読書感想文の書き方にはポイントがあります。ポイントを押さえた本の選び方や読み方・まとめ方を意識することで、読み手に伝わる読書感想文に仕上がりやすくなるのです。また、子どもの年齢に合わせた『書き方のポイント』も紹介します。
何を書けば良いのか悩む読書感想文
どのような内容を書けば良いのか、読書感想文で悩んでいる親子は多いかもしれません。しかし、押さえておくべき内容を知っていれば、すらすらと書きやすく、子どもにも伝えやすくなります。
簡単なあらすじを入れよう
最初に書くのは『あらすじ』です。読書感想文の読み手は本の内容を知らないこともあります。そのため、簡単なあらすじで本の紹介をするのです。
ただしボリュームには注意をしましょう。あらすじが長すぎると、読書感想文ではなく本の紹介文になってしまいます。全体の1~2割くらいを心がけるとちょうど良い分量です。
あらすじの内容は、5W1Hを意識するとまとまりやすくなります。5W1Hは、5種のW(Why・When・Where・Who・What)とH(How)のことです。これを順番に、いつの話・どこの話・誰の話など、質問に答えながらまとめていくと簡潔に説明できます。
本を読んで感じたことや考え
読書感想文のメインは『感想』です。本を読んで子どもがどのように感じたのか、どこに興味を持ったのかをまとめます。
できるだけ具体的な感想をあげることで、オリジナリティーのある読書感想文になるはずです。
しかし「感想をまとめてみて」と子どもに伝えただけでは、なかなかうまくいきません。
そのようなときにはインタビュー形式で、具体的な感想を引き出します。
「好きな登場人物、シーン、言葉は何か?」「本を読んで新しく発見したことは何か?」「嫌いな登場人物やシーンは何か?」などに加えて、その理由も掘り下げていくと、感想がより具体的になります。
インタビューで引き出した具体的な感想をまとめると、読書感想文のメインが完成です。
本選びのポイントは?
本を選ぶときには、子どもが楽しみながら読めるものを選びましょう。興味を持ちやすい題材の本を選ぶことで、積極的に読書感想文に取り組めます。
子どもの年齢や興味に合わせて選ぶ
まず大切なのは、本が『子どもの年齢や発達段階に合っている』ことです。年齢によって楽しく読める本が異なることを理解しておきましょう。
あまりにも幼すぎる内容は、新しい気付きが少なく退屈に感じやすいです。逆に、難しすぎる内容は、理解ができず最後まで集中できないかもしれません。
年齢に合った本の中からぴったりの1冊を選ぶには、子どもが『興味を持っていること』を基準にします。興味があることは楽しく読みやすいですし、共感できる部分も多いからです。
サッカー好きならサッカーが題材の本を選びます。ペットを飼っているなら、ペットが登場する本が良いかもしれません。
興味・関心のある題材なら、具体的な感想を抱きやすくなります。
課題図書や友達のおすすめなども参考に
年齢や興味・関心から探しても、ピンとくる本が見つからないことがあるかもしれません。
そのようなときには、友達からおすすめの本を紹介してもらうのも一つの方法です。仲良しの友達が好きな本なら、興味を持って読める可能性があります。
それでも本選びで迷うときには、課題図書の中から選んでみましょう。課題図書は、発達段階に合ったものが選ばれているため、理解しやすい内容です。
さらに、子どもが興味を抱きやすい作品が選ばれているので、楽しく読み進めやすいのも特徴といえます。学校の図書室や公共の図書館でも紹介されることが多く、手に取りやすいという点も魅力です。
読書感想文の書き方の基本
本を読み終わったら、実際に読書感想文を書き始めます。ただし、いきなり書き始めると、内容がまとまりにくくなってしまうものです。
書き始めるための準備や構成の作り方を知ることで、スムーズに書き進めやすくなります。
メモや印を残しながら読む
読んでいるときに抱いた感想も、「読み終わると忘れてしまう」ことは珍しくありません。そんなときは、メモを書いたり印をつけたりしながら読むと読後に振り返りやすくなります。
心を動かされた部分をメモに残しておけば、最初に本を読んだときの『みずみずしい感覚』を読書感想文に反映させることができるでしょう。
購入した本であれば、直接本にメモをしたり線を引いたりするのも良いかもしれません。借りた本の場合には、付箋を貼る、読書感想文用のノートを作る、といった方法が便利です。
書きたい内容をまとめる
読書をしながら残したメモや印をもとに、読書感想文の内容をまとめます。さまざまな感想をメモに残すことで、充実した内容に仕上げやすくなるはずです。
また、読んでいるときには気が付かなくても、メモを見返していると、心を動かされたシーンや言葉に何かしらの共通点があるかもしれません。
見つけた共通点をテーマに、子ども本人の体験と結びつけて内容を膨らませることも可能です。
書き出しなどの構成を考えて文章を書く
どのような内容を書くかが決まったら、構成を考え、実際に文章を書く段階です。構成は、大まかに『はじめ・なか・まとめ』の三つに分けると、考えやすくなります。
はじめは、本のあらすじを紹介したり、本を選んだ理由をまとめたりするパートです。本の内容や子ども本人のことを読み手に知ってもらい、メインの感想につなげていく導入部分といえます。
なかは、メインとなる感想を書く部分です。感動したこと、読書で得た発見など、心を動かされたシーン・セリフ・登場人物などについて書きます。
まとめは、読書を通して考えたことを伝えるパートです。読書感想文全体の総括にあたります。
学年別のコツも知っておこう
同じ読書感想文でも、学年によって求められるものは変わります。成長に合わせた内容や書き方のポイントを押さえることで、子どもの年齢に合った読書感想文に仕上げやすくなるのです。
小学生なら本人の体験を織り交ぜて
小学生の読書感想文では『本人の体験とリンクさせる』ことがポイントです。例えば、主人公が感じたのと同じような、うれしさ・悲しさ・悔しさなどを感じた体験を織り交ぜてまとめます。
具体的な体験や考えをまとめるのが難しい低学年は、面白かったところや好きなところを、理由とともに掘り下げるという方法が書きやすいかもしれません。
理由を掘り下げるときに、本人の興味・関心や身の回りの出来事に結びつけられると、なぜ面白く感じたのかが伝わりやすくなります。
また、高学年らしい説得力のある読書感想文に仕上げるには、本人の体験をより具体的に示すことや、体験を踏まえた上でどのように考えるのか、意見をまとめると効果的です。
中学生はより論理的で表現豊かに
中学生の読書感想文では『論理的に考えを深める』ことがポイントといえます。例えば、作品のテーマについて掘り下げながら、自分の意見を述べるといった内容です。
考えを深める中で、自分の体験を織り交ぜていくと、説得力が増していきます。
『比喩や慣用句』を使い、中学生らしい豊かな表現を取り入れることもポイントです。例えば、「あきれてしまった」と書くところを、「あいた口がふさがらない」と表現します。
さまざまな表現を取り入れることで、日本語独特のリズム感や響きの美しさを学ぶことにもつながるはずです。
高校生は実社会とリンクした内容に
本人の体験を織り交ぜるところから一歩踏み出し、『社会との関わりとリンク』させていくのが高校生の読書感想文です。
選んだ本のテーマと実社会で起きている出来事がどのようにつながっているのか、自分自身の考えを論理的に展開させます。日ごろ考えていることを、読書に結びつけるように仕上げると良いでしょう。
選んだ本の内容だけでなく、新聞を資料として用いることや、先生や友達の意見を参考にすると、さらに意見を深められます。
構成/編集部