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新型コロナによる社会不安が妊産婦の心身に与える影響

2020.07.12

新型コロナウイルス感染拡大による社会不安は、小さな命を預かる妊産婦の心身にどのような影響を与えるのだろうか?

家族のライフステージごとの意思決定支援サービスを行なう企業・カラダノートはこのほど、筑波大学人文社会系・松島みどり准教授に協力を仰ぎ、株式会社ベビーカレンダーと共同で、コロナ禍における心身の健康の変化について調査を実施した。(有効回答数:5,558名)

その結果、特定の対象だけが精神的に不安定ではなく、全体的に精神的な健康状態が不安定であることが調査を通して明らかになった。

なお、今回は、過去の先行研究との比較のため、妊娠期〜産後6か月までの母親(以下:妊婦及び産婦)の結果をまとめている。

エジンバラ産後うつ病質問票によるコロナ禍における妊産婦のメンタルヘルス

産後うつのスクリーニング用紙として用いられるエジンバラ産後うつ病質問票(EPDS)により妊産婦のメンタルヘルス の状況について調査が行われた。

エジンバラ産後うつ病質問表は、今日では国内外で妊娠中から使用され、妊婦ならびに出産後1年未満の女性を対象に行われている。

■EDPS概要

(公益社団法人日本産婦人科医会(2017)P41から抜粋、ただし(※)については、より近年の研究 Usuda e t al.2017を参考とした)
・産後1年未満の女性に対しての日本におけるカットオフポイント(区分点)は9点が一般的である
・妊婦についてはカットオフポイントは13点を用いる(※)
・EDPS総合点9点以上が「うつ傾向が高い」とするものであるが、9点以上がうつ病で8点がうつ病ではない、と判断 するものではない
・点数とうつ病の重症度に関連性はない
・うつ病以外の不安障害や精神遅滞などの他の精神疾患でEDPS総合点が高値になることもある
・2週間以上続いている場合はうつ病の可能性が高くなる

<全体サマリー>
※回答者不一致のため、一概に言えない部分がある事が前提
・コロナ禍以前に実施されたEPDS調査(Ishikawa et al. (2011); Asano et al. (2014)など)に比べて、スコアおよびカットオフ値以上の人の割合が高い
・コロナ禍においては特定の対象においてリスクが高いというわけではなく全体的に精神的な健康状態が不安定になっている可能性が高い

<地域ごとの差異>
コロナ禍以前に実施された調査(2012年〜2013年)によると通常時の妊娠20週の妊婦のEPDSスコアは約3.58ポイント、産後3か月の母親のEPDSスコアは約2.80ポイントであった。(Takehara et al. 2018)
※世田谷区内の産科にて調査協力者を募集。
上記は、1306名の妊婦について妊娠20週の時点での分析結果
※回答者不一致のため、一概に言えない部分がある事が前提
・これに対し、本調査では全国の妊婦(初産婦、経産婦、 経産婦(現在1歳未満児の子育て中)の平均がそれ ぞれ、7.61、7.21、8.24ポイント、全国の産婦(初産婦、経産婦)の平均がそれぞれ6.30、5.66ポイントとなった
・地域ごとでみると、妊婦(初産婦)については北海道の平均が8.25ポイントと高く、次いで東京・神奈川・千葉・ 埼玉が7.83ポイントと続いた。
・産婦(初産婦)については、東京・神奈川・千葉・埼玉が平均6.94ポイントで、次いで北海道が5.58ポイントと 続く結果となった。

(カラダノートの考察)
・新型コロナウイルス感染拡大予防における外出自粛などの行動制限や先行きの見えない状態が妊娠中や子育て世代に大きな精神的ストレスや負担を強いていたと考えられる。

妊婦・産婦が感じているリスク

今後6ヶ月間で回答者自身に対して、被害・影響が直接及ぶ可能性を7段階で問う質問では、全国的に「(施設や公共機関などの)育児・出産サポートが受けられない」に対する回答が約4.5ポイント、次いで「新型コロナウイルス感染症に罹患する」が約4ポイントと続く結果となった。

項目:「財政的問題」「新型コロナウイルス感染症に罹患する」「育児・出産サポートが受けられない(施設や公共機関)」「育児・出産サポートが受けられない(家族など)」

<地域ごとの傾向>
・全国的に最も多い「(施設や公共機関などの)育児・出産サポートが受けられない」以外での地域ごとの集計結果は下記の通りとなった。(※統計的な有意差を検定したものではない)

・東京・神奈川・千葉・埼玉:「新型コロナウイルス感染症に罹患する」が約4.2ポイント、「家族などのサポートが受けられない」が3.7ポイントと他地域よりも高い傾向が見られた。
・北海道:「財政的問題」の選択が3.7ポイントと他地域よりも高い傾向が見られた。

(カラダノートの考察)
・首都圏において感じているリスクのポイントが高くなった理由として、感染者の多い地域である事と、地方などの実家を離れて首都圏で生活する家庭が多い事が考えられる。
・北海道は、2月末頃からの外出自粛要請にはじまり、新型コロナウイルス感染拡大の対策が最も⻑い間続いている地域である。

また、緊急事態宣言の解除も首都圏と同時期であり、今後の経済状況について不安を感じている人が多いのかもしれない。

新型コロナウイルスによる妊娠出産育児に関する予定の変更

・出産に関する変更及び、出産後の変更について尋ねる調査が行われたところ、出産入院中の面会不可を経験した(変更が決まった)妊婦・産婦(産後3か月まで)の割合が最も高く、70%以上となった。
・両親学級の中止の経験者割合が次いで高く、65%を超えていた。

(松島・堀口 2020(未発表))

<地域ごとの傾向>
・全国平均と比べ、東京・神奈川・千葉・埼玉の妊産婦は、全ての項目について、新型コロナウイルスによって妊娠出産育児に関する予定の変更を経験している割合が高く、北海道も多くの項目でその割合が高くなった。
・「公的保育サービスが受けられなくなった」と回答した割合に関しては、北海道で約20%、東京・神奈川・千葉・埼玉で約10%、全国平均よりも高かった。
(カラダノートの考察)
・先述のTOPIC2同様、首都圏と北海道で経験者割合が高かった。
・特に、首都圏においては実家を離れ、核家族で生活する家庭が多いことから、公的サポートが受けられないということは子育て不安を上昇させるかもしれない。

<調査概要>
調査内容:新型コロナウイルス禍における心身の健康の変化
調査期間:カラダノート(2020年6月1日〜6月6日)、ベビーカレンダー(2020年5月31日〜6月5日)
調査対象:カラダノート(ママびよりメルマガ登録者)、ベビーカレンダー(ベビーカレンダー運営サービスのメルマガ登録者)
回答人数:5558名(2社合計)
調査方法:インターネット調査

<参照>
Asano, R., Tsuchiya, K. J., Takei, N., Harada, T., Kugizaki, Y., Nakahara, R., … & Mori, N. (2014). Broader autism phenotype as a risk factor for postpartum depression: Hamamatsu Birth Cohort (HBC) Study.
Research in Autism Spectrum Disorders, 8(12), 1672-1678.

Ishikawa, N., Goto, S., Murase, S., Kanai, A., Masuda, T., Aleksic, B., … & Ozaki, N. (2011). Prospective study of maternal depressive symptomatology among Japanese women. Journal of psychosomatic research, 71(4), 264-269.

Takehara, K., Tachibana, Y., Yoshida, K., Mori, R., Kakee, N., & Kubo, T. (2018). Prevalence trends of pre-and postnatal depression in Japanese women: a population-based longitudinal study. Journal of affective disorders, 225, 389-394.

Usuda, K., Nishi, D., Okazaki, E., Makino, M., & Sano, Y. (2017). Optimal cut‐off score of the Edinburgh Postnatal Depression Scale for major depressive episode during pregnancy in Japan. Psychiatry and clinical neurosciences, 71(12), 836-842.

公益社団法人日本産婦人科医会(2017)『妊産婦メンタルヘルスケアマニュアル~産後ケアへの切れ目のない支援に向けて~』厚生労働省 平成28年度子ども・子育て支援推進調査研究事業 産前・産後の支援のあり方に関する調査研究.

出典元:株式会社カラダノート

構成/こじへい

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