ダイソンのコードレススティッククリーナーといえば、デザイン性の高さや清掃性の高さで人気の製品。ただし、英国メーカーの製品ということもあり、本体サイズが大きく感じたり、軽量をうたうコードレス掃除機と比較すると重さが気になるという声もあった。そんななか、ダイソンが昨年から発売しているのが日本の住環境のために開発された「Slim」シリーズ。ダイソンは2020年6月22日にこのSlimシリーズのラインアップに新モデル「Dyson Digital Slim」(以下、Digital Slim)を追加した。このDigital Slimは、ダイソンの歴代のコードレスクリーナーのなかでも最軽量となる1.9kgという軽量設計。しかも、最上位機種と同等の使いやすさとパワーをもつ高機能モデルとなる。
コードレス掃除機の最上位モデルV11がベース
Slimシリーズは軽量・コンパクトな本体デザインが特徴のシリーズ。そのうえ、狭くてモノが多い日本の住宅環境にあわせ、家具の下などの狭い隙間でも掃除がしやすいようコンパクトで薄型のヘッドを採用している。さらに、パイプ長を短めにデザインすることで、小柄な日本人女性でも疲れにくい姿勢で掃除できるといった特徴がある。もちろん、新製品のDigital Slimもこの「日本人にあわせた」特徴を受け継いだ製品だ。実際にDigital Slimを持ってみると、女性でもあまり肘を曲げずに軽い力で掃除できるのがわかる。
ところで、Slimシリーズは日本向けにダイソンの従来製品をベースに開発されている製品群だ。そして、Digital SlimがSlimシリーズのなかでもとくに注目を集めた理由のひとつが、Dyson V11をベースに開発されている点である。
Dyson V11といえば、現時点でダイソンのコードレススティッククリーナーのフラッグシップモデル。つまり、ダイソンのコードレス掃除機の最新の機能と高いパワーを兼ね備えた製品だ。昨年発売された「Dyson V8 Slim」は2016年に発売されたDyson V8をベースにしていたため「Slimシリーズは軽量・コンパクトだけど最新機能ではない」と思われていたが、本製品の登場はこれを嬉しい方向に裏切ってくれた。
V11をベースにしたことで、とくに便利に感じたのがV11から導入された「液晶ディスプレイ」の存在。このディスプレイでは運転モードを切り替えられるほか、バッテリー残量を1秒単位でカントダウン表示できる。しかも、バッテリー残量カウントダウンはセットしているアタッチメントや掃除をしている床材などの状況にあわせて変化する賢い仕様だ。
さらに、液晶ディスプレイにはフィルターの洗浄タイミングなどのメンテナンス情報のほか、本体にエラーがおきた場合にエラー内容や解決方法などを文章やイラスト、アニメーションなどで表示する。
また、V11からの付属品であるツールクリップもなかなか便利だ。これは、延長ホースに取り付けられるクリップで、付属ブラシを最大2個セットできる。よく使うアタッチメントをセットしておけば、付属ノズルやブラシを利用するのに、いちいち収納場所まで移動する必要がなくなる便利なツールだ。
一からの設計見直しでダイソンのコードレスクリーナー最軽量を実現
じつは、従来までのSlimシリーズはモーターや本体などはほぼ従来製品のままで、ヘッドやパイプなどの設計見直しにより軽量コンパクト化を図ってきた。一方、Digital Slimはモーターをはじめ、サイクロンユニットの形状などすべてのパーツのデザインを見直すことで従来のSlimシリーズよりも大幅な軽量化に成功している。
軽量コンパクト化で大きく貢献しているのは、V11よりも40%小型軽量化した「Slim Fluffyクリーナーヘッド」の存在だが、さらにモーターはDyson Hyperdymium モーターを採用することでV11よりも15%小型化、サイクロンユニットは再設計により5%小型化、そしてフィルターも19%小さくなっている。これにより、スティッククリーナー時の総重量は1.9kgと、V11と比較すると25%の軽量化に成功している。
掃除機を小型コンパクト化するとどうしてもパワーが落ちがちだが、ダイソンはV11では2つのパーツにわかれていた本体を一体化することでシールやリベット、機構の厚みなどを削減。さらに、サイクロンユニットを小さくした分、吸気口を大きく、空気抵抗を軽減したデザインに見直すなどの改善でパワーの低下を防止。ダイソンは「再設計により軽量化にともなったパワーの犠牲はほとんどない」と発表している。
設計見直しによりV11より使いやすくなった部分も
大幅な設計の見直しにより、V11よりも使いやすいと感じる点もあった。一つ目はクリーナーヘッドの使いやすさ。SlimシリーズということでV11よりも薄型になっており、ソファやベッドといった家具の下の掃除がしやすくなっている。
そのほかに注目したいのが壁際の掃除性能だ。回転ブラシのモーターをブラシ内に搭載し、側面ギリギリまでブラシを配置したほか、ブラシ両脇の側面に吸気用の溝を切ることで壁ギリギリにあるゴミもしっかりと吸引できるようになっている。
また、本体デザインの変更によりハンドル形状も変化した。ハンドル部分はV11よりも細くなり、より軽い力で握れるようになった。さらに、ダイソンのコードレス掃除機は「トリガーを引いている間だけ運転」する仕組みだが、このトリガー形状も変わった。従来は真っ直ぐなトリガーを採用していたが、Digital Slimでは弓なりに曲がった形状になり、指がしっかりとホールドされるようになっている。
製品情報
本体サイズ(スティック時):幅250×奥行き1100×高さ233mm、スティック時の本体重量1.9kg
最長運転時間(クリーナーヘッド使用時):エコモード約40分、中モード約25分、強モード約5分
充電時間:約3.5時間
左から、9点の付属品をもつ「Dyson Digital Slim Fluffy+」(8万6900円)、付属品を6点もつ「Dyson Digital Slim Fluffy」(7万5900円)、付属品を4点もつ「Dyson Digital Slim Fluffy Origin」(6万4900円)、付属品を10点もつダイソン直販限定モデルの「Dyson Digital Slim Fluffy Pro」(9万7900円)。価格は公式オンライン価格。
取材・文/倉本 春