夏になると耳にすることが多い『熱帯夜』ですが、具体的にどのような日を指すのでしょうか?熱帯夜の定義や熱帯夜の近年の傾向について紹介します。また、熱帯夜を快適に過ごすアイデアについても紹介するので、参考にして快眠を心掛けましょう。
熱帯夜って何℃から?
熱帯夜は、暑さが厳しい夜ということは分かっていても、具体的にどのような日を指すのが知らない人も多いのではないでしょうか?熱帯夜の定義や真夏日・猛暑日との違いについて紹介します。
熱帯夜の定義
気象庁では、熱帯夜を『夕方から翌朝までの最低気温が25℃以上の夜』と定義しています。夕方から翌朝というのは、18時から翌朝の6時ごろまでを指すのが一般的です。
梅雨が明けて本格的な夏が来ると、夏日や真夏日・猛暑日が続くことも珍しくありません。特に7月下旬から8月中旬にかけては、暑さが厳しくなる傾向にあります。気温の高い日は夜になっても気温が下がりきらず、熱帯夜になることが少なくないのです。
真夏日、猛暑日との違い
熱帯夜同様に、夏場に頻繁に耳にする言葉が『真夏日』と『猛暑日』でしょう。気象庁では、『最高気温が30℃以上の日』を真夏日、『最高気温が35℃以上の日』を猛暑日と定義しています。なお、『最高気温が25℃以上の日』は、夏日となります。
このように、気象庁では『最高気温の高さ』により真夏日や猛暑日を決めています。通常、午後2~3時にかけて最高気温に達することが多いですが、午後から雨になり気温が下がることもあります。
出典:気温について|気象庁 Japan Meteorological Agency
熱帯夜になる日は増えている?
年々、猛暑日が増えているといわれていますが、熱帯夜も増えているのでしょうか?近年の熱帯夜の傾向について紹介します。
都市部では年々増加傾向
気象庁のデータによると、熱帯夜は年々増加傾向にあります。特に東京・大阪・名古屋・広島・福岡・鹿児島・札幌・仙台・新潟の全国の主要都市では、札幌を除く全ての都市で増加しています。
主要都市の中で2014年までの過去10年間の間の熱帯夜の増加率が最も大きいのが福岡で、4.8日です。東京が3.9日、名古屋3.7日、京都が3.6日と続きます。
また、主要都市では過去100年間の平均気温も増加傾向にあり、東京で3.2℃、福岡で3.1℃、名古屋では2.8℃、大阪は2.7℃上昇しています。
※東京は2014年12月に観測地を移転のため、熱帯夜など15年以降の有用な観測データは確認できません。
出典:気象庁|ヒートアイランド監視報告2014 2.観測データの長期変化からみる各都市のヒートアイランド現象
ヒートアイランド現象が原因の一つ
主要都市で熱帯夜が増加している主な理由は、都市化による影響と考えられています。これは『ヒートアイランド現象』と呼ばれており、都市の気温が周辺の地域よりも高くなる現象です。地図上で高温地域の分散を見ると、都市部を中心に島のように見えるため、ヒートアイランドと呼ばれています。
ヒートアイランド現象の主な原因の一つは、土地の違いです。都会はアスファルトやコンクリートが多く、森林・水田・草地が多い地域と比較すると、日射の熱を蓄積しやすくなります。また、都会は産業活動や社会活動による人工排熱が多いことも、ヒートアイランド現象を引き起こしている原因です。
また、ヒートアイランド現象は、日中よりも夜間の方が影響が大きくなるという特徴があるため、熱帯夜の増加にも影響していると考えられています。
寝苦しい夜を快適に過ごすためには?
熱帯夜で寝苦しいと、睡眠不足から体調を崩しかねません。快適に眠るための工夫など、簡単にできる対策を紹介します。
寝る前の行動を見直す
寝る前の行動は、睡眠の質に影響します。寝る直前までスマホやパソコンを使用していると、ブルーライトの影響で眠りにくくなってしまうことが分かっています。従って、少なくとも就寝時間の1時間前までに、使用を止めるようにしましょう。
夏場はシャワーだけで済ませてしまう人もいますが、体温と睡眠は深い関係にあるため、湯船で体を温めることも快眠につながります。ただし、体の深部の体温が上がり過ぎてしまうと、逆に寝付きにくくなってしまうため、ぬるめのお湯がポイントです。
寝具を工夫する
近年は、快眠をサポートするさまざまな寝具が販売されています。例えば、ひんやりとした感触が心地良い冷感タイプのシーツや掛け布団、枕カバーを使用するだけで、快適さが増すこともあります。
また、夏場は日の出が早いため、窓からの太陽光で早くに目が覚めてしまうこともあるでしょう。遮光カーテンを使えば、太陽光に邪魔されることなく眠れます。遮光カーテンは、太陽光によって室内の温度が上昇するのを防ぐというメリットもあります。
エアコン、扇風機を活用して室温を調整
寝室の温度が高過ぎると、なかなか寝付けなかったり、暑くて目が覚めてしまったりしやすくなります。そのため、エアコンや扇風機で快適な室温に調整することが大切です。
エアコンの温度を28℃前後にし、タイマーを利用して2~3時間使用するのよいとされています。一晩中エアコンを使用していると、体が冷えて体調を崩してしまうリスクがあるためです。
エアコンを一晩中使用する必要がある場合は、温度設定や風向き・風量などに気を付けて体を冷やさないようにしましょう。
扇風機を使用するときは、空気が停滞していると思うように室温が下がりません。従って、扇風機の首振り機能を使用して、寝室全体の空気を流すようにするとよいでしょう。
構成/編集部