タンパク質が豊富で糖質は少ない優良食材
いわゆる「コロナ太り」で、ちょっとふっくらしてしまい、ダイエットに苦闘している方に今回おすすめしたいのが「高野豆腐」だ。
高野豆腐は、凍らせた豆腐を熟成・乾燥させたもので、どこででも手に入る伝統食材。しかし、和食の煮物くらいしか出番がないというイメージが大きく、食べる機会はそうそうない人が大半だろう。
そんな高野豆腐だが、外出の自粛要請がなされた春に、なぜか売上が激増。主力メーカーによれば、長期保存ができて、栄養価が高い点に注目が集まったのではないかという。
栄養価についていえば、タンパク質は木綿豆腐の約7倍、100gあたり約50gも含まれ、かつ糖質は白米の1/20と超低糖質な点が挙げられる。そして、内臓脂肪を燃焼させるβコングリシニンやレジスタントタンパクも含まれ、ダイエット食材としてきわめて魅力的。なおかつ、安価である点が、「巣ごもり消費」というライフスタイルにマッチしたのだろう。
ダイエット効果をパワーアップした「即やせパウダー」
この隠れたダイエット食の高野豆腐に光をあて、さらに効果をアップさせた「即やせパウダー」を考案したのが、よこはま土田メディカルクリニックの土田隆院長だ。
土田院長は、著書『肥満治療の名医が考案 たった2週間で内臓脂肪が落ちる高野豆腐ダイエット』(アスコム)の中で、かつて超肥満体であった自身をはじめ、肥満に悩む多くの患者さんをスリム化に導いた、このパウダーの効能を解説している。
即やせパウダーの作り方は簡単。まず、材料として粉豆腐(高野豆腐を粉末状にしたもの)を170g、かつおぶしを20g、干しシイタケを10g、唐辛子を3本用意。これは、料理に加える際の基本分量となる「こんもり3杯」の10回分にあたる。
材料が揃ったら、まず、かつおぶしを電子レンジ(600W)で1分加熱したのち、手で軽くほぐしておく。次に、粉豆腐以外の材料全部をミキサーに投入し、粉状になるまで攪拌する。最後に、粉豆腐を加えて混ぜ、密閉容器に入れて冷蔵庫に保存する。
この即やせパウダーは、料理の一材料として活用する。かさ増し食材と考えることで、無理のない糖質制限が可能になるし、肉と置き換えればカロリーオフにもなる。もちろん、タンパク質強化の食事にもなる。そんな即やせパウダーを使ったレシピが、本書には数多く掲載されている。そのなかの3つを以下紹介しよう。
「高野豆腐でかさ増しカルボナーラ」
ペンネの一部を、斜めに切った高野豆腐に置き換えることで糖質オフ。即やせパウダーも加えてタンパク質豊富な主食に早変わり。
【材料(2人分)】
・即やせパウダー:大さじこんもり3
・高野豆腐(戻したもの):1枚
・ベーコン:1枚
・水:大さじ4
・卵:2個
・A-コンソメ:小さじ1、塩:小さじ1/4、粗挽きこしょう:少々、パルメザンチーズ:大さじ2
・しめじ:100g
・ペンネ:50g
・パルメザンチーズ:適量
・粗挽きこしょう:適量
【作り方】
1 大きめの耐熱容器に、1cm幅に切ったベーコンと即やせパウダー、水を入れてラップをかけ、電子レンジで1分30秒加熱。そこに卵をときほぐしてAを入れ、よく混ぜ合わせておく。
2 高野豆腐はペンネと似た形になるように切る(厚みが半分になるように水平に切り、それをスティック状に切って、さらに斜めに切る)しめじは石づきを除いてほぐす。
3 ペンネを表示通りにゆで、ゆで上がり1分前にしめじを入れて一緒にゆで上げる。水気をしっかりと切り、1にからませる。
4 器に盛り付け、パルメザンチーズと粗挽きこしょうをふる。
「ピーマンとツナのレンジ炒め」
ピーマンを食材に使うことで、高野豆腐に含まれていないビタミンCが摂れる一品。ピーマンにはトマトの約4倍のビタミンCが含まれており、効率的に摂ることができる。
【材料(2人分)】
・ピーマン:3個
・A-ツナ缶(ノンオイル):1缶、酒:大さじ1、即やせパウダー:大さじこんもり2、塩・こしょう:各少々
【作り方】
1 ピーマンの種とヘタを除き、細切りにする。
2 耐熱容器にAを入れて混ぜ合わせ、1をのせてラップをかけ、電子レンジで4~5分加熱して混ぜ合わせ、塩・こしょうで味をととのえる。
「高野豆腐のパリパリラスク」
こちらはスイーツのジャンルに入るが、1人分の糖質摂取量がわずか0.3gに抑えられておすすめ。ダイエット中でも小腹がすいたときに食べられる。
【材料(2人分)】
・高野豆腐(戻したもの):2枚
・ラカント(顆粒):大さじ2
・水:大さじ1
・バター(レンジで溶かしたもの):20g
【作り方】
1 高野豆腐を2~3mm幅に薄くスライスする。
2 ポリ袋にラカント、水、溶かしバターを入れて合わせ、1を入れてもむ。まんべんなく全体についたら、クッキングシートを敷いた天板に並べて、150℃で25~30分焼く。
3 そのままオーブンの中に30分程度放置して、水分がなくなったら完成。
ダイエット成功のカギは、「継続できるか?」だが、本書に掲載のレシピはバラエティに富み、食べ飽きることなく続けられそうだ。財布にもやさしい食材なので、毎日1食取り入れることから始めてみてはいかがだろうか。
文/鈴木拓也(フリーライター兼ボードゲーム制作者)