人物や料理にもレンズの適用が可能、遊べてクオリティの高いカメラアプリ
ここまでの機能紹介は原則として風景写真を使ってきたが、Photoshop Cameraには、人物写真や料理写真に最適なレンズも用意されている。人物写真には、AIで背景だけをボカしたり、スタジオのような照明効果を加えたりといった処理をかけることができる。また、「スペクトル」や「ポップアート」などを使うと、おもしろい効果のかかった写真を撮ることが可能だ。
「人物」のレンズを適用した写真。背景がボケて、顔が明るく、滑らかになっているのが分かる
「スペクトル」を使うと、人物の周りに分身のような映像が付加される
料理の写真にも、レンズを適用することができる。ただし、こちらはまだ種類が少なく、写真の色味などを変えることができるだけとなる。プロパティを開くと、フィルター強度や色温度、周辺光量補正といったパラメーターを変更できる。より料理を際立たせた写真を撮りたいときに、こうした設定の変更をしてみるといいだろう。
プロファイルを開くと、色温度や周辺光量補正などを変更することができる
操作が簡単で、加工の正確さにも驚かされるPhotoshop Cameraだが、弱点がないわけではない。一例を挙げると、夜に撮った風景がそれだ。ここに「ブルースカイ」を適用し、無理やり昼間のような写真に仕上げてみたが、昼間に撮るよりも、建物と空の境界の見極めが甘いように見える。建物の暗部も、うまく撮影できず、黒く潰れてしまっている。また、暗さを生かし、「宇宙」のレンズで大きな惑星を出現させてみたが、こちらは写真の左側が、黒く潰れてしまった。光量が十分でない場合、こうした処理の甘さが出てしまうようだ。
真夜中の空を無理やり昼間にした写真だが、建物と空の境界の描写が破たんしている
こちらも上と同じ時間、同じ場所で撮った写真。左側に、黒い影ができてしまった
撮った写真がダイレクトに保存されず、いったん「PsCスタジオ」に保存されるのも、賛否が分かれるところだろう。写真を現像するイメージで、プロファイルで細部の数値を調整した後に保存するという流れを想定しているのだと思うが、これが少々分かりづらい。写真のシェアはPsCスタジオから直接できるが、1枚ずつしか扱えないのも残念なポイント。複数枚の写真を選択すると、「削除」のメニューしか表示されないため、アップデートの際には、ぜひ改善してほしいと感じた。
撮った写真はいったんPsCスタジオに保存される。複数枚同時に保存やシェアができないのは残念
登場したばかりで、まだまだ粗削りなところは残っているが、撮った写真に対し、すぐに最適な処理がかかるのは便利。対応端末はまだまだ少ないが、無料で利用できるため、まだ利用していない人は、ぜひ試してみてほしい。この手のカメラアプリは、“飽き”との戦いになりそうだが、レンズが続々と増えてくれば、長く利用するユーザーも増えそうだ。
【石野’s ジャッジメント】
UI ★★★★
画像キリヌキ精度 ★★★★★
画像処理速度 ★★★
加工できる種類 ★★★★
対応端末数 ★★★
*採点は各項目5点満点で判定
取材・文/石野純也
慶應義塾大学卒業後、宝島社に入社。独立後はケータイジャーナリスト/ライターとして幅広い媒体で活躍。『ケータイチルドレン』(ソフトバンク新書)、『1時間でわかるらくらくホン』(毎日新聞社)など著書多数。