「ロキソニン」は二日酔いの頭痛に有効なのか?
頭痛、生理痛、肩こり痛など、さまざまな痛みに効果を発揮する「ロキソニン」だが、二日酔いに伴う「頭痛」の緩和には有効なのだろうか。
そこで一般社団法人日本臨床研究学会は「ロキソニンの二日酔い症状の緩和効果」を検証するための臨床試験を実施。
本試験は、(1)日本では初となる“医師”自身が被験者となって行った研究(Physicians’ Study)であること、(2)二日酔いに対する医薬品の効果の検証を「無作為(ランダム)化二重盲検」と呼ばれる方法を用いて行ったこと、(3)研究経費をクラウドファンディングで集め、登録、結果の報告などを全てインターネットで実施したことから、これまでになかった新しく面白い試験であったといえる。
試験終了後に解析を行った結果、二日酔いに伴う「頭痛」の症状改善効果は、ロキソニン®群で25ポイント、プラセボ群で10ポイントというデータが得られ、統計学的に有為な差が認められた。
そのため「ロキソニン®は頭痛の緩和に有効」ということが言える。一方、「全身倦怠感」と「吐き気」の症状改善効果については、ロキソニン®群とプラセボ群で統計学的な差は認められなかった。
また今回の試験では、「臨床研究」について広く一般の方にも知ってもらいたいという思いから、クラウドファンディングで研究経費を調達。
目標金額150万円をこえる168万円の寄付を頂き、総研究費330万円の約半分を賄った。このように、薬の試験費用をクラウドファンディングで集めるという方法も、日本では非常に珍しいやり方だ。
今後も日本臨床研究学会では、日本の臨床研究のリテラシーを高め、後進の育成に取り組む。
Hangovercome(ハングオーバーカム)試験」試験概要
○名称:「Hangovercome試験」
○検証内容:二日酔いの症状緩和に対するロキソニン®の有効性
○試験実施期間:2017年7月~2018年5月
○対象:日本全国の医師
○参加人数:229名(※150名が二日酔いになった時点で試験終了)
○方法: 無作為化二重盲検プラセボ対照試験
○結果:―ロキソニン®は「頭痛」の緩和に効果がある
―「全身倦怠感」及び「吐き気」の緩和に明確な効果は確認できなかった
〇公式サポーター:薬剤師国家試験予備校「メディセレ」
〇論文掲載情報:Hara M, Hayashi K, Kitamura T, Honda M, Tamaki M. A nationwide randomised, double-blind, placebo-controlled physicians’ trial of loxoprofen for the treatment of fatigue, headache, and nausea after hangovers. Alcohol 2020;84:21-25.
構成/ino.