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【開発秘話】昨年3万6000個も売れたクイーンズ伊勢丹のPBスイーツ「冷やしておいしいケーキ」

2020.06.18

■連載/ヒット商品開発秘話

 三越伊勢丹グループの高品質スーパーであるクイーンズ伊勢丹で、夏季限定販売の『冷やしておいしいケーキ』が好評だ。初登場したのは2019年5月。2020年も5月から発売が始まった。首都圏(東京・神奈川・埼玉・千葉)16店舗のみの展開ながら、咋夏は約3万6000個を販売している。

『冷やしておいしいケーキ』とは商品名ではなくキャッチフレーズ。正体はクイーンズ伊勢丹のPB(プライベートブランド)『ほっと息ぬきTeaTime』シリーズでラインアップされる夏季限定のピースカットケーキのこと。2019年は2種類、2020年は3種類発売されている。発売されて間もない2020年も売れ行き好調だ。

夏場の焼き菓子の売上アップと工場の稼働率向上

 クイーンズ伊勢丹は、三越の食品製造加工卸売子会社であった二幸とクイーンズ伊勢丹が合併してできたエムアイフードスタイルが運営。スーパーマーケットを展開する一方で自社工場を持ち、オリジナル商品を自社生産している。

『冷やしておいしいケーキ』の誕生も、自社工場を有していることが関係していた。クイーンズ伊勢丹では、ピースカットケーキやマドレーヌといったオリジナルの焼き菓子を7種類ほど定番で発売しているが、夏場は焼き菓子の売れ行きが落ちる。これに伴い、自社工場の稼働率は夏場になると下がった。

 とくに猛暑だった2018年は、夏場の焼き菓子の売上が前年比で20〜30%ダウン。焼き菓子はもともと売上のボリュームが大きいので、他の菓子が好調に売れても落ち込みを挽回するまでには至らなかった。

「2019年の夏を戦うには切り口を変えないとダメなことが、2018年の売上から明らかでした。変わった切り口の商品で売上アップにつなげ、夏場に自社工場の稼働率を上げることも目指すことにしました」

 このように振り返るのは、エムアイフードスタイルで『冷やしておいしいケーキ』の開発に携わった仲義(なかぎ)実氏(営業統括本部商品部 菓子担当バイヤー)。夏場に需要が落ちる焼き菓子を食べてもらえるアイデアを探すことにした。

エムアイフードスタイル
営業統括本部商品部 菓子担当バイヤー 仲義実氏

 着目したのが、夏場の売れ筋であるゼリーや水ようかん。涼味がウケていることから、焼き菓子も冷やして食べる提案を思いついた。2019年夏に間に合わせるべく、2018年秋から開発に取り掛かった。

開発で配慮した2つの点

 ピースカットケーキやマドレーヌのような焼き菓子は、冷やせばそれなりにしっとり感が出ておいしく感じるもの。そのしっとり感をさらに出すために、開発では2つの点に配慮した。

 まず1つが、フルーツの選定。夏向きなフルーツをチョイスすることで果実感が味わえ、しっとり感が伝わりやすいものを使うことにした。その結果選ばれたのがレモンとマンゴーの2つであった。

 レモンは、はちみつと合わせて〈はちみつレモンケーキ〉に。菓子では珍しいが飲料ではおなじみで味の想像がつきやすいことから採用となった。マンゴーはオレンジと合わせた〈マンゴーオレンジケーキ〉として企画される。甘さだけでなく清涼感も味わえるようにした。

 ただ、試作を始めてみて、もう1つの配慮すべき点が見つかった。それは原材料の配合。冷やして食べると、植物油脂が舌に残ることからスッキリ感が落ち、最後まで食べるにはややくどくなってしまうことがわかった。

「すぐおいしいものができると思っていたのですが、最初の試作品を食べたとき植物油脂が舌に残ったので、冷やしてもおいしくありませんでした」と仲義氏。フルーツごとに水分値が異なることなどから、フレーバーごとに原材料の配合を微妙に変え、それぞれに最適なものを採用した。

 通常なら試作は3回程度で終わるところ、どちらも10回はつくって検証。工場や研究室からは「いつになったらOKが出るんだ?」という声も漏れたが、「売れる」と思えないものは店頭に置けない以上、味には妥協しなかった。

 大変だったのは〈マンゴーオレンジケーキ〉。イメージ通りの味づくりが難しかったこともあるが、原材料の原価などで社内の折り合いがつかず、結果的にマンゴーのみを使った〈マンゴーケーキ〉となった。「本当はマンゴーオレンジで出しかったけど……」と仲義氏は当時の残念な思いを明かす。

はちみつレモンケーキ

マンゴーケーキ

メディアで注目され想定以上に売れる

 クイーンズ伊勢丹の菓子のPB商品で期間限定モノは、これが初めてのこと。売れ行きは当初、2つ合わせて1万個程度と予想していた。

 しかし2019年5月に発売されると、テレビをはじめ雑誌やウェブと多くのメディアの目に留まる。話題になったことから想定以上に売れ、工場に何度となく追加生産を指示したほど。一時は欠品を起こしかけたこともあったが、工場もスケジュールをやり繰りし、全力を挙げて増産に対応した。

 店内ではスペースを広く取って陳列したのはもちろんのこと、テレビで紹介されたことを知らせるPOPや販促用のパネルをつくって掲示。「冷やしておいしい」や「夏季限定」といったキーワードに注目してもらうようにした。

 購入者の中には、ちょっとしたギフトとしてまとめ買いされるケースも珍しくなかった。購入後に店内のサービスカウンターで無料ラッピングをお願いする人もいたほど。店舗の中には、〈はちみつレモンケーキ〉〈マンゴーケーキ〉の2つをセットにしてラッピングしたものを売るところもあった。

2019年販売時の品川店のディスプレー。はちみつレモンケーキ、マンゴーケーキそれぞれをバラバラに販売しただけでなく、2つまとめてラッピングし販売する店舗独自の工夫も行なった

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