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子どもたちの行動にヒントあり!?駄菓子屋さんに月曜の憂鬱を減らす方法を聞いてみた

2020.07.06PR

◆高橋晋平の憂鬱な月曜日を楽しくする研究会

日本には、休日明けの月曜が嫌いな人が多すぎる……。その現状を改善するため、月曜日を楽しくしたい人のコミュニティ「月曜クラブ(通称:月ク)」が立ち上がりました。この連載では、月曜日の憂鬱を減らし、一週間を楽しく過ごす方法を研究、紹介していきます。

※「月曜クラブ(月ク)」にご興味のある方は、Facebookをフォローしてみてください。
Facebook 月曜クラブ(月ク) https://www.facebook.com/getsuyouclub/

今回は、インタビュアー高橋晋平の前職の同期で、現在京都で駄菓子屋を経営している北原妙子さんとの対談です。北原さんには、開発プロデューサーとして4社にまたがって業務委託勤務するという、もう一つの顔もあります。

大手玩具メーカーを、「駄菓子屋をやりたい」という理由で退職してからのお話を伺いつつ、親交の深い2人で仕事の憂鬱の正体について語り合ってみました。

北原妙子さん(写真左) ※文中では敬称略

【話し手】
北原妙子(きたはら たえこ)
京都在住の駄菓子屋/プロデューサー。
土日は自宅で駄菓子屋「北原商店」を商い、平日はアミューズメント施設のエンターテインメントコンテンツを中心に、プロダクト製品のプロトタイプ開発、インタラクティブコンテンツの企画・製作に携わる。
BASSDRUM/BUTTON INC./Skeleton Crew Studio/1-10 などのインタラクティブな会社の業務委託を兼任しており、テクノロジーとアナログに挟まれ日々人間観察に勤しんでいる。

なぜ駄菓子屋になったのか

高橋:なんで駄菓子屋になりたかったの?

北原:駄菓子屋になるために前の会社をやめたんだけど、実はそのとき、オフィスの隅っこで、昔から憧れていた駄菓子屋をやっていた時期があったんですよ。駄菓子を置いておいて、休憩中に買いたい人が買えるようにして。そうしたら、上司も、後輩も、他の部署の人も、いろんな人が集まってきてくれて。で、みんながわいわいお菓子を選んで買ってくれた光景が好きだったんです。いいなあって思って。そこに私は究極のエンタメを見た気がしたんですよね。

高橋:駄菓子屋が「究極」。

北原:どれを買おうか悩んで、小銭を払うところまでがエンタメだなと思って。お金って今の時代、貯めておかなきゃいけないっていう意識が強いかもしれないけど、駄菓子屋ってお金を払うことが楽しそうで。私はエンタメの場を作りたい人間だったから、「これをやらないと!」って思った。

高橋:場所が京都っていうのは、なにか縁があったの?

北原:横浜の開拓地域で育ったせいか、歴史が詰まっている建物、特に町屋に憧れがあって、京都に住んでみたいなと。で、プライベートで京都にリサーチに行って、目星をつけた地域に住んで、近所の人たちに「駄菓子屋やりたい」ってお話ししたりしました。

高橋:なるほど、今は、駄菓子屋の他に、エンタメ系の開発の仕事もしているんだよね。

北原:自宅 兼 駄菓子屋として町屋を賃貸で借りるのに、何か安定した仕事に就いてないと…、というので、京都で前職同様のエンタメ系の開発職を募集していた会社を探して、入れていただけた感じで。

高橋:そっか、最初は必要に迫られて、開発の仕事にも就いたんだね。

北原:そう。普通に考えると、駄菓子屋で生計立てるって難しいじゃないですか。もともと、通っていた大学の近所に駄菓子屋があって、その時もやってみたいなって思っていたから、そのお店のおばちゃんに「私もやってみたいんですよね」って話しかけたら、「やめときな。売上1日1000円もないんだから」って言われて。

高橋:まあ、そうなるよね。

北原:だけど、やって分かったのは、他の仕事をやりながら、在庫も仕入れもそんなに重くない「駄菓子」を自宅で売れば、憧れのお店屋さんになれるんですよね。子供の頃、お店屋さんになりたいっていう子は多かったじゃないですか。個別に立派な物件を借りてお店をやると、生きるか死ぬかみたいなイメージになっちゃうから、なかなかお店屋さんはできないけど、今、できてるなと。

高橋:お店は毎日開けているの?

北原:土日の午後、13-18時だけ開けています。朝早く起きれないから、ツラい時間にしないように。突然休むこともあります。

駄菓子屋の日常とは?

高橋:駄菓子屋をやっていると、どんなことが起きるの?

北原:日常風景がずっと流れてる感じ。小学生が集まる場所にしてくれていることもあり、「あいつはここに来たらいる」みたいな。子供それぞれがお好みのセットを持っていたりして、例えば「“ブタメン”と“スキッとレモンc”」とか。居酒屋で言ったら「唐揚げとレモンサワー」みたいな感じ。「俺も同じの下さい」とか言われたり。それを見てると、大人も子供も一緒なんだな、って思って、眺めている。

高橋:やっぱり、エンタメを作るヒントがありそうな気がするよね。

北原:そう。会社で子ども調査をして、親御さんと一緒に5,6年生が来たりすると、どこか大人っぽい佇まいを感じていたりするんだけど、駄菓子屋だと、5,6年生が3,4年生くらいの感じに見えるんですよね。無邪気に目が輝いているような。大人が見ている場と見ていない場で、子供は変わるなっていうのがすごい発見だった。

高橋:開発の仕事にも活きている?

北原:めちゃくちゃ活きてますね。体験型コンテンツを作る仕事をしているから、人の行動学を頭で描けないといけないんですね。ケンカするとか、駄菓子をおごり合ったりとか、どういうときにどんな行動をするのかを眺めているので、お客さんたちのおかげで、仕事で作る遊びのイメージが湧きやすいですね。体験型コンテンツって忖度がない直感の行動を考えないといけないんだけど、ちょうど、駄菓子屋に来た小中学生は、直感的になってるので。

そのうち、複数社にまたがる働き方になっていった

高橋:今って、開発の仕事は具体的にどんな感じでやっているの?

北原:今、結果的に、居られるオフィス4か所あって、どの席についてもいいっていう、贅沢な環境をいただいてしまい、あちこち行って、聞きたいことがあれば他の会社に連絡するっていう感じで。

高橋:何社も関わって自由に働くって、うらやましいと思う人も多い働き方になってると思うんだけど、どういう流れでそうなったの?

北原:開発って、エンジニアさんとかメーカーさんとか、いろいろな人がかかわるから、みんなでわいわい楽しくやれてたんだけど、欲が出てきて「他の会社の人たちとも一緒に作ったらどんなものが生まれるだろう」というふうに思うようになって。フラットな関係でいろいろな人たちが得意な部分を出し合って作ったら更に楽しいんじゃないかなと。そんな話から、複数会社に出入りさせていただくようになり、席を用意していただけたりしていって。

高橋:たえちゃん(北原)って、僕のイメージだと、前職ではそれこそ会社の隅で駄菓子を売り出すとか、原宿っぽいTシャツを着てうろついているとか、不思議な子っていう感じだったけど、今の状況だけを見ると、世間からは「やり手」みたいに思われると思うんだよね。

北原:京都の土地柄があったと思うんですよね。近い業種の方はだいたい友達のような関係性で、会社を超えてお互いの悩みを気軽に言い合えるような環境と、物理的な距離感の良さがある。自分のことを面白がって紹介してくれる人もいて。悩んで「うーん、うーん」って言ってると、「あの人と話してみたら?」って声をかけてくれたりとか。

高橋:お世話してもらいやすいタイプだったのかな。

北原:そうかもしれない…。

高橋:自分も、そんな働き方をしてみたい、っていう会社員の人がいたら、何かアドバイスってある?

北原:アドバイスではないけど、私はやっぱり、基本的にちょっとヘッポコなんですよ。開発者だけど、プログラミングはできないし。その時に、横にはスキルが高いエンジニアさんがたくさんいてくれて、相談してものを作っていくので、多分こうなったのは、「欠落していたから」なんだろうなと。

高橋:わかる。自分も全く同じで、似たようなことを聞かれたらやっぱり、「できないことが多いから、こういう働き方になった」っていう答えになっちゃうんだよね。自分にないものを相手に埋めてもらうことでしか、合わさっていけないんだろうなと。だけど本当に何もできない人だったら、複数の会社から必要とされたりしないじゃないですか。

北原:私は、正直プランニングも得意技じゃないし、スケジュール管理も違う。しいて言うなら、話が縺れたときに、何かしら物事を良い方向に導いたり、導いてもらう行動や判断はできてるかなあ。

高橋:たえちゃんは基本的に頭がいいんだけど、たぶん、「マスコット」なんじゃないかと思うんだよね。いるだけで揉めない、っていうマスコット能力をもってるんじゃないかなと。例えば調整役の人が、理屈っぽいことをゴリゴリに言ってきたら、その場は収まっても、誰かの心の中に反発心みたいなものが残って、上手く行かなくなったりするじゃないですか。たえちゃんに反発する気力って起きないんだよね。そのことを、周りの人が分かって、必要だから来てくれ、となるんじゃないかと。分かってくれる会社の方も凄いよね。

北原:小学生みたいに、ケンカごしな会話になってしまうこともあるけど、「みんなで謝ったら解決する」から揉めながら進めるのも肯定しちゃってる。

高橋:これ、僕もいつも「どうやっていろいろな人とプロジェクトを上手くやるのか」って聞かれると、「身も心も弱々しいから上手くいっている」って答えちゃって、「その答えって、普遍性ないよね。そうじゃない人はどうするの?」って言われるんだけど、やっぱりそうとしか答えられないんだよね。「人それぞれの弱くてチャーミングな部分をちゃんと表にしつつ、得意技はちゃんとある」ってことなのかなと思う。そして、人に頼っちゃえばいいんじゃないかなあ、と。

北原:うん、いろんな働き方をしてみたい人には「思っているほど世の中ガチガチじゃなさそうだよ」と言ってあげたいかも。話しかけてもらいやすいようにしておくのと、人に宣伝してもらうことは大事なのかなあ。

月曜日(休み明け)の憂鬱を減らすヒント

高橋:今までの人生で、月曜とか休み明けが嫌だった時期はありますか?

北原:月曜も何も、いつも「明日、あれあるのか~…」とか思うと焦ってツラいですよね。準備をしなきゃって思うときが一番憂鬱。実は、駄菓子屋オープンの1時間前も、憂鬱なんですよ。

高橋:え⁉ 人生の一部としてこんなに好きな駄菓子屋の準備も憂鬱なんだ。

北原:準備中、不安になる。それは、私が子供の頃、忘れ物が多かったので、その記憶が残ってるんだと思ってて。

高橋:確かに、過去の体験が憂鬱の原因になっていることは多分あるよね。僕も会社員時代、憂鬱の原因のほとんどが「圧の強い人」だったもん。昔、不良に絡まれてた過去があるから。それに今なんて、会社員じゃなく自分の会社やってるのに、月曜嫌だし。後遺症からくる「反射」だよね。

北原:好きなことの準備すら憂鬱なんだから、憂鬱って、あってもしょうがないかも。

高橋:どうしたら月曜の憂鬱って減るんだろうね。

北原:土日の活動を作ったらいいのかなと。この写真、夏休み最終日のうちの駄菓子屋の写真なんだけど、

北原:お客さんたちがみんな集まってきたんですよ。明日から学校だってことを、忘れたかったのかなと。日曜から、まだ来てもいない月曜の不安を思い出すとツラいから、忘れられるような時間を過ごせたらいいと思う。私は土日は駄菓子屋なんだけど、駄菓子屋って、時が止まっているような空間なんだよね。いつ行っても何も変わらないし、時間がゆっくり流れてるんですよ。そんな風に、時間が止まっているように感じる何かをしてみたらどうでしょう。

【聞き手】
高橋晋平(たかはし しんぺい)
株式会社ウサギ代表取締役、おもちゃクリエーター。この世のすべてを「遊び化」することを考え、月曜日を楽しくする方法の研究もしている。新製品「かけアイ サステナブル」が発売中。全国で講演活動も行い、人生を変える企画を作るオンラインセミナー「IDEA of LIFE」主宰。近著に『企画のメモ技』(あさ出版)。Twitter : https://twitter.com/simpeiidea

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