自分が住んでいるブレーカ(遮断器)にも寿命があるのをご存じだろうか? 社団法人 日本電機工業会によると、ブレーカは使用開始後13年が経過している場合、更新が推奨されているのだ。また、13年が経っていなくても使用頻度などにより、13年未満でも更新すべき状況もおきる。
もし、築後10年を超えてきた家に住んでいるなら、一度ブレーカ、分電盤のことを気にした方かいいかもしれない。
【参考】社団法人 日本電機工業会|住宅用分電盤用遮断器の更新推奨時期に関する調査報告書
ところでブレーカや分電盤って見たことある?
テレビやエアコン、さらにドライヤーや電子レンジなど、多くの電化製品を同時に使っていると、突然の「バン」という音とともに電気が使えなくなったことはないだろうか? あの「バン」と音を立てて電源を切ってくれたのがブレーカだ。
ブレーカは過電流や漏電など電気の異常が起きると、回路を自動的に遮断する装置だ。住宅用の分電盤はそのブレーカが複数収められており、コンセントや電気機器へ安全に電気を供給する、いわば電気の門番のような頼れる存在なのだ。
分電盤の歴史をサラッと振り返ってみよう
最近の分電盤はスタイリッシュなタイプが増えて、リビングなどの壁に設置されることもある。そのため案外その存在に気づかずに暮らしている人も多いかもしれない。
かつては家の隅に追いやられていた感があった分電盤が日の目を見るに至るまで、どんな過去があったのだろうか? パナソニックの分電盤でその歴史をサラッと振り返ってみたい。
パナソニック(当時は松下電工)は同社初のヒューズ付きホーム分電盤を、1962年に発売した。それまでは、工事業者が木の板や木箱などへヒューズを取り付け、手作りしていることが多かった中、分電盤の安全性を向上させることに成功した。
ちなみに、ヒューズは過電流での火災を防ぐ安全装置の一種で、切れるたびにヒューズを交換する必要があるのがやっかいであった。
そんな不便を解消するために、1968年、一般家庭向けにノーヒューズ化した「安全ブレーカHB型」を搭載した分電盤を発売した。
さらに、1970年には漏電ブレーカ付ホーム分電盤を発売する。
1981年には業界初の単3中性線欠相保護機能を搭載したホーム分電盤を発売、安全性を飛躍的に向上させることに成功した。
しかし、1981年に発売された上記のモデルも依然として、スイッチ類がむき出しになっており、居間に設置するには無骨すぎるものであった。
そんな、表舞台には出られない存在であった分電盤が、一躍スタイリッシュな存在となったのが、1993年に発売された扉付きの分電盤「ニューコスモシリーズ」だ。
こちらは何と! 分電盤の常識を覆す、グッドデザイン賞を受賞する製品となったのである。
しかし、住宅の電化が進む中、搭載されるブレーカの数は増加を続け、分電盤のサイズは徐々に肥大化し、不要に場所を取るやっかいなものとなっていく。
そこで、パナソニックのエンジニアは知恵を絞り、ブレーカのサイズを小さくすることで、分電盤をコンパクトにする方法を模索していく。その努力の結実が、2000年に発売された「コンパクトブレーカSH型」なのである。
従来のブレーカに比べて横幅を半分とし、エアコンやIHクッキングヒーター、電気自動車への充電などで使用機会が増えている200Vへの切り替えも、ボタン1つで操作可能となっている。
また、電線の接続を速結&ブラグイン方式に変更し、ネジ締め作業をなくして施工品質の向上、配線作業の効率化を推し進めるなど、21世紀を迎えるにふさわしい、新時代のブレーカとなったのだ。
そして、コンパクトブレーカSH型を搭載する住宅用分電盤の「コンパクト21」も発売され、16回路タイプで従来比約20%のダウンサイジングにも成功したのである。
コンパクトブレーカは1億4000万台、コンパクト21は1200万面と売れに売れた!
2020年の今年。コンパクトブレーカSH型とコンパクト21は20周年を迎えるロングセラーとなった。2020年5月末時点で、コンパクトブレーカSH型を代表とするコンパクトブレーカは1億4000万台、コンパクト21は1200万面の販売実績を達成している。
売れに売れた製品は成人式を迎える歳となった。しかし、生産するパナソニック スイッチギアシステムズの瀬戸工場では、今でも月に70万〜80万個、年間1000万個近くのコンパクトブレーカが生産され続けている。
現在、瀬戸工場で扱う住宅向けの分電盤は3万6000品番にものぼる。そちらをタブレット導入で一括管理、さらに、2000種類の部材による製造工程不良も、バーコードリーダーの導入、画像検査機の導入などの最新システムにより、製品品質の安定化と、生産性の向上を実現する。
地震による「感震ブレーカー」、HEMS対応の住宅分電盤「スマートコスモ」も誕生
住宅分電盤用コンパクトブレーカはさらに進化を続けている。
2006年に初登場し、2017年にモデルチェンジした「感震ブレーカー」は、震度5強以上の揺れを感知すると主幹ブレーカを自動的にOFFにすることで、地震時の電気火災リスクを減少。
また、家電や電気設備とつなぎ電気やガスなどの使用量をモニター画面などで「見える化」したり、家電機器を自動制御する、「HEMS」(Home Energy Management System=ホーム エネルギー マネジメント システムの略)に対応する住宅分電盤「スマートコスモ」も開発されている。
これからは、「感震ブレーカー」やHEMS対応の分電盤「スマートコスモ」ら新世代の配電盤を備えた住宅が増えていくであろう。
もし自宅のブレーカが更新時期を迎えようとしているのなら、最新のブレーカ、分電盤への変更を考えてみる、いい機会かもしれない。
取材・文/中馬幹弘