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新型コロナの影響でお盆に法要ができない場合どうしたらいい?

2020.07.11

夏に「お盆」があることは誰もが知るところだが、具体的にどんな行事でどんな準備をするのかなど明確に説明しろと言われたら難しかったりする。

そんな知ってるようで知らない「お盆」にまつわるトピックスを、新型コロナウイルスの影響で法要ができない場合の対処方法含めて本稿にて紹介していきたい。

知っておきたい「お盆」の基本情報

■お盆とは?

「お盆」とは、仏教行事の一つ。仏教用語としては、「盂蘭盆(うらぼん)」が正しい名称で、古代のインド語の一つであるサンスクリット語の「ウランバナ」を漢字にあてはめて読まれた言葉だ。先祖の霊を祀る行事で、旧暦の7月15日を中心とした期間に行われていたが、新暦になるとひと月遅れの8月15日を中心に行われる地域も多くなった。

お盆では、1年に一度、先祖の霊を自宅に迎えて、ご供養をする。一般的には、7月(8月)13日に迎え火を焚いて先祖の霊をお迎えし、16日に送り火を焚いてお送りする。お盆の前に、盆棚の飾りつけに必要なものをそろえたり組み立てや飾りつけを済ませてく。

■Q:お盆にまつわる新型コロナウイルス関連のご質問

今年は、新型コロナウイルスの影響でお盆をどのように過ごせばよいかご相談をいただく。感染拡大の状況を確認し、関係者に相談しつつ、安全を第一に考えた判断が重要だ。

Q. 「今年が新盆の予定だが、親族を呼ばなくても大丈夫か。法要を行わない場合、どのように新盆を行えばよいか?」

A.親族の方に事情を説明し、ご家族だけで新盆を行っても良いのではないでしょうか。自宅に盆棚を飾り、新盆であれば、盆棚の周りを提灯や盆飾りでできるだけ明るく賑やかし、白い無地の提灯「白紋天(しろもんてん)」を飾ります。

Q. 「毎年お盆には僧侶に棚経をお願いしていたが、今年はどうしたらよいか」

A.状況に鑑みて、不安があれば今年はご遠慮されても良いのではないでしょうか。お寺に事情をお伝えし、近親者だけで盆棚に手を合わせ、お食事をされて故人の霊をお迎えされても良いと思います。

知っておきたい「お盆」の基本情報

■Q:新盆とは

新盆(にいぼん・あらぼん・しんぼん・はつぼん)とは、故人の四十九日が済んだ後、初めて迎えるお盆のこと。新盆には、故人の霊が初めて家に戻ってこられるので、普段のお盆よりも丁寧にお迎えする。僧侶を迎えて読経をしていただいたり、ご親戚や故人に縁があった方がお参りに来たりということもあるので、準備は通常のお盆よりは少し早めに行うことをおすすめする。

■Q:お盆の準備は

●盆提灯……お盆の期間中、「盆提灯」を飾る。鎌倉時代、京都ではお盆に精霊を迎えるための目印として、門口に高い竿を立てて、その先に提灯を掲げる「高灯篭」が行われていた。その風習が、「盆提灯」に引き継がれたものだといわれる。

●盆棚……「盆棚」は、「精霊棚」ともいわれ、精霊をお迎えする祭壇。棚にはござや真菰(まこも)を敷き、中央に位牌を安置する。ナスやキュウリで作った牛や馬、精進料理のお膳や、だんご、そうめん、季節の野菜や果物を供えする。また、洗った米になす、きゅうりなどを賽の目に刻んだものを混ぜて、はすの葉の上に盛り付けた「水の子」と呼ばれるものも備える。棚の左右には灯篭、霊前灯、絵柄提灯を飾る。

●迎え火・送り火……13日の夕方に自宅の門口などで「迎え火」を焚いて、霊を迎える。「迎え火」はほうろくと呼ばれる素焼きのお皿の上でおがらを焚く。15日の夜、もしくは16日に「送り火」を焚いて盆送りをする。精霊流しや灯籠流しなどで送る地域や宗派もあるが、最近ではそれができる海や川が少なくなっているようだ。

■Q:お盆の法要や棚経について

お寺では「盂蘭盆会」という法要を執り行う。7月に入ると「棚経」といって、菩提寺の僧侶が檀家をまわってお経をあげていただくという習わしがある。新盆の場合には、僧侶を自宅にお招きして法要をお願いし、親戚や知人などを呼んで故人の供養をする。

お布施の額は地域やお寺との関係によって一概には言えないが、棚経の場合には5,000円~10,000円、新盆のように特別にお願いをしてお経をあげていただく場合には10,000~30,000円を目安にする場合が多いようだ。

またお布施とは別に「御車代」を包むこともある。新盆の法要に招かれた場合には、手土産に添えて「御仏前」あるいは「御供物料」を持参する。「御仏前」の額は、故人との関係などによってさまざまだが、一般的には5,000円~10,000円が目安になっているようだ。

■Q:お墓参りの手順は?

【持ち物】
・ほうき ・ちりとり ・歯ブラシ ・手桶またはバケツ ・タオル
・スポンジ・植木バサミ ・軍手・お線香/ろうそく/マッチ /お花 /お供物

【お掃除】
・墓石は水をかけて洗い流す。
・水鉢や花立、香立てはゴミがつまりやすので丁寧に洗う。
・墓石の彫刻部分は、歯ブラシで細かい汚れを落とす。
・洗い流したら、タオル等で水気を拭きとる。

<注意点>
・硬いタワシなどで強くこすると、墓石を痛めることがあるので気をつけていただきたい。
・墓石の彫刻部分の掃除は歯ブラシを使うと便利。
・外すことのできる花立ては取り外して洗う。
・香炉に残ったお線香の灰を取り除く。

地域によって違う「お盆」

■Q:なぜ地域によって時期が違う?

夏の風物詩でもあるお盆だが、地域によって時期が異なる。全国的には8月に行われる地域が多いが、東京や神奈川県の一部などでは7月に行う。地域によって時期が異なる理由は、暦の国際基準化を目的に行われた明治時代の「改暦」が関係している。

お盆は7月15日を中心として、13日に迎え火、16日に送り火を行なっていたが、旧暦(明治時代以前)から新暦に変わると、およそ1か月季節が早くなり、お盆の期間が農作業の繁忙期と重なってしまう。

そのため農業が盛んな地域では、ひと月遅れの8月13日から16日にお盆をするところが多くなった。現在も地域によってお盆の時期はまちまちだが、大きく分けて7月13日から行う地域と、8月13日から行う地域がある。

■Q:「お盆」は地域によって行う内容も違う

●東北……宮城県では、8/16に”わら”で作った「盆舟」を流す。盆舟の舵取りは新盆を迎えた人の霊が行うので、沖へ流れ出れば供養できたと喜ぶ。昭和の中ごろまでは川に流していたが、今はお寺に持ち寄るのが一般的なようだ。青森県大川原では8/16の夜、「火流し」と呼ばれる行事が行われる。アシガヤを編み上げた長さ3m弱・幅1.5m・帆柱3mの舟3隻に火をつけ、1隻を5~6人ずつの若者が引きながら川を下る。

●長野……川べりに出て、めいめいに仏様を背負う形をして家に帰ってくるのを迎え火を焚いてお迎えするが、そのとき、「じいさん、ばあさん、このあかりでおいでおいで」と唱える。お墓まで行って「この背中にのっとくれやね」と声をかけておんぶする真似をする慣わしもある。

●静岡……静岡県西部(浜松市近辺)では、「内施餓鬼」と「寺施餓鬼(外施餓鬼)」と二つセットで、初盆の行事のことを指す。自宅での法要、お寺での法要をそれぞれ異なる日程で行う。

・内施餓鬼:自宅にお寺様が来て、お経をあげる
・寺施餓鬼:お寺で檀家の方が集まって行う合同法要

●関西……通常のお盆とは別に、8/23から8/24にかけて、「地蔵盆」と呼ばれる子供たちが主役の行事がある。準備は初日の朝に町内の人が協力して行い、地域で祀ってあるお地蔵様を綺麗に飾り付け、お供えものや灯篭を置く。

日中は僧侶の読経や子供へのおやつの配布があり、夜は踊りや花火など子供向けの催し物をして賑やかに過ごすことが多いようだ。地域によっては、地蔵盆の朝、大きな数珠を囲んで座り、お経にあわせて順々に回す「数珠回し」が行われるところもある。

●九州……綱引きが盛ん。理由は諸説あるが、目蓮尊者が母親を地獄の釜から引き上げたことに由来する、綱引きの勝敗でその年を占うなどと言われている。福岡県筑後市の熊野神社で8月14日に開かれる「久富盆綱引き」では、全身にすすを塗って黒鬼に扮した子供たちが大綱を持って町内を引き回す。長崎県では、精霊流しが盛大に行われる。

●沖縄……本州では現代のカレンダーに合わせてお盆を行うが、沖縄では旧暦の7/13~7/15がお盆となる。沖縄の伝統的な舞踊「エイサー」は盆踊りの一種。この世に降りてきた先祖の霊を、太鼓を叩いて再びあの世へ送り出したと言われている。七夕もお盆につながる行事とされ、お墓の掃除をして、お酒、お茶、線香などを供える。

「お墓診断士」が解説!正しいお墓のメンテナンス

■お盆前に知っておきたい正しいメンテナンス

お墓は、長い間、雨や風にさらされて、すすけ、コケ、水アカなどで、汚れが目立ってくる。お墓が汚れていたり、雑草が生えていたり、ゴミが散らばっていたりしていては仏様に申し訳ないので、きれいに掃除をしよう。

正しいお墓掃除の仕方:https://youtu.be/hplDPADlc3s

<チェックするべき項目>
・石と石の間を接着している目地が切れていないか、石碑や外柵、墓誌などをチェック。
・目地や金具の経年劣化が進むと、地震などで倒壊する恐れがある。お参りのたびにチェックしよう。
・石碑のズレ、傾き、ぐらつきがないかを確認(ズレの確認にはメジャーを持っていくと便利)。
・塔婆立てのぐらつきがないかを確認。
・墓誌、灯籠のぐらつきを確認。古い墓誌は彫刻をする際に取り外しできることを前提に作っているものが多く、地震の際にずれやすくなっているので注意が必要だ。
・石材の汚れやシミがないかを確認。柔らかい布で落ちない汚れは、無理に落とすと墓石を傷めてしまう。

■「お墓診断士」が教えるアドバイス

<墓石について>
お墓は天然の石で出来ているので意外にデリケートなもの。「故人の好物だったから」と墓石にお酒やジュースをかけると、石が変色したり、ヒビが入ってしまう恐れがある。故人の好物をお供えしたい場合は、墓前に供える事ををおすすめする。そして、お供えした後は鳥がちらかしたり、墓石のシミにならないよう、お花以外のお供え物は持ち帰ろう。

<墓石の彫刻文字のお手入れ>
墓碑や墓誌の彫刻文字に墨入れをするのは、文字を見やすくするためだが、経年とともに文字が薄れ、見づらく感じることも増えてくる。ペイント補修は、石材店等の専門の業者で4~5万円程度で補修することができる。ご納骨に伴って戒名の追加彫刻を行う際に、見づらくなった彫刻のペイント補修も依頼する方が多いようだ。

ペイントの色は石材の色味に合わせて白色や紺色が使われ、地域により金色のペイントや金箔を使用するところもある。

また、朱文字と呼ばれる赤色のペイントは、生前戒名を授かり墓誌などに彫刻しているもので、その人が亡くなった後には赤色を落とす。

出典元:株式会社メモリアルアート

構成/こじへい

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