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毎年、夏から秋にかけて台風が増えます。夏に大切なイベントや旅行を予定している人は、台風の影響を考慮することが大切です。台風が多い月や台風の影響を受けない時期、台風が上陸しやすい理由、台風シーズンが長い沖縄の状況などについて紹介します。
日本に接近する台風が多い月はある?
夏から秋にかけてやってくる台風ですが、統計的に台風が多い月がいつなのか、知らない人もいるのではないでしょうか?夏の予定を立てる前に、しっかり把握しておきましょう。
台風の上陸数は年によってまちまち
毎年の台風上陸数は、年によって幅があります。過去には、10回も上陸した年があれば、0回だった年もありました。10回というのは、過去70年近くの間でも1回きりなので、珍しいケースといえるでしょう。
一方、近年で上陸数が0回だった年は、2008年と2000年と2回あります。毎年、台風の影響を受けているため、0回というのは不思議に感じる人もいるのではないでしょうか?
超大型の非常に強い台風などの場合は、上陸していなくても広範囲に影響を及ぼすことが珍しくありません。そのため、上陸したように感じてしまうのも理由の一つでしょう。
例年上陸が多いのは8〜9月
台風の上陸は、7月~10月にかけて増えます。例年、特に上陸数が多いのが、8月と9月です。1951年以降では、8月の上陸数が73回、9月は66回になっています。なお、過去には、5月や11月に上陸した年もあります。
台風の上陸数が多い地域は、鹿児島県・高知県・和歌山県・静岡県・長野県などです。1951年以降では、鹿児島に41回上陸しています。2番目に多い高知県は26回なので、鹿児島県が群を抜いて多いことが分かるでしょう。
ちなみに台風は、台風の中心が北海道・本州・四国・九州のいずれかの海岸に到達した時点で、『日本に上陸した』と扱われます。
8月上陸も多いが進路が不安定になりがち
8月は、台風の上陸数だけでなく、最も発生数が多い月でもあります。しかし、発生数と比較すると、上陸数は少なめなのが特徴です。
気象庁の30年間のデータによると、8月の平均発生数は5.9回なのに対し、上陸数は0.9回です。これに対し、9月は4.8回の発生数に対し、0.8回上陸しています。
8月が発生数に対して上陸数が低い主な理由は、8月の気象状態によって、台風が不安定な進路をとりやすいことです。
台風が発生しない時期はいつ?
前述の通り、1951年以降で台風が上陸した月は、5月~11月です。つまり、それ以外の月は台風が発生していないということなのでしょうか?台風が発生しない時期について紹介します。
台風は1年中発生
台風の接近や上陸のイメージから、台風が発生する時期は決まっていると思う人も多いでしょう。しかし、実際には年間を通して発生しています。台風のイメージとは程遠い1~2月など、冬の時期でも発生しており、過去には1月に2回も発生した年があります。
年間の台風の発生数は、年によってばらつきがあります。発生数が最も多かったのは、1967年の39回で、最も少なかったのは、2010年の14回です。しかし、平均的な年間発生数は、25回前後になります。
年による変動が大きく7月まで発生しない年も
台風1号が発生する時期は、年により大きく異なります。例えば、2020年のように5月まで発生しない年もあります。5月まで発生しなかったというのは珍しく、約4年ぶりに遅い時期に発生した台風とされています。
なお、4年前の2016年は、台風が7月まで発生しませんでした。これは、1951年以降で1973年と1998年と合わせて3回しかなく、非常に珍しいケースです。
しかし、台風第1号の発生時期が遅いからといって、その年の発生数や上陸数が少ないとは限りません。2016年の発生数は、26回と平均的ですし、上陸数においては6回と多い結果になっています。従って、2020年の台風第1号が5月と遅かったといって、油断しないようにしましょう。
台風が9月に上陸しやすい理由
台風が上陸しやすいのは、気象状況と深く関係しています。具体的にどんな理由があるのか紹介します。
熱帯低気圧が発生しやすい
9月に台風が上陸しやすい理由の一つは、台風に変わる熱帯低気圧が発生しやすいことです。
台風の多くは、赤道付近の熱帯地域で発生します。熱帯地域では海面の水温が高いため、上昇気流が発生しやすくなります。上昇気流によって発生した多数の積乱雲が渦上に形成され、中心部の気圧が下がり、熱帯低気圧に変わります。海面からの水蒸気をエネルギー源として勢力を増していき、台風になるのです。
つまり、発生した熱帯低気圧が、気象状況により台風に変わることが多いのです。
太平洋高気圧が弱まる
9月になると太平洋高気圧の勢力が弱まることも、台風が上陸しやすい理由です。日本列島が、台風の通路となるためです。
夏の間に勢力を増し、日本付近を覆っているのが『太平洋高気圧』です。8月に発生した台風は、発達した太平洋高気圧の外側を沿うように北上します。
しかし、9月になると太平洋高気圧の勢力が次第に弱まります。そうなると、太平洋高気圧の外側が日本列島と重なり、台風の通り道となるため、上陸しやすいのです。
夏台風と秋台風の違い
夏に発生する台風と秋に発生する台風では、性質や特徴が異なります。夏の台風は、勢力を強めている太平洋高気圧や発生した他の台風の影響、偏西風などの影響を受けやすいという特徴があります。
そのため、北上する速度が遅かったり、突如、方向が変わり南下したりと、進路が不安定という性質を持っています。
一方、秋の台風は動く速度が早いのが特徴です。秋になると偏西風が南下することで、台風の速度が早まり、強い風を発生させます。また、夏の間に上昇した海水の温度が高いままをキープし、台風の勢力を強めやすいという性質もあります。
さらに、台風によって秋に発生する秋雨前線が刺激され、強い雨を伴うことで豪雨になり、各地で土砂災害や河川の氾濫などの災害を引き起こすケースも少なくありません。
沖縄は台風シーズンが長い
日本に居ながらトロピカルな気候を楽しめる沖縄は、人気の観光地です。しかし、沖縄は台風の影響を受けやすい地域でもあるため、注意が必要です。沖縄の台風の状況について紹介します。
沖縄は8月がピーク
沖縄は、台風が多いというイメージを持っている人も多いでしょう。データ的にも本土の年間平均接近数が5.5回なのに対し、沖縄は7.4回と多くなっています。
沖縄に台風が接近するのが多いのは、7~9月にかけてです。気象庁のデータによる30年間の台風接近数の平均は、7月が1.4回で8月が2.2回、9月が1.7回です。従って、沖縄の台風接近のピークは、8月といえるでしょう。
また、8月や9月の台風が多い時期は、降水量も増えます。5月や6月の梅雨の時期とほとんど変わらない降水量のため、リゾート地として晴れた沖縄を満喫したい人は、台風シーズンを避けるのがおすすめです。
発生した台風の3割が沖縄に接近
沖縄は、太平洋高気圧の外側に沿って北上する台風の通過経路になるため、接近する台風の数も多くなります。具体的には、発生した台風の約3割が接近するとされています。『接近』というのは、沖縄地方の気象官署から台風の中心が300km以内を通過した場合を指します。
ちなみに、たとえ沖縄を台風が通っても『上陸』とはなりません。気象庁では、台風の中心が北海道・本州・四国・九州のいずれかの海岸に到達した時点で、『台風が日本に上陸した』としているためです。沖縄を含むそれ以外の地域では、代わりに『通過』という言葉を使う決まりになっています。
従って、天気予報で沖縄に台風上陸の予報がないからといって、安心しないようにしましょう。
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構成/編集部