人間のタイプには、大きく分けて理系脳と文系脳があるといわれている。理系脳にはどんな特徴と思考パターンがあるのか、まずはそこから押さえよう。
理系脳はシンプルで規則正しいことを好む
「さすが理系の人は、論理的だね」「文系だけあって、表現が豊かだ」。きっと誰でも聞き覚えがあるだろう。科学的な証明はないが、一般的に「理系的な考え方の人」「文系的な考え方の人」2つの系統があるのは、多くの人が漠然と感じている。その証拠に、理系脳・文系脳という表現も広く流布している。
では、理系脳(タイプ)とは、具体的にどんな特徴や考え方を指すのか。理系脳は、基本的に数字の正確さや客観的事実を重視し、物事がシンプルで規則正しいことを好む傾向がある。
例えば、夜空の星を見た時。理系脳は、「どうして星は動くのだろうか。その規則性を理解したい。そのためには、じっくり観察して、データを取ることが大切だ」と考える。データ化=数値化することで、現象を的確に把握したいのだ。
それに対して、「文系脳」はこう反応する。「この美しさを詩や絵画で表現したい」「この宇宙に生きている意味とは……」。これが両者の大きな違いだ。
「理系脳」の思考法を最大限生かすために
では、自分は理系脳かそれとも文系脳か――コラムの例題でチェックしてみよう。
理系脳は、出発点から順序立てて論理的に考えていく。だから、当然のように②という答えに行きつく。この論理力に加え、理系脳は、問題解決力、検証力、推理力などに優れている(下参照)。
現代社会において、理系脳が求められる分野・職種が広がっていることから、理系脳の活躍の場も多くなりそうだが、気をつけておきたいことがある。それは、理系脳が苦手としがちなコミュニケーションである。例えば、ミーティングで解説を求められた時、「何がポイントなのかわからない。もっとわかりやすく説明してほしい」と言われた経験のある理系脳タイプも多いはず。
彼らとしては、「わかりやすく」するために、一から順を追って丁寧に説明したのに……という思いがある。それゆえ、「先ほども言ったとおり……」とさらに詳しく説明しようとする。あるいは、いくら説明してもわからないだろうと諦めてしまう。すると、文系脳は「理屈っぽいばかりで、何が言いたいのか結局わからない」「急に黙り込んでしまう」と感じてしまう。
実は、この場合、文系脳が想像しやすい例や比喩を使ったり、細部ではなく全体的な概念を説明したりするとうまくいく。つまり、理系脳は文系脳にとって「わかりやすい」言葉を選び、会話を工夫するテクニックが肝要なのだ。
もちろん、文系脳にも理系脳の特徴や思考法を理解する姿勢が求められる。もともと文系脳は協調性に優れているので、それは得意なはず。理系脳と文系脳の歩み寄りが大切なのだ。
例題で理系脳かどうかをチェック
【Q】あなたは300円(100円玉3枚)持っています。
130円のお菓子を買いました。おつりはいくら?
【A】(1)70円 (2)170円
(1)→文系脳(130円の買い物には200円〈100円玉2枚〉出すのが当たり前〈普段の買い物の様子を想像できる〉。200-130=70円のおつり)
(2)→理系脳(論理的に考えて、300円から130円支払うから。300-130=170円のおつり)
理系脳と文系脳の特徴
取材・文/ひだいますみ