秋分の日は世界的には珍しいタイプの祝日ですが、その理由を知っていますか?なぜ秋分の日が祝日になったのか、その由来と意味を解説しますので、秋分の日を意識するきっかけにしましょう。お彼岸との関係や、行事食であるおはぎについても紹介します。
秋分の日とは?
秋分の日は、国民の祝日として制定される前にも別の名前で存在していました。どのような由来がある日なのでしょうか?
意味や由来
現在、国民の祝日として制定されている秋分の日は、1948年に公布・施行された、『国民の祝日に関する法律』で定められたものです。
もともと、秋分の日前後に行われていたお彼岸の墓参りの習慣を踏まえ、『祖先を敬い故人をしのぶ日』とされています。
また、48年以前には『秋季皇霊祭』という名前で呼ばれていました。明治時代に秋季皇霊祭に定められてから、この日の宮中では、歴代の天皇や皇族の神霊を祀る儀式が行われていたのです。
秋分の日は、皇室の行事がルーツの祝日でもあります。
二十四節気の一つ
秋分の日の『秋分』は、季節の移り変わりを表す二十四節気の一つです。二十四節気では、1年間を15日間ごとに24の期間に分けています。秋分は、毎年9月23日~10月7日頃に訪れる期間です。
国民の祝日に制定されている秋分の日は、秋分に入る日を指します。そのため、毎年9月23日であることが多いのです。
ただし、秋分の日は特定の日にちではなく、太陽の動きによって決まります。そのため、9月23日以外の日にちになることもあるのです。例えば、2020年は9月22日に秋分の日を迎えます。
いつどのようにして決まる?
前述のように、秋分の日は毎年9月23日だとは限りません。では、翌年の秋分の日が分かるのはいつ頃なのでしょうか?
日の決め方
翌年の秋分の日がいつなのか分かるのは『毎年2月』です。日にちの決定は、国立天文台が作成した暦象年表をもとに行われます。ちなみに、これは春分の日も同様です。
暦象年表に記載されている、天文観測により求められた春分・秋分の起こる日をもとに、閣議において、正式な日にちが決定されるのです。
決定された日にちは、毎年2月最初の官報に掲載される『暦要項』において発表され、翌年の春分・秋分の日が判明します。世界中に祝日はたくさんありますが、春分・秋分の日のように天文学的に日付を決定するのは珍しいケースです。
秋分の日にお墓参りをする理由
地域によっては、「秋分の日に墓参りをする」のが習わしになっているところもあります。なぜ、秋分の日に墓参りをするのでしょうか?
お彼岸の期間に当たる
秋分の日にお墓参りをするのは、この日がお彼岸でもあるからです。秋分の日と前後3日を合わせた、合計7日間が『秋のお彼岸』の期間とされています。
お彼岸は先祖供養の日とされているため、墓参りをする習慣があるのです。
また、お彼岸の初日を彼岸入り、最終日を彼岸明けといい、秋分の日でもある真ん中の日を中日と呼びます。
あの世とこの世が近づく日
仏教では、先祖がいるあの世を『彼岸』と呼び、私たちが生きているこの世を『此岸(しがん)』といいます。お彼岸にお墓参りをする習慣が根付いたのは、秋分の日が『彼岸と此岸が最も近づく日』と考えられていたからです。
彼岸は西に、此岸は東にあると、仏教ではいわれています。秋分の日は、太陽が真東から昇り真西に沈む日です。東から西への最短距離を太陽が通るため、彼岸と此岸が近づく日と考えられるようになりました。
そのため、先祖供養によい日とされ、お墓参りの習慣が根付いたと考えられています。
「お彼岸」っていつからいつまで?意外と知らないお彼岸の時期にすべきこと|@DIME アットダイム
秋分の日の食べ物
二十四節気の一つである秋分の日には、どんな食べ物を食べる習わしがあったのでしょうか。現在でも『秋分の日の風習』として残っている、行事食についてご紹介します。
おはぎが行事食
秋分の日の行事食は、『おはぎ』です。お彼岸におはぎをお供えしたり食べたりする風習は、江戸時代には定着していたといわれています。
小豆は、古来より『邪気を払う食べ物』として扱われており、その赤い色には災難を除けるおまじないの効果があると考えられていました。邪気を払う特別な食べ物という信仰が、先祖供養と結びついたという説もあります。
また、甘いお菓子は高級品だったため、いつでも食べられるものではありませんでした。先祖供養をする日は1年の中でも特別な日だとされ、秋分の日に食べるのが風習となったのです。
おはぎとぼたもちの違い
蒸した米をつぶして丸め、あんこで包むのが、一般的なおはぎの作り方です。ぼたもちも材料や作り方はほぼ同じですが、『作られる季節が違う』ために別の名称で呼ばれていました。
二つのお菓子の主な違いは、形とあんこの種類といわれています。
おはぎは秋分の日の行事食のため、秋の七草の一つである『はぎの花』に似せて、小ぶりで長めに作るのが習わしです。一方、ぼたもちは春分の日に食べられるため、『ぼたんの花』に似せて大きく作ります。
また、収穫後の新鮮な小豆が手に入る秋には『粒あん』でおはぎを作り、春には固くなった皮を取り除いた『こしあん』でぼたもちを作ったそうです。
構成/編集部