猫は「地震を予知できる」って本当?
何千年も前から、「猫は地震を予知できる」と言われ続けています。
最初の記録は、なんと紀元前373年。犬や猫をはじめとする動物たちがギリシャのヘリケという都市から逃げ出し、その数日後に地震が起こったというのです。その後も世界中で、「地震の数時間前に猫が姿を消した」「落ち着きをなくし、興奮状態になった」という報告があります
1975年、中国の海城市では、猫など多くの動物が奇妙な行動をしたため、住民が避難したことがあります。すると数日後、マグニチュード7.3の地震があったというのです(もともと地震の多い地域だったので、役人たちが猫たちの行動を見て経験的に、避難を指示したのだとか)。地震だけではありません。
1942年、イギリスのエクセターという都市で、突然猫たちが街を脱出するという出来事がありました。その数時間後に、ドイツ軍による大規模な空襲があったのです。
東日本大震災後の調査では
東日本大震災の後、ある研究チームは700人を超える猫の飼い主、約1200人の犬の飼い主にアンケート調査を実施しました。すると地震前の数日間に見られた動物の異常な行動は、猫の飼い主の約16%、犬の飼い主の約18%に見られたとのこと。異常行動に気づいた飼い主の30%は「地震の数時間前だった」とのことで、「落ち着きがなくなった」「大声で鳴いた」「隠れた」「子猫を外に出し、消えてしまった」などの行動があったそうです。
また地震前6日間にわたり、震源地に近いところにいた乳牛の群れは、その近辺の地域の乳牛の群れを調べたところ、震源地に近い群れは牛乳の採取量が減っていたことがわかりました。このような報告がほかにも多くあり、米国地質調査所(USGS)は動物の行動と地震の関係について、調査を行っているそうです。
なぜ犬や猫が、地震を予知できるのでしょう
こうした現象には、科学的にいくつかの推論が発表されています。
ひとつは「猫は地中の振動に敏感である」ということ。地震があるときは、その数時間前に複数の地震の波が地殻を通ります。最初はP波と呼ばれる圧力波が起こりますが、動物はこのP波や静電気の急激な増加、地球の磁界の変化などを感知できるので、危険を連想し、地面が揺れ始める前に行動を起こすというのです。
でも、地震の数日前に起こる異常行動については、まだ不明のまま。地面に起こる微妙な変化(亀裂などで起こる振動)、地下水の変化、電離層の変化などを察知するのでは、という仮説があるだけです。
ちなみに、わが家の場合は…
わが家の愛猫は、地震の前にも何の変化もなく、地震が起こるとびっくりしてオロオロするだけでした。もとは保護猫なので、それなりに野生の本能もあるはず、と思っていたのですが…。
ただ、地面に起こる微妙な変化や気圧の変化などから変化を感じるのであれば、締めきったマンションの上の階に住みなれていると、勘が働かなくなるのかもしれません。
そして何はともあれ、犬や猫のこんなすぐれた予知能力が使われるようなことが起こらないよう、心から願っています…。
参考文献/「猫の心と通じ合う技術」(サリー・モーガン著/得重達朗訳/エクスナレッジ)
文/桑原恵美子(PETomorrow編集部)
構成/inox.
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