エアコンのフィルターはとても汚れやすい箇所です。そのままにしていると、効きが悪くなったり故障の原因になったりしてしまいます。汚れの除去はポイントさえつかめば決して難しくありません。定期的に掃除をして、きれいな状態を維持しましょう。
エアコンのフィルターが汚れる原因
エアコンの中でも汚れやすいパーツといえば、フィルターです。しばらく掃除をしないでいると、「ホコリがびっしり付いている」という話も珍しくありません。一体、何が原因で汚れているのでしょうか。
空気中のホコリやゴミを吸い込むため
フィルターが汚れる理由は、エアコンの仕組みが関係しています。エアコンは部屋で吸い込んだ空気を外にある室外機で温度を調節し、部屋の中に戻しているのです。
しかし、エアコンが部屋の空気を直接吸い込むと、室内の空気中にあるホコリやゴミも取り込んでしまいます。そこで、フィルターを空気の吸い込み口に設けて、細かい網目によってホコリやゴミを取り除いているというわけです。
フィルターはエアコンを付けているだけで汚れていくため、定期的に掃除をする必要があります。
汚れをそのまま放置すると?
フィルターが汚れたままでは、エアコンの性能を低下させる原因になります。フィルターはカビが繁殖しやすいことから、臭いや健康への影響にも注意が必要です。エアコンを快適に使い続けるためにも、フィルターの掃除は欠かせません。
エアコンの効きが悪くなる
フィルターはエアコンの空気の吸い込み口にあります。フィルターがきれいなら空気をスムーズに吸い込めますが、汚れていると目詰まりを起こして空気をうまく吸い込めません。空気を効率よく吸い込めないと、エアコンの効きが悪くなってしまいます。
また、空気の吸い込み効率が悪くなると必要電力も増えますので、電気代の高騰も心配です。エアコンに負担がかかって、故障の原因にもなりかねません。修理や買い替えを余儀なくされることもあるため、日ごろから汚れをため込まないことが肝心です。
嫌な臭いがする
エアコンは、空気と一緒に部屋に漂っている生活臭も吸い込んでしまいます。「エアコンから嫌な臭いがする」というケースは、まさにこの『生活臭いの吸い込み』が原因です。フィルターを掃除しないと、これらの臭いが付着したままになってしまいます。
汚れが付いたフィルターは、臭いの原因となる『カビ』が繁殖しやすいことも理解しておきましょう。ホコリはカビの栄養分の一つです。エアコンの内部は湿度が高いこともあって、カビにとって居心地がよい環境だといえます。
フィルターにカビが繁殖した状態でエアコンを動かすと、カビを含んだ風が部屋に送り込まれて嫌な臭いがするというわけです。
健康に悪影響を及ぼす可能性も
汚れたフィルターはカビの温床になり、エアコンを使うたびにカビの胞子を部屋中にまき散らしてしまいます。臭いが気になるだけでなく、健康への影響も気がかりです。
カビの胞子が体内に侵入したり肌に付着したりすると、アトピー性皮ふ炎・気管支ぜんそく・アレルギー性結膜炎・夏型過敏性肺炎などを引き起こすこともあります。
カビの繁殖を未然に防ぐためにも、小まめに掃除をする習慣を身に付けてはいかがでしょうか。
エアコンフィルターの掃除方法
エアコンのフィルターは家にあるものを使って掃除が可能です。特別な技術は必要としませんが、要領よくホコリを落とすにはちょっとしたコツがあります。手順と各工程のポイントを押さえて、フィルターをきれいにしましょう。
掃除機をかけてからフィルターを外す
エアコンの多くは、正面の下側にあるツメやロックを外すと、カバーを開けられます。正面の両側にカバーを上げるためのくぼみがある機種の場合、くぼみをつかんですくい上げるようにして開けるとスムーズです。
カバーを開けるとすぐにフィルターが見えますが、フィルターを取り外す前に軽く掃除機をかけましょう。汚れたフィルターをそのまま取り外すと、ホコリが舞い散って床を掃除する手間が増えてしまうからです。フィルター周辺のホコリも掃除機で吸っておくと、舞い上がりにくくなります。
外したフィルターに掃除機をかける
フィルターの多くは薄いプラスチックでできています。必要以上の力を入れると形が変わったり破れたりする恐れがあるため、優しく取り外しましょう。
取り外したフィルターは床に置いて『表面』から掃除機をかけます。表面とは、エアコンのカバーを開けたときに、外側に露出している面のことです。
ほとんどのホコリはフィルターの表面に付着しています。裏面から掃除機をかけると、表面に付いたホコリがフィルターの網の目に詰まってしまい、きれいに取り除けません。
フィルターを水洗いする
掃除機では細かいホコリを取り除けないこともあります。浴室でシャワーをかけて、水圧でホコリを押し出しましょう。掃除機は表面からかけますが、シャワーは裏面からかけるのが鉄則です。裏面から水圧を加えると、表面に付いたホコリが落ちやすくなります。
シャワーでは落ちないホコリは、ブラシでこすり落とすとよいでしょう。汚れが頑固な場合は、水で薄めた中性洗剤を付けた上で、ブラシで優しくこすります。
中性洗剤の代わりに、重曹を40℃程度のお湯で溶かした手作り洗剤を使ってもよいでしょう。エアコンのフィルター専用のクリーナーも販売されています。
乾かしてから取り付ける
フィルターに付いた水分は、清潔なタオルを使って拭き取ります。フィルターの表と裏にタオルやキッチンペーパーなどを置いて、ポンポンと手で挟みながら水分を取り除きましょう。
ある程度拭き取れたら、天日干しをします。外に干せない場合は、窓際に新聞紙などを敷いて乾かすとよいでしょう。
早く乾かしたいからといって、ドライヤーを使うのはおすすめできません。フィルターのフレームは熱に弱いため、ドライヤーを使うと破損する原因になります。水分を拭き取ったら、自然に乾燥するのを待ちましょう。
フィルターを掃除するときの注意点
フィルターの掃除は比較的簡単にできますが、丁寧に扱わないと壊れてしまうこともあります。思わぬトラブルを防ぐためにも、以下のことに注意をしながら掃除をしましょう。
力を入れてこすらない
汚れがたまっているからといって、力を入れて掃除をするのはやめましょう。フィルターの網目は緻密で、大変デリケートです。
強い力を加えることは、網の目が広がったり破れたりする原因になります。網目が崩れると、ホコリをシャットアウトするという本来の機能を果たせなくなるため、優しく丁寧に取り扱いましょう。
掃除機をかけるときは、強く押し付けないようにします。ブラシは柔らかいものを使い、力を入れてゴシゴシとこすらないことが大切です。
水分を残さない
水洗いをした後は、しっかりと乾かしてからエアコンに取り付けましょう。カビは湿度が高い場所を好むため、フィルターが湿っていると、新たなカビが繁殖する可能性があります。
水分によって、必要以上にホコリを吸着してしまうのも問題です。掃除をしてもすぐにエアコンの効きが悪くなったり、カビが繁殖したりすることも考えられるでしょう。
フィルターが濡れたままエアコンを運転すると、エアコンの内部に水が浸入して故障や発火のリスクも高まります。