DIME MAGAZINE
『海の日』は、明治時代から続く国民の祝日の一つです。海の記念日だと知っていても、由来については、よく知らない人もいるのではないでしょうか？海の日がいつでどんな日なのか、また、気になる東京オリンピク・パラリンピックの影響についても紹介します。
海の日は国民の祝日の一つ
国民の祝日は年間16日ありますが、それぞれ由来や意味があります。『海の日』は、どのようにしてできたのでしょうか？また、海の日がいつなのかについても紹介します。
海の日の成り立ち
海の日の由来は、明治天皇（1852～1912年）にあります。1876（明治9）年、初めて船に乗って東北地方を巡幸された明治天皇が、横浜港に無事にご帰着されたことを祝い、『海の記念日』としたことが始まりです。
また、日本は海に囲まれた島国のため、海は日本人にとって関わりの深いものです。貿易や産業・漁業から生活に至るまで、海からの恵みをたくさん受けて発展してきたといっても過言ではありません。
そういった背景が重要視され、『海の恩恵に感謝する』ことや『海洋国である日本の繁栄を願う』という意味を込めて、国民の祝日として制定されたのです。
7月は海の月間。関連イベントがたくさん
海の日がある7月は、『海の月間』とされています。国土交通省をはじめ、海事関係団体や公共団体などが協力し、海や船に関連する多種多様なイベントが全国各地で開催されています。これは、海の恵みへの感謝や未来へ恩恵の継承、海に対する理解を深めるといった目的があります。
例えば、2019年には、体験航海ができる『海フェス』やモーターボートやヨットなどマリーンスポーツ体験ができるイベントがありました。また、水辺の自然体験ができるイベントや、着衣泳やペットボトルを使用した救助の体験ができるイベントなど、子ども向けものも多数開催されていました。
20年は新型コロナウイルス感染症の影響もあり、例年通りにさまざまイベントが開催されるかは各主催者の判断によりますが、気になる人はチェックしてみましょう。
2003年より7月の第3月曜日
祝日法改正により、海の日が『7月の第3月曜日』になったのは2003年です。それ以前は、海の記念日である、明治天皇が横浜港に帰着した7月20日でした。
この改正は、『ハッピーマンデー制度』と呼ばれ、国民の祝日の一部を月曜日に移動させる制度によるものです。週末の土日と祝日をつなげることで、3連休以上の期間を増やすことが目的です。連休が増えることで、運輸業や観光業を活性化するという趣旨があります。
なお、もともと7月20日を国民の祝日にすることに、反対の声があったとされています。明治天皇が東北地方を訪れた理由が、明治新政府や徴兵制への不満が強かった民衆の感情を抑えることだったためです。従って、海の日の変更には、賛成の声も多かったようです。
2020年は祝日が特別に大きく変更
ニュースなどで、いくつかの祝日が変更になったことを、既に知っている人も多いでしょう。一方で、どの祝日が、いつに変更になったのか把握しきれていない人もいるのではないでしょうか？2020年に変更された祝日について紹介します。
オリンピックの影響で祝日に影響
祝日が変更された理由は、2020年に開催される予定だった東京オリンピック・パラリンピックの影響です。それぞれの大会の円滑な準備や運営のために、『平成三十二年東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会特別措置法』により『国民の祝日に関する法律』に関する特例が設定されました。
変更になったのは、『海の日』と『スポーツの日』『山の日』の三つです。それぞれオリンピックの予定に合わせて、オリンピック開会式の前日や開会式当日・閉会式翌日に移動されています。
なお、オリンピック自体は延期になりましたが、変更された祝日はそのまま変わりません。
出典：平成三十二年東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会特別措置法｜電子政府の総合窓口（e-Gov）
出典：国民の祝日に関する法律｜電子政府の総合窓口（e-Gov）
体育の日がスポーツの日に改称
「スポーツの日という祝日は聞いたことがない」と思った人もいるかもしれませんが、スポーツの日は、『体育の日』のことです。
体育の日は、1964（昭和39）年に東京オリンピックの開会式が行われた10月10日にちなみ、五輪から2年後に「体育の日」と定め、国民の祝日とした経緯があります。
体育の日からの改称は2018年に改正祝日法が成立したことで、20年から『スポーツの日』に改称されました。スポーツの日の意味は、『スポーツを楽しんで、他の人を尊重する精神を培う』ことや『健康な心身を培う』こととされています。
また、体育の日は、もともと10月10日でしたが、前述の『ハッピーマンデー制度』によって、10月の第2月曜日に変更になりました。
ちなみに、ハッピーマンデー制度により変更になった祝日は、海の日とスポーツの日だけではありません。成人の日や敬老の日も月曜日に移動し、連休になっています。
2020年の海の日はいつ？今後どうなる？
オリンピックの影響で、2020年の海の日は、いつに変更になったのでしょうか？また、オリンピックが、21年に延期になったことでの影響についても紹介します。
7月23日に移動し4連休に
海の日は、本来7月の第3月曜日のため、2020年は7月20日でした。それが、7月23日に移動し、24日にスポーツの日、25、26日の土曜日曜と合わせ、4連休になっています。オリンピックが開催されていれば、7月23日はオリンピックの開会式前日に当たる日でした。
海の日を移動させた理由は、開会式に合わせて各国の要人の来日や離日ラッシュに伴う交通渋滞や警備へ懸念です。祝日にすることで、通勤や通学者数を減らし、円滑に進めるという目的があります。
オリンピック延期により2021年も変更
新型コロナウイルスの影響でオリンピックが延期になったことで、2021年も海の日が7月22日に移動する方向で調整が進められています。この日は、オリンピックの開会式前日になります。
また、20年同様に、スポーツの日と山の日も移動となる見通しです。スポーツの日は、本来10月の第2月曜日ですが、開会式当日である7月23日へ。山の日は、8月11日から閉会式当日の8月8日に移動し、翌9日は振替休日となります。
この祝日の移動は、前述した通り、交通機関の混雑や円滑な警備が目的です。
構成／編集部
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