体も心もリラックスできる温泉は、年齢や性別を問わずに人気があります。家庭の風呂とは違いさまざまな人と利用するものですので、入浴に関するマナーは覚えておきたいですね。快適に利用するための心得について解説します。
温泉の基本マナー
温泉は基本的に1人で使うものではなく、大勢の人たちで一つの浴場を利用します。温泉はいわば、公共性のあるスポットといえるのです。
そのため、入浴時には『人を不快にさせない行動』が求められます。温泉の基本マナーについて触れていきましょう。
大きな声で騒がない
温泉には、家族や友人との旅行など、グループで訪れるケースが多いです。大人数で過ごす時間は楽しく、行動が大胆になってしまうこともあるでしょう。
楽しい気持ちがたかぶると、会話をする声も大きくなることがあります。ゆったりと温泉に漬かりたい人にとって、他人の大声はとても騒々しく感じられます。時には不快感を与えてしまうので、注意が必要です。
家族で温泉を楽しむ際には、子どもの振る舞いにも意識を向けましょう。大きなお風呂を前にすると、大人以上に気分が高揚するものです。大人が見守り、節度ある楽しみ方を心掛けましょう。
必要のない物は持ち込まない
温泉に入浴する際は、不必要な物を持ち込むことは控えましょう。自分にとってはよくても、他人の気分を害してしまうことがあります。
長く温泉に漬かるために、本や雑誌を手にする人がいます。書物などの持ち込みは、NGです。
スマートフォンを持ったまま温泉に入る人もいますが、これもNGです。カメラ機能を備えているため、盗撮などの不安を周囲に与えてしまいます。
許可されている場合を除いて、入浴時に子どもが使うおもちゃや、浮き輪などの遊泳グッズもNGです。必要以上に湯船ではしゃぐことで、周囲に迷惑が及んでしまいます。
脱衣所では周りへの配慮が必要
マナーを守るべきなのは、入浴中だけではありません。入浴の前や後に使う『脱衣所』でも、周囲への配慮が必要となります。
「着替えをするだけの場所」と思われるかもしれませんが、脱衣所は他人と共用するスペースです。身勝手な振る舞いは周囲の迷惑になりかねません。気持ちよく温泉を楽しむために、脱衣所で気を付けるべき点をご紹介します。
脱いだ服は見えないようにする
温泉の脱衣所には、衣類を入れるカゴなどが用意されています。脱いだ服をカゴに入れる際は、他人に見えないようにする工夫が必要です。
衣類を入れた後は、バスタオルでカゴを覆っておきましょう。そうすることで、周囲から見えなくなりますし、入浴後すぐにバスタオルを利用できます。
他人が脱ぎ散らかした服を目にするのは、決して気分のよいものではありません。きちんと畳んで整理しておくことが大切です。
「仲間だから気にしなくてもいいや」と安易に思うことも控えるべきでしょう。乱雑な脱ぎ方を見られてしまうと、雑な性格だという印象を与えてしまうかもしれません。
洗面台やドライヤーを独占しない
多くの人が利用する温泉では、洗面台の数が限られていることもあります。そんな場所を長時間にわたって独占するのは、マナー違反です。
男性では髭剃り、女性だと身支度やメイクなどで、洗面台を長く使う人がいます。それを待つ人のことを考えて、手短に済ませるようにしましょう。
ドライヤーの独占もNGです。ドライヤーに時間がかかるのであれば、自前のドライヤーを持参することも検討するとよいでしょう。
浴室で体を拭いてから脱衣所へ
入浴が終わって、体がぬれたまま脱衣所に戻るのはマナー違反です。バスマットが敷かれているとはいえ、大勢の人が利用する温泉では、ぬれたままの体で脱衣所に戻ると床を過剰にぬらしてしまうからです。
浴場から脱衣所に移る際には、まず絞ったタオルで体を拭きます。肌から水滴を取り除いたら脱衣場へと向かい、乾いたタオルでしっかりと拭くのがマナーです。
湿った床を素足で歩くことに『不快感』を抱く人は多いです。気持ちよく温泉に入るためにも、最低限のマナーを守りましょう。
入浴時に気を付けること
続いて、入浴時に注意すべき点について説明します。きれいで清潔なお湯をみんなで楽しむために、適切な行動を身に付けておきましょう。
湯船に入る前にかけ湯をする
湯船に入る前には、必ずかけ湯をします。いきなりお湯に漬かることは控えましょう。
かけ湯をする理由は、大まかに二つあります。一つは、衛生面です。入浴前の体は汗や汚れが付いているので、そのままお湯に入ると湯は汚れてしまうのです。
二つ目の理由は、お湯に体を慣らすためです。かけ湯で温度を確認して、感覚がなじんでからお湯に入ることで、体に負担をかけずに入浴できます。
タオル、髪の毛をお湯に入れない
タオルを持ったまま湯船に漬かるのは、実はマナー違反です。腰にタオルを巻いて入浴することもNGですし、湯船にタオルを浸してそのまま絞るようなことも避けましょう。
ロングヘアーの人にありがちなのが、髪をそのままにして湯船に漬かる行為です。周囲に不衛生な印象を与えてしまいますので対策が必要です。
シャワーキャップ・タオル・ゴムなどで髪をまとめてから、ゆっくりと入浴を楽しみましょう。
湯船の中で体をゴシゴシこすらない
湯船の中で、体をゴシゴシとこする行為もマナー違反に当たります。必要以上にあかや汚れなどをお湯に拡散してしまうため、やらないようにしましょう。
お湯に漬かっていると、皮膚が柔らかくなり、角質や汚れが落ちやすい気がするかもしれません。しかし、多数の人が同じお湯に漬かるのですから、お湯をきれいに保つための振る舞いが求められます。
家庭のお風呂とは違うことを自覚して、誰もが気持ちよく入浴できるように協力し合う気持ちが大切です。
洗い場では譲り合いと気遣いが大事
洗い場においても、備えておくべきマナーがあります。シャワーからのお湯が飛び散るなどして周囲に影響を与えやすい場所だけに、気遣いと配慮は欠かせません。
場所取りするのはNG
洗い場にタオルや入浴グッズなどを置く行為、いわゆる『場所取り』を行っていませんか?このような行為はマナー違反です。
混雑時でも好きなときに洗い場を使いたい、お気に入りの場所を優先的に利用したいなど、身勝手な理由による場所取りは周囲に迷惑を掛けてしまいます。
公共的な場である温泉の洗い場に、優先権などはありません。空いている場所を利用しましょう。
シャワーのお湯がかからないようにする
洗い場では、座った姿勢で体を洗ったりシャンプーをしたりするのがマナーです。
立ったまま洗うと勢いよくお湯が飛び散ってしまい、そのしぶきを浴びた人は決してよい気分ではないでしょう。場合によっては、口論などの原因にもなりかねません。
洗い場に人が少ないときは「間を空けて座る」、混んでいるときには「両隣りに気を配ってシャワーを使う」というような配慮が求められます。
体を洗うこと以外のことはしない
洗い場では、体や頭髪を洗うこと以外の行為は控えましょう。占有する時間を長くしてしまいますし、身勝手な振る舞いは周囲の人の気分を害してしまいます。
洗濯用品を携行して洗い物をする、染毛剤を持ち込んで髪を染めるなどの行為は、明らかなマナー違反です。洗剤や薬剤が足元に流れることになるので、周囲の人の体を汚してしまいかねません。
また、洗い場での歯磨きも同様です。これも、不快感を与える可能性があるので注意しましょう。