最近、各携帯電話会社(キャリア)の料金プランで使い放題、もしくは使い放題に近い大容量のプランを選べるようになりました。使えるデータ容量が多いなら、モバイルデータ通信機能を備えていないPCやタブレットをiPhoneに接続し、iPhoneを介してインターネットに接続する「テザリング」も安心して利用できます。
ただし、キャリアによってはテザリングを利用するためにオプション料金が必要だったり、テザリングできる容量に制限があったりします。iPhoneでテザリングする方法と各キャリアのテザリング関連の情報を確認してみましょう。
iPhoneでテザリングをするやり方
まず、iPhoneでテザリングができる状態にする方法を確認しましょう。今回は、Wi-Fiを使ってテザリングする方法を紹介します。なお、iPhoneの場合は、テザリングのことを「インターネット共有」と表現しています。
各キャリアとも扱っているiPhoneは同じなので、基本的な設定方法は同じなのですが、サービス内容や契約状態によって、微妙に違う部分があります。設定できない場合は、テザリングが使える契約になっているか、APN設定が必要ではないかを確認しましょう。
ドコモのiPhoneでテザリングをするやり方
ドコモの場合、テザリングを利用するのに申し込みは不要です。iPhoneの「設定」アプリで、「インターネット共有」を選びます。
次の画面で「ほかの人の接続を許可」をオンにします。ここで、Wi-FiやBluetoothの設定されていないとポップアップで設定を促されます。Wi-Fiを使って無線でテザリングしたい場合はWi-Fiをオンにします。
Wi-Fiテザリングをする場合、iPhone(親機)を介してインターネットに接続する機器(子機)は、パスワードを入力することで親機への接続が許可される仕組みになっています。そのためのパスワードが「“Wi-Fi”のパスワード」となります。タップすると入力画面になりますので、自分が入力しやすいパスワードに変えてもかまいません。半角英数字で8文字以上にします。
好みのパスワードに変更できます。
auのiPhoneでテザリングをするやり方
auのiPhoneでテザリングの設定をする方法は、基本的にはドコモ版と同様です。ただし、「インターネット共有」のメニューは、「テザリングオプション」に申し込んでいないと表示されません。「モバイル通信」メニュー内に「インターネット共有を設定」というメニューが表示され、そこからテザリングの利用を申し込むことができます。
ソフトバンクのiPhoneでテザリングをするやり方
ソフトバンクのiPhoneでも、テザリングの設定は基本的にはドコモ、auの場合の操作方法と同じです。ただし、「テザリングオプション」に申し込んでいないと、インターネット共有のメニューが表示されません。auと同様、「モバイル通信」内に「インターネット共有を設定」というメニューが表示され、そこからテザリングの利用を申し込むことができます。
楽天モバイルのSIMを挿したiPhoneでテザリングをするやり方
第4のキャリアになった楽天モバイルのSIMカードを、SIMフリーiPhoneに挿して使っている人もいるでしょう。楽天モバイルのエリアでは使い放題になるだけに、テザリングも便利に使えそうです。
テザリングをする際には、モバイルデータ通信に加え、インターネット共有のAPN設定がきちんとされているかを確認しましょう。「APN」の欄に「rakuten.jp」と入力します。SIMカードを挿しただけで、APN設定をせずともiPhone単体でのデータ通信はできるようですが、テザリングはできないことがあるので要チェックです。
「設定」→「モバイル通信」→「モバイル通信ネットワーク」を選び、「モバイルデータ通信」と「インターネット共有」のAPN欄に「rakuten.jp」と入力します。他の欄は空白でOK。
これでテザリングできるように設定されました。インターネット共有をオンにすると、楽天モバイルのSIMカードが入ったiPhoneでテザリングできるようになります。
iPhoneのテザリングでPCをインターネットに接続するやり方
iPhoneがテザリングできる状態になったので、次はPCやタブレットなど、インターネットに接続したい機器で、Wi-Fiの親機となるiPhoneに接続します。Wi-Fiの接続方法はそれぞれの機器によって異なりますので、取扱説明書などを確認してください。
設定画面を表示するとWi-Fiで接続可能な親機がリストアップされているはずなので、そこからテザリング可能な状態にしたiPhoneを選びます。iPhoneの名称はiPhoneの「設定」→「情報」の「名前」で確認できます。
初めてiPhoneに接続する場合はパスワードの入力を求められるので、先ほどiPhoneで設定したパスワードを入力します。1文字でも違うと接続できないので、確認しながら正確に入力しましょう。次回からは、iPhoneでパスワードを変更しない限り、インターネット共有をオンにするだけで、自動で接続されます。
親機と子機が接続すると、iPhoneの画面上部が、インターネット共有中を表し青くなります。PCでWebブラウザを開くなど、インターネットに接続できているか確認しましょう。
インターネット共有がオンになっていると、時計部分が青くなります。iPhoneによってはピクトエリア全体が青くなります。青い部分をタップするとインターネット共有画面を表示します。
iPhone同士ならもっと簡単にテザリングできる
複数のiPhoneを使っていて、同じApple IDでiCloudにサインインしている場合は、子機のWi-Fi接続画面で親機のiPhoneを選ぶだけで、自動的に親機のインターネット共有がオンになり、テザリングでインターネットにアクセスできます。SIMカードが入っていないiPhoneでネットにアクセスしたいときや、1か月のデータ容量を使い切ってしまって通信速度が遅くなったときに、余裕のあるiPhoneを介して通信するという使い方ができて便利です。
SIMカードが入っていないiPhoneでWi-Fiの接続画面を表示。iPhoneがアクセスポイントの候補に入っているので、それをタップして選びます。
親機で何も操作しなくても子機との接続が確立し、SIMなしのiPhoneでもインターネットに接続できます。
テザリングで料金はどれだけかかる?
テザリングの料金には、テザリング機能を利用するためのオプション料金と、テザリングで通信することによるデータ通信料の2つがあります。
ドコモのテザリング料金
ドコモの場合、テザリングのオプション料金は無料です。ドコモはテザリングを標準機能として提供しているので、使う際に申し込む必要もありません。
ドコモのテザリングでかかる通信料
ドコモの現在の料金プランでは、端末単体でのデータ通信とテザリングによるデータ通信の使用を区別していません。そのため、端末単体でもテザリングでも、契約した料金プランの容量上限まで利用できます。
auのテザリング料金
auの場合、テザリングのオプション料金は契約しているプランによって異なり、無料のものと、月額500円かかるものがあります。5G向けのプランや4Gの最新プランはオプション料金が無料になっています。また、利用の申し込みも必要です。
auのテザリングでかかる通信料
auは、データ通信が使い放題のプランでも、テザリングで利用するデータ通信には容量の上限があります。上限はプランによって30GBから80GBと余裕がありますが、パソコンと接続してビデオ会議を頻繁にするような場合には、多少気をつけた方がいいでしょう。上限に達すると通信速度が送受信最大128kbpsとなります。
ソフトバンクのテザリング料金
ソフトバンクの場合は、一部の低容量プランを除き、テザリングのオプション料金が月額500円かかります。テザリングを利用しない場合は、念のため契約内容を確認しておくといいでしょう。
ソフトバンクのテザリングでかかる通信料
ソフトバンクでは、端末単体でもテザリングでも、契約した料金プランの容量上限まで利用できます。上限に達すると通信速度は送受信最大128kbpsとなります。
iPhoneのテザリングが切れる、繋がらないとき
iPhoneのインターネット共有でうまく接続できないときは、設定を見直してみましょう。そもそもテザリングが利用できる契約になっているか、iPhoneの設定でインターネット共有がオンになっているか、接続しようとしているWi-Fiのネットワーク名(iPhoneの名前)とパスワードが間違っていないかは、必ず確かめましょう。
機内モードのオン/オフ、iPhoneを再起動してみることも大事です。1度再起動するだけで、調子の悪さがあっさり解消される場合があります。
また、iPhoneのテザリングは一定時間(90秒という噂があります)使われないと、自動的にオフになるようです。時間を設定できないのは少々残念なところですが、テザリングは普段よりバッテリーを消費するので、使わないと自動でオフになるのは親切な設計といえます。
モバイルWi-Fiルーターの使いやすさは捨てがたいものがありますが、テザリングを利用することで持ち運ぶ端末や回線契約を減らすことができます。携帯電話の料金プランは使い放題が主流になりそうな今後、テザリングの活躍の場はますます増えてきそうです。
取材・文/房野麻子