフォン、ビブラフォン、銅鑼など
特にパーカッションは、多種多様な楽器を使用します。上記以外にも、ハープ、ピアノ、オルガン、サックスといった楽器が使われることもあります。
パーカッションなどの手で叩く楽器の種類とは?
手で叩く楽器といえば、打楽器である「パーカッション」が思い浮かぶでしょう。代表的なものでいうと、箱型の打楽器「カホン」。また、カァ~ンという独特なサウンドが特徴的な「ヴィブラスラップ」も、手で叩く楽器としておなじみです。
そのほか、細長い樽型のボディにヘッド(打面)を張った「コンガ」や、大きさの異なる2つの太鼓が繋がっている「ボンゴ」(写真)など、キューバ生まれの楽器もパーカッションの人気楽器。また、「ジャンベ」はくびれのある胴体にヘッド(主に山羊皮製)とチューニング用のロープが張ってあり、叩く位置によって多彩な音色を鳴らすことができます。
【参考】ドラムセットさながらの多彩なビートが楽しい!初心者におすすめの箱型打楽器カホン15選
楽器の世界は奥深く、今回ご紹介したマメ知識はほんのわずかです。この記事を読んで楽器に関する興味が湧いた方は、ぜひご自分でもいろいろと調べてみてください。また、演奏動画を見たり、演奏会や楽器店などに足を運んだり、その魅力を聴覚でも体感してみましょう。
※情報は万全を期していますが、その内容の完全性・正確性を保証するものではありません。
文/bommiy