猫の「分離不安症」は2パターンに分けられる
完全室内飼いが推奨されている近ごろは、人間と猫の距離がさらに近くなってきています。そんな時代だからこそ配慮してあげたいのが「分離不安症」という、心の病気。今回は分離不安の主な症状や、我が家で行っている対策法などを解説していきます。
分離不安症は2パターンに分かれる
猫は単独行動をするため、「分離不安」と聞くとなんだか違和感を抱くかもしれませんが、お家で育てられた猫は大人になっても子ども気分であることが多いもの。
特に、生後間もない頃から飼い主さんの手によって育てられた子は飼い主さんを母親のように慕っているため、人間に依存しやすい傾向があります。
分離不安症は、飼い主さんがいなくなることに極度の不安感を抱いてしまうという病気。外出する時に必死に止めてきたり、姿が見えないと大声で泣き叫んだりします。
分離不安症の子が見せる態度は、主に2パターン。不安感が外に向く「攻撃型」と不安感を自分で解消しようとしてしまう「自己犠牲型」です。
攻撃型の子は強い不安感から、思い通りにならないストレスを飼い主さんにぶつけます。噛みついたり唸ったり、中には口腔内に問題はないのによだれを垂らしたりする子もいるよう。
対して、自己犠牲型の子は強い不安感を自分で抱え込んでしまうので、自分を傷つけてしまいます。何度も同じ場所を何度も毛づくろいする「過剰グルーミング」や、被毛を噛みちぎって脱毛を作ってしまうのが特徴です。
自己犠牲型の子はストレスから、下部尿路系の病気が引き起こされてしまったり、うつ状態に陥ってしまったりすることも。どちらの場合も改善させるには、飼い主さんのサポートが必要になります。
うちの猫は分離不安症の傾向がある?
「うちの子ももしかしたら分離不安症かもしれない…。」そう思った飼い主さんは、次のリストをチェックしてみてください。
□帰宅後に毎回、声が枯れている
□ひっきりなしに鳴き続けて、飼い主さんにつきまとう
□長期旅行などに出かけると、下痢や粗相をしてしまう
□執拗に体をグルーミングし、脱毛を起こす
□体に異常はないのに食欲がなく、元気もない
□去勢済みであってもスプレー行為をする
□物を破壊する
愛猫の行動を振り返り、心当たりが多いと感じた方は少しでも不安感を取り除いてあげられるよう、対処していきましょう。
我が家で実際に行っている分離不安症対策
我が家の愛猫、コタロウ(キジトラ)は自己犠牲型の分離不安症。日頃から、姿が見えなくなると大声で鳴き、過剰なほど足にまとわりつきます。仕事で筆者が家を留守にすると、帰宅直後に抗議の粗相をしたり、お腹に脱毛が見られたりすることも。
こうした症状を少しでも改善するために心がけているのが、「過剰に構わないこと」と「安心感を与えてあげること」。帰宅時や外出時はあえて構わずサラっと出ていきます。さらに、外出時を察せられないよう、カバンを取る→カギを取る…というように動作がパターン化しないようにも注意。
留守中は安心感を与えるため、外出中でも飼い主のにおいを感じられる服や毛布などを用意しています。筆者の仕事中でも寂しくないよう、猫専用の部屋と仕事部屋を隣に設置し、ガラス越しに仕事風景を眺められるように配慮もしました。
また、定期的にまたたびやフェロモン製剤「フェリウェイ」を使って、ストレスを緩和を意識。今でも脱毛は時々見られますが、頻度は少なくなってきています。
心の病気である分離不安は、改善までに時間と根気がかかるかもしれません。しかし、分離不安は飼い主さんだからこそしてあげられる対処法がたくさんある病気でもあります。ぜひ、愛猫の心に寄り添いながら長い目で心を守っていきましょう。
文/古川諭香(PETomorrow編集部)