なぜ猫は敵と対面すると「シャー」するのか
やっと慣れてきた、という頃合いをみはからって猫をそっと撫でようとしたら、「シャー!」と威嚇されて、へこんだ…。
猫好きあるあるですよね。猫の「シャー!」は、敵だとみなした相手への威嚇として知られていますが、なぜ「シャー!」が威嚇になるのでしょう?
「キャット・ウォッチング」で有名なデズモンド・モリス博士によると、この「シャー!」は、ヘビの物まね。猫の祖先は、砂漠に住んでいたリビアヤマネコだと考えられており、そこでは猫はヘビと共存していました。
日常、見かけることがないのであまり知られていませんが、ヘビは敵に遭遇すると、シャー!という声で威嚇します(ちなみに「ガラガラヘビ」は特殊な発声器官を持ち、敵に会うと「ガラガラ」という鳴き声で威嚇することから名づけられています)。
毒を持つことで大きな動物にすら恐れられていたヘビを身近で見ていたため、猫は敵に遭遇した時に、自分をヘビに見せかける行動をとるようになったというのです。
追い詰められた時の猫の行動は、ヘビと酷似している
この説の裏付けとなるのは、追い詰められた猫はシャー!といううなり声とともに、ツバを吐きかける動作をすること。これも、脅かされたヘビに見られる反応なのです。
また、追い詰められた猫は独特の尻尾の動きをしますが、これもヘビのクネクネする動きを真似しているといわれます。
「アンモナイト寝」も、ヘビの物まねだった!
猫は「アンモナイト寝」と呼ばれるように、丸くなって眠りますが、じつはこれもヘビの寝姿を真似ているという説もあります。
野生種の猫の毛色はヘビの柄と似た色味であり、切り株の上や岩の上で丸まって寝ていると、遠くからはヘビが丸まって寝ているのとそっくり。ワシなどの、猫を捕って食べる大型の鳥類は、上から見下ろすと、毒を持っているヘビと猫の区別がつきません。このようにしてカムフラージュすることで、敵から身を守っていた記憶が、今に残っていると考えられています。
ぐっすり眠っている猫があまりに可愛くて、そっと撫でようとすると、ものすごく怒られることがありますよね。あれはただ眠りを邪魔されたのを怒っているのかと思っていましたが、もしかしたら撫でようとした手が、DNAに刻み付けられた、空から襲ってくるワシの恐怖の記憶を呼び覚ましたのかもしれません…。そりゃ、怒られますよね。眠っている猫は、そっとしておきましょう。
参考資料:「キャット・ウォッチング~ネコ好きのための動物行動学~」(デズモンド・モリス著・羽田節子訳/平凡社)
構成/inox.
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