■連載/法林岳之・石川 温・石野純也・房野麻子のスマホ会議
スマートフォン業界の最前線で取材する4人による、業界の裏側までわかる「スマホトーク」。今回はiOS発表で見えてきた、次期iPhoneの姿について議論します。
iPhoneに「ウィジェット」がやってくる
房野氏:Appleの開発者会議「WWDC20」でiOS 14、iPad OS 14の進化点が発表されました。iPhoneのホーム画面が大きく変わりそうですね。
石野氏:ついにウィジェットが来ましたね。
石川氏:ウィジェットをやるなら、もっと早くでも良かったんじゃないかという気がする。なぜこのタイミングでウィジェットなんだろうというのは、正直感じました。
石野氏:クレイグ・フェデリギさんの説明では「機能が増えてきたから」こうしたってことでしたが、ずいぶん前から増えているだろって感じはしました。
石川氏:ここ数年、iPhoneのホーム画面がアプリだらけになっていることは感じていた。だけど、使っているアプリは限定的になっているので、今回のUI(ユーザーインターフェイス)で整理統合が行われそうな感じはする。よく使うアプリはウィジェット化して、全然使わないアプリはフォルダにまとめちゃって、どこかのタイミングで使えるようにすると。ホーム画面自体はスッキリしましょうっていう流れになっているのかなって気はします。
石野氏:フェデリギさんは「3ページ目以降は覚えられない」って言っていましたね(笑)
石川氏:Appleのウェブサイトを見ると、実質2画面しかない。改めてアプリに向き合うタイミングなのかなって気がしている。「App Clip」も、みんなアプリをいちいちダウンロードして、登録してということをやらなくなってきているので、だったら必要なものだけ10MB以下で落としましょう、そこでApple Payの決済もできる、というようにサクサク使いましょうって感じ。App Clipは面白そう。これが普及すると、決済や個人認証をAppleががっつり持っていっちゃう可能性もある。
石野氏:iPhoneはディスプレイが大きくなったので、画面上部のアイコンをタッチするのがキツいんですよね。そこにはウィジェットを置いて常に情報を表示しておいて、アイコンは下にまとめることができるようになった。ダークモードで盛り上がったときより、今回は遙かに変わった感がある。使い方も変わるんじゃないないかなって感じがしました。
法林氏:ただ、ウィジェットとアプリのアイコンの並びが整理されていない感、雑多感がある。Windows Phoneのタイル表示みたいな感じで、ちょっとこれはどうなのよ、みたいな感じもあった。
石野氏:INFOBAR感がある。
法林氏:そうそう。UIとしては過去に通ってきた道ではあるけど、うまくいくのかなぁ。石野君が言ったように、上の方のアイコンがタッチしにくくなっているのは、どのスマートフォンも共通なので、そこにウィジェットを並べるのは常套手段。
石野氏:無駄なく画面を使えますよね。
法林氏:ファーウェイの「Quick App」(HMS=Huawei Mobile Serviceで採用された、インストール不要のアプリ)もそうだけど、インストールせずに使うアプリも流れとしてある。
石野氏:WWDCはディベロッパー向けのイベントなので、ディベロッパーが商売するためのツール的な意味でもウィジェットはいいなと思った。
法林氏:ホーム画面の1ページ目の並びがすごく変わることになると思うので、固定化したアプリの活性化も狙っていると思う。進化としてはいいけど、iPhoneの解説本を作るのは大変だなと(笑)