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最新ゲーム「ポケモンユナイト」のキーマンに聞く、オンラインによるチーム戦略バトルになった理由

2020.07.12

日本を代表するゲームとしてピカチュウを始めとしたキャラクターたちも大人気のポケットモンスター(以下ポケモン)。ハリウッド実写映画『名探偵ピカチュウ』は、中国で『アベンジャーズ/エンドゲーム』をおさえて初登場1位を獲得。大ヒットを記録した。そんなポケモンの最新ゲームが『Pokémon UNITE』(以下『ポケモンユナイト』)だ。ポケモンのゲームとしては初のオンラインによるチーム戦略バトルで、株式会社ポケモンと中国最大のゲーム企業テンセントが共同開発することでも話題を集めている。発表されたばかりの話題作について株式会社ポケモンのキーマンたちを直撃した。

『ポケモンユナイト』
価格:基本プレイ無料(一部ゲーム内課金あり)
ジャンル:チーム戦略バトル(オンラインゲーム)
配信時期:未定
対応機種: Nintendo Switch/スマートフォン(iOS/Android)
(クロスプラットフォームで展開予定)

戦略性が問われる新しいポケモンゲーム

――まだ開発途中だと思いますが、『ポケモンユナイト』の特徴を教えてください。

星野正昭さん(以下、敬称略):ポケモンのゲームとしては初となる5対5のチーム戦略バトルが一番のウリになっています。ゲームの基本的なルールとしては、フィールド上にいる野生のポケモンを倒してポイントをゲットし、それを相手ゴールに入れれば自分たちの得点になり、得点を多く取ったチームの勝ちとなります。一目でわかる得点システムと勝敗により、単純明快でわかりやすいゲームになっています。

『ポケモンユナイト』は、ポケモンごとに違う攻撃力や防御力の高さやスピードの速さなど、それぞれの特徴を活かせるゲーム性になっています。ポケモンは毎回レベル1からスタートし、徐々に経験値をためてレベルアップや進化をして、新しい「わざ」を覚えていきます。「わざ」の覚え方によって戦い方も変わるので、ポケモンの育て方を変えることで何度でも楽しめるゲーム性になっています。

株式会社ポケモン
中国事業本部 中国事業部テクニカルディレクター
星野正昭さん
『ポケモンユナイト』の制作プロデューサー。以前にはポケモンアクションバトル『ポッ拳』の開発にも参加。

――MOBA(マルチプレイヤーオンラインバトルアリーナ)と呼ばれるゲームジャンルに近いようですが、今回のようなスタイルになった理由を教えてください。

末永康典さん(以下、敬称略):ポケモンのゲームには、様々なジャンルがあります。1対1で遊べるもの、コンピュータとの対戦や『ポッ拳』のような対戦アクションまで様々です。でもオンラインでのチーム戦というスタイルは今までやったことがありませんでした。

『ポケモンユナイト』は、これまで我々がやろうとすると技術的にすごくハードルの高いゲームジャンルでしたが、テンセントさんは実績があるし優秀な方々が多いので挑戦できました。『ポケモンユナイト』が実現したのはテンセントさんと巡り合ったことが大きいです。

株式会社ポケモン
執行役員 中国事業本部中国事業部担当
末永康典さん
ポケモンの中国事業の責任者。

――テンセントさんといえば全世界でもっとも人気のあるMOBAである『League of Legends』の開発元であるライオットゲームスも傘下に持っていますね。

末永:今回はTencent GamesのTiMi Studiosさんと一緒に開発しているのが大きなポイントです。その人たちとなら『ポケモン』でMOBAというジャンルに新しい価値を加えたゲーム体験を届けられると考えています。ですので、我々としてはMOBAとは呼ばずに「チーム戦略バトルゲーム」と呼びたいと思います。

フィールド上で野生のポケモンを倒すとポイントをゲット。集めたポイントを相手ゴールまで運んで入れれば自分のチームの得点になる。

――チーム戦を5対5にした理由は何かあるのでしょうか?

星野:対戦人数についてはいろいろ研究し、一番いいバランスを考えて5対5にしました。細かいところまでいうと、『ポケモンユナイト』にはフィールド上に上下2つの道(コース)があります。4対4の場合、上下ともに同数だと戦力が拮抗してしまうこともありますが、奇数にすれば戦力が上下どちらかに偏ることになるので、そこに戦略性が生まれます。そういったことを考えて5対5になっています。

ゲームが苦手でもみんながチームの主役になれる

――ゲームとしての面白さのポイントはどんなところでしょうか?

星野:やはりみんなでワイワイと楽しみながら多人数でチームバトルができるところです。ポケモンの世界には、今まで10人が集まってオンライン上でワイワイとみんなで戦うようなものがなかったので、そこが一番面白い点だと思います。

末永:一般的なMOBAは、タワーと呼ばれるものをみんなが取りに行く「棒倒し」に近くて、基本的には相手の敵を倒して、時間を作って相手のタワーを攻撃するというものです。それでは対人の戦いで勝てない人は楽しめない局面もあります。でも『ポケモンユナイト』のルールでは、野生のポケモンを倒すとポイントがもらえて、それを敵のゴールに入れると得点になる仕組みなので、相手が倒しそうなポケモンを先に倒すのもチームにとっては大きな貢献になります。1対1の対戦で勝てなくて逃げ回るような人でも、このゲームなら「あの人が野生のポケモンを倒してくれたね」とか、いろんな貢献の仕方ができます。いままでMOBAタイプのゲームが苦手だった人や活躍できなかった人も輝ける場を作れるのが大きな特徴なのかなと思います。

星野:『ポケモンユナイト』では基本的に何をしても味方の役に立つんです。野生のポケモンを倒せば、たとえゴールができなくても、相手がポイントを取ろうとすることを阻止できますし、ゴールできればもちろんチームに貢献できます。相手と戦闘することは、そこで時間を使っていることになるので、他の味方ポケモンがこっそりゴールに行く手助けになります。もし自分が倒されてしまったとしても、チームに時間を作っていることになるので役に立っています。何をしてもチームの役に立つことが割と重要かなと思っています。

試合ごとにポケモンはレベル1からスタートし、野生のポケモンを倒すたびに経験値を獲得してレベルアップしていく。ある一定のレベルに達すると進化するポケモンもいる。
写真はヒトカゲがリザードに進化したところ。

――配信時期についてですが全世界同時に配信するのでしょうか?

伊藤憲二郎さん(以下、敬称略):ローカライズや開発の進捗にもよるので、我々としては時期を正式に決めている訳ではないです。

株式会社ポケモン
最高ビジネス責任者 中国事業本部長
伊藤憲二郎さん
ポケモンに関する全アジア地域ビジネスの総責任者。

世界中のプレイヤーとの“ユナイト”を楽しんでほしい

――『ポケモンユナイト』で狙っているターゲット層は?

星野:ポケモンファン全員です(笑)。MOBAは中国では若い男女を中心に本当に人気ですが幅広い層を考えています。

伊藤:『Pokémon GO』がリリースされた時もターゲッティングをどうするのか、開発上もマーケティング上もすごく迷っていました。しかしいざ配信してみたら想定していなかった層にも楽しんでもらっています。

ターゲットはモバイルを主に使っているユーザーとNintendo Switchユーザーになると思いますが、大人から子供までみなさんがプレイできるゲームを想定しながら、開発していくことになると思います。マーケティングも全世代に向けてやっていかないと『Pokémon GO』のユーザーと似たような広さをつかめないと思っています。

末永:僕らは「こういう人たちに向けて、こういうゲームを作ろう」という発想がそもそもないです。面白い物であればプレイしてくれる人はいるはずだから、そこは関係なくしっかり作り切ろうという考えの方が強いですね。

――スマートフォンとNintendo Switchのクロスプラットフォームを採用した理由は?

伊藤:ターゲットを全世代に向けてと思っていますし、任天堂さんとの協業においてNintendo Switchで販売しないことは考えていませんでした。まして今のNintendo Switchの勢いを考えるとターゲットに入れない手はないと思っています。両方をつなげてプレイできればと最初から考えていました。

星野:Nintendo Switchにはスティックボタンが付いていますが、操作をスマホ上の画面でやるよりもスティックボタンのほうがやりやすいという人はけっこう多いです。北米で調査するとスティックボタンの方が好きだと言う意見がけっこう多かったです。Nintendo Switchでもやりやすいようにしていますし、一番重要なのはNintendo Switchとモバイルのユーザーを分けないことです。より多くの人たちに集まってプレイしてほしいという想いがあって、クロスプラットフォームを採用しました。だから自分に合った方でプレイしてください。

末永:Nintendo Switchの人もモバイルの人も「ユナイト」してほしいし、日本だけじゃなく世界中で一緒にチームを組んで「ユナイト」して欲しいです。

伊藤:配信のタイミングは各国で違うことがあるかも知れませんが、全世界の人が国を越えてチームを組み、様々なバックグラウンドの人が集まるチーム同士がバトルするという状況を作れたら、本当にやってきた価値があるなと思います。

――プレイするごとに操作するポケモンのレベルが1に戻るようですが、やり込み要素としてはどんな部分があるのでしょうか?

星野:ゲームのテクニックというよりは戦略性を覚えていくところです。最終的に極めていくとゲームのテクニック的な要素はあると思いますが、今回はそんなにすごいテクニックを使うようなゲームではなく、誰でも気軽にプレイしてもらうのがコンセプトなので、「上下どこの道を行くか?」など、みんなで状況判断と経験を覚えてためていくみたいなことがメインです。プレイの蓄積要素に関しては鋭意開発中です。

ポケモンは育てていくと新しい「わざ」を覚える。各プレイヤーは試合の度にどのわざを覚えるか選ぶことができる。ポケモンの覚えていく「わざ」によって、さまざまな戦略をとることができる。

――競技性が強いゲームのようですが、eスポーツ的な展開は考えていますか?

伊藤:eスポーツをにらんで開発しているということはないです。eスポーツは賞金やスポンサーを付けて大々的にアピールし、プロゲーマーの獲得賞金額などが話題になるのが皆さんのイメージだと思います。我々はそういうものではなく、ゲームの中にみんなが集まって、ゲームの中にいる観客が見ている状況が作れれば十分にeスポーツとして成立すると思っています。どちらかというと「インゲームeスポーツ」というのがポケモンらしくていいかなと考えています。その発展形として「表に出て戦おうぜ!」というのがあれば、あってもいいのかなというレベルで、eスポーツをそれほど大きく見ている訳ではないです。あとはテンセントさんの考えとして、ユーザーが増えてきた時に大会をやりたいというのはあるかもしれないですね。

末永:今年はコロナ禍で中止しましたが、弊社グループは毎年、ビデオゲーム『ポケットモンスター』シリーズや「ポケモンカードゲーム」の世界大会を開催しています。『ポケモンユナイト』だから今までできなかったことができるという感覚はあまりないです。『ポッ拳』も世界大会をやりましたし、『ポケモンユナイト』もそういう形でできたらいいなぐらいの感じです。

星野:担当していた『ポッ拳』は対戦アクションというジャンルで、『ポケモンワールドチャンピオンシップス』の一部門になっています。そこでの優勝が名誉としてのゴールになっていて、『ポケモンユナイト』もそうなればいいのかなと思います。

※画面は開発中のものです。
(c)2020 Pokémon.(c)1995-2020 Nintendo/Creatures Inc./GAME FREAK inc.
(c)2020 Tencent.
ポケットモンスター・ポケモン・Pokémonは任天堂・クリーチャーズ・ゲームフリークの登録商標です。
Nintendo Switchのロゴ・Nintendo Switchは任天堂の商標です。

取材・文/久村竜二 撮影/篠田麦也

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