
ジュニアNISA口座ならどこも同じと思っていないでしょうか?ジュニアNISA口座は一度口座を開設すると、他の証券口座に変更したい場合には口座を廃止して非課税になっていた利益を遡及して課税されるため、慎重に選ぶことが必要です。
ジュニアNISAとは?
ジュニアNISAとは、0〜19歳を口座開設者とするNISA制度です。
NISA制度は、現在(一般)NISA、つみたてNISA、このジュニアNISAがありますが、(一般)NISAとつみたてNISAは、口座開設者が20歳以上を対象としています。
どのNISA口座でも、投資から得られた利益が非課税になります。
ジュニアNISAでは、株式、投資信託、REITなどが対象で、通常利益に対して20.315%かかる税金がかかりません。ジュニアNISAが(一般)NISAとつみたてNISAの2つと大きく異なるのが、引き出し制限があることで、口座開設者であるこどもが18歳まで原則引き出しできません。引き出しする場合には、災害等やむ得ない場合を除き、口座を廃止して今まで非課税となっていた税金を遡って支払わなければなりません。
その代わり、非課税期間である5年を終了しても、売らない限り20歳まで非課税で運用することができます(継続管理勘定としてロールオーバーできる)。
ジュニアNISA口座をつくるときは、ジュニアNISA非課税口座とジュニアNISA課税口座をつくります。このとき、口座開設者(未成年)の証券口座と運用指図する親権者等の証券口座が必要となります。運用は、親権者等が行います。運用者は両親だけでなく祖父母でも可能です。
なお、ジュニアNISAは従来通り2023年12月末で終了することになり、2024年1月以降18歳未満でも制限なしで資金が引き出しできるようになる予定です。
ジュニアNISA口座の証券会社選びの注意点
ジュニアNISA口座での取引には、金融機関によって手数料、取扱商品、課税ジュニアNISA口座の取扱が異なるため、注意点を事前に確認して自分に適した金融機関を選ぶことが大切です。
■手数料
NISA口座なら株式取引手数料がかからない口座があります。
手数料無料で取引できれば、利益を最大限大きくすることができます。
投資信託への投資をするなら、投資信託には買付手数料がかかります。
つみたてNISA口座対象の銘柄(ジュニアNISAで買付可能)など買付手数料がもともと無料になっている銘柄もありますが、金融機関の負担で無料になり、取扱銘柄の買付手数料が全銘柄無料になっている金融機関もあります。
■商品ラインアップ
株式投資をするなら証券会社のジュニアNISAが最適です。株式取引は銀行は取り扱っていないため、証券会社でないと取引できません。
また、証券会社によってはNISA口座で米国株式やETFなど外国株式に投資できるところもあります。
投資信託に投資するなら、投資したい銘柄がある商品ラインアップが豊富な証券会社を選ぶか、逆に初心者の方なら商品数が限定されていて選びやすい銀行などで選ぶのも良いでしょう。
■課税ジュニアNISA口座で運用できるか
ジュニアNISA口座を開設する際に、以下の3つの口座を作ります。
代理で運用する親の口座がジュニアNISAを開設する証券会社にない場合、新たに親の口座も開設する必要があります。
(1)未成年口座(特定口座)
通常こども(未成年)が開設する口座でジュニアNISAの運用自体で使うことはあまりない
(2)ジュニアNISA口座
この口座で投資して得られた利益は全て非課税
(3)課税ジュニアNISA口座
ジュニアNISA口座で投資した株式や投資信託から出た配当金や分配金、売却代金が入ります。利益が出るときには非課税となります。課税ジュニアNISA口座に入ったこれらの利益を再投資する際に、ジュニアNISAの非課税枠が残っておりその枠を使用する場合は再び非課税で投資できます。
一方、非課税枠が残っていない場合には投資すると課税されます。
上記課税ジュニアNISA口座に入る資金をジュニアNISAの非課税枠外で投資すると通常の取引同様20.315%の課税がされます。
ここで気をつけたいのが、課税ジュニアNISA口座での資金を投資に回せる証券会社と回せない証券会社があることです。
投資信託の分配金の再投資による自動買付は認められているが、課税ジュニアNISA口座にある資金を投資に回すことができない証券会社があります。
ジュニアNISA口座で投資した資金は保有し続けて売却しない方は良いのですが、売却して資金を現金で置いたまま(引き出しは不可)にするのではなく課税されてもいいから取引したい方にとっては、課税ジュニアNISA口座で投資できる金融機関か確認してからジュニアNISA口座開設するのがおすすめです。
ジュニアNISAの金融機関変更は難しい
ジュニアNISAは口座開設して、他の金融機関に変更したい場合、一度変更前の金融機関の口座を廃止しなければならず、さらに非課税となっていた資金に遡及して課税が行われます。
ジュニアNISA口座を開設してから一切取引していない場合は、金融機関を変更しても問題ないですが、一度でも取引していたり、資産が預けられていたりする場合に、変更するのは難しいでしょう。
そのため、ジュニアNISA口座を預ける金融機関は慎重に選びましょう。
文/大堀貴子
フリーライターとしてマネージャンルの記事を得意とする。おおほりFP事務所代表、CFP認定者、第Ⅰ種証券外務員。